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ほぼ漫画業界コラム138【漫画の原稿料はどう決まるか?】

コラムから派生して原稿料のことについてもちらほら言及されていたので、それについて書こうと思います。さて、最近の原稿料事情。原稿料の相場が何年も変わっていないなんて意見もありますが、そんなことはありません。体感では10年前の1.5倍ぐらいになったと思います。ただし、原稿料というのは需要と供給で決まります。書き手が少なく、需要が多いジャンルならば原稿料は高くなります。その逆なら安くなります。これは分かりますよね。それだけのことなんです。原稿料はそれで決まります。

ただ、物事には別の見方もあります。編集長として考えた場合の原稿料です。これは漫画家はもちろん、普通の編集者もあまり意識していません。意識できるのは基本、編集長経験者だけだと思います。でも、よろしければ想像してみてください。あなたは今から編集長になりました。しかも、これまでにない新しい月刊連載の媒体です。新編集長のあなたは1億2000万円の原稿料の予算を手に入れたとしましょう。分かりやすいようにこうしましょう。全て月刊連載。1作品は月刊50Pとします。では、もしあなたが編集長だったら原稿料をいくらで設定しますか?

ちなみに所属する編集者の数も能力も全員同じです。その他の経費は考えません。印税率も全て同じとします。5000円の場合、10000円の場合、20000円の場合と分けてみましょう。まず何が変わってくるでしょうか?まず立ち上げられる連載本数の数が違います。5000円の場合、5000円×50P×12ヶ月で1作あたり300万円で作れます。予算1億2000万円だと年間40本の新連載が立ち上がります。同様に考えていくと、1万円の場合は20本、2万円の場合は10本立ち上げられます。

問い:あなたは編集長に命じられました。あなたが編集長の場合、原稿料を以下のどれに設定しますか?その理由を自由に論じてください。
A:5000円(連載本数40本)
B:1万円(連載本数20本)
C:2万円(連載本数10本)

この問いを考えれば原稿料がどう決まってくるかもわかるかもしれません。


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