ほぼ漫画業界コラム170 【商業作家ってそんなに偉いんですか?】
僕も大ファンであるぬこー様ちゃんが、釣り投稿をしているので、すっかり釣られてみせようと思います。
今どき、商業連載してないからって、あれだけ影響力ある方が見下されたりはないと思います。で、書いていることも基本、お金ベースでの比較でしかありません。これだと個人事業主のおっさんが
「ワイは年収1億や、エリートおっさんサラリーマンの5倍やで?」
とマウントとっているだけに見えます。関西弁にしたのは適当です。確かに年収は個人事業主のおっさんが5倍ですが、エリートサラリーマンにはお金以外の価値があります。社会的信用って大きいし、土日とかがっつり休めるとかはサラリーマンだからこそですよ。だから、ものや立場の価値をお金だけで比べるのにそもそも無理があるのではと思います。
ちなみに編集者のネームのフィードバックに、そんなに価値があるかなぁw いや、ある人はありますよ。でも、それはほんの一部の一流の編集者のみ。それよりも漫画家同士で、お互い厳しくネームを見せ合った方が良いフィードバックをもらえると思っています。描かれているようにSNSもいいですね。
【商業作家のメリット】
まずこれ。社会的信用が上がる。やっぱジャンプ作家とかは、違いますよね。もうブランドが出来てしまっています。知り合いの銀行員もやっぱり、商業連載作家、さらに有名媒体であれば与信が増えると言っていましたし、実際そうなんでしょう。住宅ローンとか借りやすいそうです。あとモテるとか?みんなブランド好きですよね。
あとリスクなく作品の全権利を手に入れることができるところ。作者は商業出版にかかる一冊数百万のコストを払うことなく、著作権者としての権利を手に入れることができる。おそらく、これが一番大きい商業作家の旨味じゃないでしょうか。
最近、ナンバーナインとかの電子配信取次サービスで過去に自分が商業出版した商業作品を、作家さんが自ら全書店に流通させるようになりました。あれって、出版社側からしたら大ダメージなんです。いきなり自分たちの飯の種がなくなるというか。ですが作家さんからみたら、出版社がお金を払って大きくした作品を、契約期間が終われば好きに出来るんです。他の出版社に移ってもいいし、電子取次に頼んでもいい。いや、むしろ電子書店と直接取引をすれば、手数料も取られずにダイレクトに入金されます。普通に考えるとそれが一番儲かります。
他にも二つメリットをあげます。
・出版社のプロデュース力を使える
これをまだまだ舐めちゃいけません。昨日のコラムに書いたけどプロデューサーの力は金と影響力です。特に大手出版社の資金力はとんでもないです。そして影響力。お偉いさん同士は、夜の街で、ゴルフで、さまざまな会合でがっつり、手を握りあっています。びっくりするくらい大きなことが電話一本で決まります。彼らを味方にすればアニメ化や映画化やコラボが簡単に決まり、作品のスケールに繋がります。逆に嫌われたりでもしたら…
・楽
結局のところこれかも。漫画だけ描いて送ればお金がもらえるのが商業漫画家です。出版するためのあらゆる事務作業、営業活動、プロモーション、全部他人任せです。打ち合わせすら必要ない作家さんなら、誰とも話さずにお金を得ることができます。
じゃあ僕が個人出版と商業出版、どっちを目指すべきかと答えたらですね。
最初は個人出版、次に商業出版です。
特に新人は個人出版をお薦めします。ぬこー様ちゃんの真似とかして、鉛筆描きとかでいいので、とにかく沢山の漫画をSNSにアップしてAmazonインディーズなりにアップし続けましょう。
写植もクリスタで入れれるし、EPUB化も簡単。もはや編集者にお願いする場所なんかありません。宣伝?どうせ一部の作品しかしてくれないんです。やるならSNSで自分で宣伝した方が早い。ネームは、読みやすく分かりやすく描ければいいのです。画力も気にせずに一生懸命書けばいい。気持ちがのった作品は絶対に人の心を掴みます。
そんでフォロワー増えて、技術と影響力とある程度の資産を持ったら、商業出版目指したほうがいいと思います。
商業出版のいいところは、個人漫画では挑戦できなかった、高額の取材費がかかる作品や、売れるかわからないけど自分が描きたい作品にも挑戦できるところです。いまどきの吉谷先生(@kakikurage)みたいにどちらもやれるのが理想ですね。