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【2025年の漫画業界】
1ヶ月ぶりぐらいのコラムです。すみません。最近はシナリオ執筆を優先しているので中々コラムをかけません。はい! 2024年を走り抜けました!今年は本当に沢山の素敵な出会いがありました。会社も大きく成長させ続けることも出来ました。全ての連載がヒットというわけには行きませんでしたが、それ位に近い形のこれ以上ない、最高の1年だったと思います。本当にみなさんのおかげです。ありがとうございます。来年も仲良くしてくださいね。楽しかったなあ。
が! もはやそれも過去。経営者は過去から学んでも、過去の栄光に縋ってはなりません。2025年でいかに会社を成長させるかそれが全てです。そして僕達の会社コミックルームは漫画を電子書店で売る事が主な事業です。漫画市場、電子コミック市場がどうなるかを予想しなければいけません。
詳しいデータは書きません。AIに調べてもらった方が早いですから。だから、ここらからの予想は僕の人としての肌感で感じていることです。世迷言と思って頂いても結構です。
僕は、ここ10年ぐらいグングン伸びてきた国内電子漫画市場がついに成長が止まると感じています。これが踊り場なのか? いえ、僕はゆるやかな下降に転じるか、転じる直前だと考えています。急速には落ちませんが、市場規模が徐々にシュリンクしていくそんな感じ。
そうなるとどうなるのか。まずは僕たち漫画を作るコンテンツプロバイダー側の立場を考えましょう。
物事というのは急には動きません。近年の漫画バブルに乗っかって、今も引き続き沢山の企業が漫画市場に参戦しています。最近はゲーム開発会社などが元気がありませんから、彼らもひっきりなしに新規事業で漫画をやろうとしています。もちろん出版社も。これまで漫画を扱っていなかった出版社も次々と漫画編集部を作り出しました。そして大変な数の作品を仕込んでおります。
そしてそこに市場のシュリンクが起きるとどうなるか?
当然、大変な赤字編集部が増えると思います。特に新規参入企業は上手くいかないでしょう。漫画は簡単ではありません。今タケノコのように出来た編集部の多くはなくなるかもしれません。それはすなわち、そこで仕事をしている商業作家さんたちの仕事がなくなる事を意味します。
その中でも生き残るのは強い編集部だけだと思いますもちろん。ジャンプマガジンサンデーチャンピオンなど大手出版社の歴史ある男性向け編集部。ここは強いです。その一番の理由は・・・
過去のアーカイブ作品で稼げるから。
これに他なりません。10年どころか20年、30年前の作品が時たま、大手電子ストアのランキングインする事があります。これらの作品は既に原稿料を払っているので、新たに原稿料というコストがかかりません。これらが編集部の売上を支えているのでめちゃくちゃ編集部運営が楽です。これが一番大きい。僕は今でも、グラップラー刃牙を課金して読んだりします。
今年はトリコを全巻ピッコマさんで読みました。多分数万円使ってしまった。ただ、女性向けはなぜかそれほど過去作品が売れないんですよね。
ただ、それも本当に安泰かというとそうでもありません。出版社は著作権を持っていません。契約年数が過ぎて漫画家が著作権を持って出たいといったら、基本はそれを止めらないのです。
あちこちにある電子取次サービスなどと、契約したり、また自身でアマゾンで直販などをした方が漫画家さんが儲かるケースも増えてきています。電子市場が小さくなり漫画家さんの収入が減れば、その流れは加速するでしょう。
僕は一番強いのはやはり大手電子ストア直下の編集部だと思います。今年は様々なそのような編集部の編集者とお会いしました。みなさんヒット率が高い。10本立ち上げて10本ヒットみたいな人もいてひっくり返りそうになりました。強い! なんでこんなに強いのか?当然です。それは販売データが観れるからです。また広告の効果測定も出来るからです。うーん、うらやましい。
逆に近年の電子ストア直下の編集部の作品が強過ぎて、既存出版社の作品を追い出し始めています。各出版社の女性向け編集部の売り上げが、落ち始めたという話をよく聞きますがそれは、この事が原因だと考えられます。
とはいえ市場全体の規模がシュリンクすると電子ストアといっても安全ではありません。なのでまずは業界再編が起きるでしょう。小さな電子ストアは次々と大手ストアに吸収されていくはずです。
最終的にどれだけの電子ストアが残るのか?王者Amazonは揺らがないとして・・・いやそれすらわかりませんね。もう全くわかりません。各ストアの戦略次第になるでしょう。
そして紙の単行本市場についに2025年問題が降り掛かります。2025年問題、以前から指摘されていましたが、出版社、取次、大手書店がどれだけ対策できていたのかの答え合わせが始まります。最近、地方を回るのですがもうさっぱり書店がありませんね。あるのはイオンモールの中ぐらい。もうイオンモールに入れるような大きな書店様やアニメイト、ヴィレッジバンガードなどに直取で卸した方が早そうです。
そういえば今年紀伊國屋書店、蔦屋書店運営のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、日本出版販売(日販)が共同出資する、ブックセラーズ&カンパニーが話題になりました。めちゃくちゃ注目しています。
とはいえ、国内漫画市場が玉打ちなのはもう明らかです。少なくとも大きく伸びることはない。
となると目を向けるべきは、海外です。特にジャンプ+編集部のおかげもあって、急速にMANGAが世界に広がり始めています。世界を制するのはWEBTOONかと思いきや、日本の漫画形式でも勝負になる可能性が急速に高まってきました。引き続き慎重に動向を見極めたいと思っています。もちろんWEBTOONの可能性もまだまだあります。むしろここからかもしれません。
さて、だらだらと僕の予想ともいえないような、わりとありふれた未来予想ですが、まあこんな感じの2025年度が始まります。この中で経営者としてどう立ち回るるべきか・・・・僕たちは大手出版社の古い男性向け編集部でも、電子ストア直下の編集部でもありません・・・
じゃあ、どうする?負けちゃうの?潰れちゃうの?
仕方ないよね・・・だって乱世が来るんだもんね。乱世になったら小さなところは生きていけないよ・・・
んなわけねーよな!
すみません。僕たちは乱世上等です(笑)
むしろ僕はそれが楽しみでしょうがありません。そのために大手出版社を辞め、自分で会社を作り、新しいカタチの編集者と新しいカタチの編集部を作ったと言って過言ではありません。準備はギリギリ間に合いました。
やるべき事は明確。日本でも世界でも通用する圧倒的なレベルの漫画を作り続けます!そしてそれを世界中であらゆるカタチであらゆる方法で売る!
今、僕たちと乱世でヒャッハーしたい人材を続々と採用しています。あなたもどうですか?
それでは皆様良いお年をお過ごしください。今年最後のコラムでした。