『具体と抽象』 編集ちゃん その11
作家の作品にフィードバックをする時に具体的に伝えるか、抽象的に伝えるか、どちらが良いんだろう?
恐らく正解はないというか、ケースバイケースだと思う。
そして、これは創作に限らず仕事でもそうだし、人に何かを教える、伝える全てに言える事だと思う。
ポイントの一つとしては、作家さんの成長度合いがある。
まだ新人の作家であれば、作品に対して具体的でわかりやすく伝えた方が、理解した上で問題の箇所を修正する事ができる。
例えば、セリフに問題があるのであれば、言い回しがおかしいのか、キャラブレしているのか、作品のテイストと合わないのか、具体的に伝えて修正してもらう。
ただ、具体的に伝えた事は、その場では直るけど、また同じ事を繰り返す事が多い印象がある。
一方で、抽象的に伝えると理解してもらえないことがある。
作家さん”らしさ”とか、”個性”とか、”テーマ”とか。
でも、抽象的な言葉は深く刺さることがあり、持続力がある印象を持っている。
そして汎用性があるから、理解してもらうと作家自身が成長する。
具体的な言葉は作品を良くし、抽象的な言葉は作家を成長させるとも言えると思う。
ベテランの作家さんの場合、表面上の粗が少なく、具体的に言えることがあまりないので、抽象的に伝えることになる。
何か足りないですね、とか、このシーンのテンションをあげたいですね、とか、この作品の意義って何ですかね?とか。
抽象的なまま話を進めるのですごく頭を使うし、いざ作品に落とし込むのも簡単じゃない。
ただ、ひとつ思うのが、ベテラン作家に具体的に伝えるのも必要じゃないだろうか?
恐らく、優れたベテラン作家には、具体的に伝える方が作家の成長につながる、新人作家とは逆の結果になるかもしれない。
今は仮説止まりだけど今後確かめていきたい。