社会人の心理院受験勉強法②(心理用語編その1)
大学院別の出題難易度
英語の勉強と異なり、頭を悩ませたのは心理学の勉強。
基礎心理から臨床心理まで範囲が広い。広さだけでなく、深さも求められるのがやっかい。
各方面から失笑を買いそうだが、大変大雑把に言えば、大学院別の心理学試験の難易度はこんな感じ。ここで言う「知識」というのは「用語説明」で、「理解」は「論述(小論文)」「事例」「統計・研究」を指す。
A象限:国立・人気校(ムズい・マニアック)
B象限:その他の心理院(記述系)
C象限:その他の心理院(選択系)
申し訳ないが、私のnoteではA象限を志望する方は対象にしていない。A象限の学校を受けてもいない私がどうこう言える立場ではない。国立院向けの勉強については、harumeさんのnoteが失敗談も含めて書かれていて参考になるので、そちらを参照ください。
まあ、B象限の学校も難易度はピンキリなのだが、ここではシンプルに「用語説明」問題の用語は基本的なものが多く、論述問題等も難解ではないレベル、を対象にしたい。C象限の学校は、選択式中心なので一見楽に感じるが、小論文という名の長文論述で理解度を測られるところが多い。
心理学全体像をつかむ
心理初学者にとって、幅の広い心理学のどこに焦点を絞って学んだらいいかは大きなテーマだ。私はそれをやるために「カラー図解臨床心理学のすべてがわかる本」のような本を一通り読んだりしてみた。予備校で学ぶ場合、テキストや参考書に沿って進めてくれるので、ともするとそれに付き合ってしまう。しかしそこに甘んじると、自分の立ち位置が見えなくなる。早い段階で、自分が学ぶ全体像を眺めてみて、今学んでいることは全体のどのあたりになるのか、ということを認識しながらのほうが、後々に点を線にするのに役立つ。
また、C象限大学院の選択式過去問は、基礎心理から臨床心理、統計まで広く浅く全体像をつかむのに役に立った。参考書などを見ながら数年分解くと、基本的なところがかなり頭に入り、予備校の講義の聴き方も変わった。
心理学検定を学ぶ受験生もいるが、試験内容がやや異なるのでリアルな心理院の過去問のほうが私にはよかった。また公認心理師試験や臨床心理士試験も選択式で参考になるが、設問ごとの濃淡が激しいので、初学者にはオススメできない。
ちなみに私が知る限りの選択式系(穴埋めもあり)の首都圏にある心理院は下記の通り。
目白・神奈川・国際医療福祉・北里・帝京平成・武蔵野(ちょっとマニアックな問題あり)
心理用語説明対策
さて、B象限の多くの心理院が口裏を合わせたように出題するのが「用語説明」。「ワーキングメモリー」「社会的参照」「系統的脱感作」「措置入院」など心理学に関わる用語を150−200字で過不足なく説明するもの。少ないと2問、多いと10問くらい。これが傾向がある程度あればよいのだが、大学院によって、また年度によって変わるからタチが悪い。
用語説明のバイブルとも言える心理学キーワード&キーパーソン事典 だけで約800語掲載がある。この事典は重要度によって☆が1〜3個付いている。あまり出ないとおぼしき☆1つを除いても500語以上はある。ちなみに受験生の必須書と言われる河合塾KALSの鉄則10&キーワード100は私はあまり好きでなかった。所詮100語しか載ってないし、その100語の説明文が腑に落ちなかったからだ。みんな読んでいると思うと気が乗らなかった。
心理初学者である私は最初に、上記の心理学キーワード事典約800語を全部音声でiPhoneのDictaphoneというアプリに吹き込んだ。音声で毎日聞くことでだんだん定着するし、一度でも読めば全体感がつかめると思ったからだ。1語あたり400〜600字くらいで書かれているのを1日40語くらいずつ吹き込んで、1ヶ月くらいで全部吹き込んだ。それなりに達成感、充実感があった。それを隙間時間に聞くようにした。
…と、書いてあると「えらいなあ」と思う方もいるかもしれないが、あいにく私にとってはこの音声はほとんど意味をなさなかった。全然頭に入らない。というのも、心理学の基本的な知識もないのに、まとまってもいない専門用語をつらつら聞いたところで、ただの入眠剤にしかならなかったからだ。このやり方は、用語をある程度絞ったり、用語を理解できるようになってからのほうが機能すると思う。
オススメ法その1
今の私がオススメするなら、受験勉強前半は超定番キーワード100用語くらいを、自分の言葉でいいから1行くらいで説明できるようになることだ。どの用語にするかは、参考書やテキストなど数冊を見れば、だいたい同じ用語が太字になっているので、まずはそれだけでよい。あるいは発達心理学でも精神医学でも好きな分野からでもよい。それが100語できたら増やしていけばいいし、1行で説明できるようになれば、勉強時間とともに自然にそれに情報が付加されていく。心理学でいう「シェイピング」の手法だ。
用語のまとめ方はノート式・情報カード式・デジタルデータ式などいろいろあるが、私は情報カード式にした。iPad愛好者である私だが、暇を見て覚えることを目的にする場合は、カード式のほうが電車や食事中などにすぐに出せたり、思いついたときに書き込みができるほうがよかったからだ。
音声化が合わなかった私は、過去問分析をして、どのあたりのジャンルを覚えたらいいか、的を絞るようにした。志望校の過去問を数年分洗い出し、出題分野の最近の傾向や頻出用語などを分析した。とにかく効率を求め、片っ端から覚えるというのはやりたくなかった。
ただ結果的に、私にとって用語説明を勉強する優先順位は受験前に下がった。というのも、他のnoteで触れたように志望校が受験3ヶ月前に変更になり、出題方式が選択中心+小論文に変わったからだ。なので、以下に私がやりたかった用語説明の勉強法をご紹介したい。
オススメ法その2
受験勉強後半になったら、インプットよりアウトプット主体にすべきだ。用語説明については、1日5語〜10語(やれる範囲で)をアウトプットテストをする。範囲は絞ってもよいし、ランダムでもよい。あまりマニアックな用語はいらない。書けても書けなくても、とにかく頭の中から絞り出す練習を積み重ねる。これが一番鍛えられる。用語集を何周もするとか、赤シートで隠すなどのやり方もあるが、私はそれは合わなかった。現在の予備校では、このデイリーテストをやってくれるところはないようなので、気が向いたら私がメールマガジンのような形でやろうかと思っている。月に150語×3ヶ月もやれば、用語説明は怖くなくなるはずだ。
用語を選ぶまではまだよいが、それを200字にまとめるのが実は一番大変。それは「心理用語編その2」にて。