中距離核戦力(INF)全廃条約離脱につき

「核条約の死で揺れるアジア 日本の選択は」:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41027050X00C19A2TCR000/

中距離核戦力(INF)全廃条約を米国が今月2日に離脱を決め、ロシアも履行をやめた。

この記事を書いた秋田浩之さんは、この条約を蘇生させるのは難しそうだと語る。

また米ソのみならず、条約外の中国の急増するミサイル。

このほか、インドやパキスタンも中距離ミサイルを増やしている。では、日本はどうすべきなのか。理想をいえば、中国を含めた新たな枠組みをつくり、核・ミサイル軍拡を防ぐのが最良だ。その目標は追求すべきだが、中国が応じる兆しは全くない。

アジア太平洋がミサイルで睨みあう不毛な状況に。日本が外交努力でアジアの安定を図り、世界の軍縮をリードして欲しいけど難しいだろうな。

こうした展開に歯止めをかけるうえで、日本にもできることはある。安倍晋三首相はロシアとの平和条約交渉を加速している。この中で、アジア極東への中距離ミサイル配備を控えるよう、要求していくことがその一つだ。
もちろん、ロシアは強く拒むにちがいない。ただプーチン大統領は自国の安全保障が脅かされるとして、北方領土に米軍を駐留させないよう、日本に迫っている。ならば、同じ理由でミサイル不配備を安倍氏が迫るのは理にかなっている。
確約を得られないにしても、担保となる何らかの文言を平和条約に明記したいところだ。
第2に日本が急ぐべきなのは、中ロや北朝鮮が核ミサイルを増強しても米国の「核の傘」が揺らがないよう、日米の連携をより密にすることだ。
たとえば、日本は毎年、核抑止力に関する日米対話(局長級)を開き、「核の傘」がどうなっているのか、米側から機密情報を交えた説明を受けている。この回数を増やすとともに、次官、閣僚級に引き上げ、より突っ込んだ協議に改めるのも一案だろう。
これらは外交の努力だが、軍事上の対策も検討の余地がある。米国はINF条約上、持てなかった中距離ミサイルを導入するだろう。新たに開発するには最長、10年ほどかかるとみられるが、これらを使い、どうアジアの安定につなげるのか、今から米側と協議するのが望ましい。
その際、ロシアと並んで焦点になるのが、大きく開いた通常ミサイルの米中格差をどう埋め、均衡に近づけるのかだ。米軍略家の間ではグアムに加え、核弾頭を積まない中距離ミサイルを日本に置く案も議論されている。
このうち、日本への通常ミサイル配備はいわば、もろ刃の剣だ。中国が反発し、緊張が高まる恐れがある一方で、「米中のミサイル戦力差を縮め、中国軍の強気な行動を抑えるのに役立つ」(元米軍幹部)との分析もある。短所と長所をち密に精査し、判断すべきだろう。
日本が大国の背中を押し、軍縮の流れを引き出すのは簡単ではないが、必ずしも無理ではないはずだ。
1987年、INF条約の調印にこぎつけた背景には、中曽根康弘首相(当時)の粘り強い働きかけがあった。この成功体験をいま、改めて思い起こしたい。

きっと現政権はそんなイケてることをしてくれないだろう。


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