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考えすぎと俯瞰のリズム

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へんなものを見つけて考えて遠くから眺める 整合性と破壊、偏愛と狂気/冷静な神経質
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2018年12月の記事一覧

民衆の敵とは誰なのか

Bunkamuraシアターコクーンで上演中の『民衆の敵』を見ました。以下ネタバレを多く含みますが、「近代演劇の父」と呼ばれるイプセンの作品なので、ネタバレ程度ではこの戯曲の面白さは損なわれないだろう、と勝手に解釈して、がんがんとネタバレも交えて書こうと思います。 舞台のいいところは生身の人間が目の前で演じるところにあると思っているので、「噓から出たまこと」という言葉があるように虚構であると同時にその世界を現実に体験でき、youtubeで音楽が無料でいつでも聞ける時代になって

うしろのワイパー

ワイパーはいつでも、車のガラスからしずくを払ってくれる。 一定のリズムで淡々と自分の仕事をこなすワイパーは、毎日毎日会社に行って指示を受けて働く人間のようだな、と久しぶり雨が降った日に、その中をゆく車を眺めているときに思った。 幼いころ、日曜日になると蕎麦屋に出かけるのが我が家の定番だった。 蕎麦屋に向かう車では、前方には大人が、後方に子供が座った。 日曜日は特別朝の遅かった我が家では、15時まえに蕎麦屋に向かうのがたいていだった。 毎週通っていたから、もちろん雨の

おいしい読書

小学生のころに読書カードというものがあった。あれはどこの学校にもあったのだろうか。 僕の学校の読書カードは、自分の読んだ本を記録し、月に一度くらい先生に見せる。そしてスタンプをもらう、というものだった。 帰りの会の先生はときどきこの読書カードを話題にした。先生は読書をたくさんすることを褒めた。色んな世界を見たり、感じたりするのに読書はいい、と教えてくれた。 先生のねらい通り、生徒たちは読書する子はかっこいい、という空気を作り出した。もちろんかっこよさでいうと足の速い子に

ふゆのおとずれ

紅葉が終わり、風が吹く。 植物から色がどんどんなくなっていく頃、朝起きるのがつらくなる。 まだ起きなくて大丈夫、あと5分寝よう。そうやってまた目を閉じる。 起きなくてはいけない理由など、何も無いように思う。 そして、あたたかい布団から出ない理由は無限に出てくる。 空腹ごときでは僕を布団からは引っ張り出せない。先回りして枕元にパンを置いている。 暁を覚えないのは春だけではない。むしろ冬は起きていてもかたくなに布団という聖域を守ろうとする。 あたたかい布団とや

夕日が沈まないころの話

高校一年生の春、僕はサッカー部に入れなかった。新入生が入部届を提出するはずの日の放課後、徐々に人が減っていく教室で、いつまでもいつまでも椅子から立ち上がれなかった。体験入部にも行き、入部届も書いていたのにもかかわらず。 とても奇妙な時間だった。幼稚園の頃からサッカーを好きで続けていたから高校でも当然続けるものだと考えていた。確かに体験入部の時に何かが違うなとは思ったが、入らないという決断をするにはあまりに漠然とした理由だった。この理由は今でもわからない。なんとなく入らなかっ