ほぼ漫画業界コラム185【連載で話が浮かばなくなった時の対処法】

久々の更新です。ここ数日、新企画のシナリオがどうしても書けなくて、地獄の苦しみを味わっていました。新作の13話のシナリオです。ネームは10話まで、原稿は8話まで進んでいますが、この3日間、13話のシナリオを書いては消し、書いては消しの繰り返し。

どうしても先に進まない。面白い話が書けない。主人公がある大きな存在と出会うというプロットラインは以前から決めていたのですが、どうしても不自然です。テンポと演出で面白くできると考えていましたが、いよいよ誤魔化せなくなってきました。

こういう時、99%の確率で過去の話に問題があります。自分が書いたシナリオのどこかに致命的な欠陥があるはずです。というわけで、1話から読み返すことにしました。読み返すと、「面白いじゃん。よしよし。」と思える内容でした。本作は、弊社の坂本編集長がネームを担当し、作画は某超人気作家が手掛ける超本気作品です。

シナリオを書き直すのは良いのですが、もし8話以前に欠陥があれば大変です。作画修正なんてお願いできません。ドキドキしながら読み進めましたが、セーフ。大丈夫そうです。

次に、既にネームができている9話、10話を読み直しました。これもセーフ。そして11話を読みました。

ここで問題発見。消化すべき伏線を無視して、無理にキャラの関係性を深めようとしています。単体で読めばそれなりに面白く書けていますが、全体の流れとしてはダメです。というわけで、即座に坂本編集長に電話し、「ストップ!まだ11話はネームにしないでください!」と伝えました。描き始めていたらどうしようと思いましたが、こちらもセーフ。

結果として、11話と12話のシナリオ、そして8割書き終わっていた13話も全てボツにしました。数十時間が無駄になりました。悔しい!辛い!ですが、損害はまだ少なかったです。早速修正に取り掛かります。

担当の鍵谷編集長に電話し、「助けて!打ち合わせをプリーズ!」と頼みました。普段はChatGPTが僕の相談相手ですが、本気で困ったときは編集長に助けを求めます。

神打ち合わせのおかげで気持ちが楽になり、そのまま就寝。そして今朝、朝の散歩を終え、6時から執筆を開始。45分で11話を書き上げました。3日かけても書けなかったものが、書けるときは45分でできる。そういうものです。経験上、早くできたものの方が面白いことが多いです。

こうしてなんとか完成した新しい11話のシナリオを編集会議に提出します。僕の会社では、社長である僕のシナリオですら容赦なくボツが出ます。通るかどうかドキドキしていますが、今回はキャラが動いているので大丈夫でしょう。

まとめます。連載をしていると、急に話が浮かばなくなったり、どうしていいか分からなくなることがたまにあります。そういう時は、とにかく1話から読み返すことが克服の鍵です。今回は13話だけでしたが、何百話もある場合は大変でしょうね。でも、自分の作品を1話から何度も読み返すことは大事です。時間が経っていることで客観的に読めますし、無意識に書いていたキャラクターの特性も改めて理解できることがあります。以上、今日のコラムでした。

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