安乗と出会う
定年退職後はグランピング施設のオーナーになろうと、2021年からあちこち土地探しをしていました。終の棲家となる場所は、お茶やみかんが育つような場所が良いかなと、静岡県内であちこち探しました。まず候補になったのは浜名湖がある浜松市。しかし色々と規制が厳しくって、景観の良い場所はほとんど建設できない土地。良い場所があっても値段が高い。それでは規制の少ない伊豆半島あたりを探してみたけど、広くって景観の良い場所はとんでもない価格。そもそも平らな土地がなく、海が見える場所はすごいお値段。さらには富士山が見える場所とかもあちこち探してみたけれど、国立公園法の規制が大きく立ちふさがっていました。そんなわけで静岡県内は無理かなと思い、ちょこっと気分転換に出かけた三重県志摩市で、安乗埼灯台と出会いました。
安乗埼灯台からの絶景
この安乗埼灯台、日本で16か所ある登ることができる灯台です。大変珍しい四角い形の灯台でもあります。登るのに300円を支払い、灯台から見た景色が表題の写真の風景です。
普通は灯台から写す景色って、海の側の風景が多いのですが、安乗埼は360度の中で、330度が海で、陸側が30度だけという尖がった地形です。まずは波の荒い太平洋と、穏やかな的矢湾に挟まれた半島部分の対照的な風景がすごい。
北側の海の先には的矢湾越しに鳥羽市の相差が見える。牡蠣小屋や、海女さんが有名な観光地ですね。防波堤の西側にはほとんど波がありません。東側には愛知県渥美半島の田原市がうっすらと見え、空気の澄んだ時には富士山も見えることもあります。そして黒潮が直接打ち付ける岸壁の白波。なかなか他では見ることができない絶景です。
売地の看板
そしてその帰りの道、灯台の付け根付近で、売地の看板が朽ち果てて、足が折れている土地を見つけるのでした。
売地は安乗岬から1kmほど戻った道沿いにあり、アットホームで検索してみたら2390万円で販売していました。土地の広さは約800坪。坪単価は3万円です。静岡県であちこち土地探しをしていた経験を踏まえてみれば、あきらかに安すぎる。伊豆でこの条件ならば坪20万円はするはずで、浜名湖の奥のあたりでも坪8万円はしていました。きっと何らかの開発できないような条件があるんだろうと思いました。伊勢志摩国立公園の真っただ中です。自然公園法の特別地域だと、道路から20m以内は建物が建てられないとか、色々と制限がつくのです。
とりあえずダメ元で、不動産屋さんに連絡を取ってみると、全く何にも制限がかかっていない普通地域でした。えーーーーーーーーって感じ。そのうえ、この土地って、元々は30年くらい前までは住居が立っていた場所だったので、電気、水道だけでなく、なんと下水道まで接続可能だったのです。
さらにラッキーは続きます。土地の広さが800坪ということは2600㎡です。これ3000㎡を超えていると、開発申請とかが必要になりますが、少し狭いおかげで全く申請が不要でした。また地目は森林ですが、実態はうっそうと茂る竹藪だらけの土地です。そして道路から4mほど上がった部分には1500㎡のほとんど平らな平地がある場所だったのです。5m以上の段差があると、土砂災害特別警戒区域に指定されてしまったりしますが、5m未満だと崖条例をクリアするだけで良いのです。
グランピング施設の建設をしようとする場所って、ほとんどが電気など来ていないし、水道は井戸ってのが普通です。逆にそれらが整っているような場所って、自然が感じられなくって、グランピング施設作っても、お客さんが楽しめそうにないよねって感じの場所になるのです。
新鮮魚介の「まるせい」との出会い
売地の看板からさらに2km、あのりふぐの「まるせい」さんでお昼ごはんを食べました。ちょうど天然のあのりふぐは漁が3月いっぱいで終わってしまっていて、今回は食べられないということで、夏ふぐ御膳と、地元の海鮮丼をいただきました。
この料理が安乗への移住を決定づけました。今まで食べたどの海鮮料理よりも弾力に満ち、途中で噛むのをあきらめようかと思うほどのレベルの海鮮丼でした。夏ふぐ御膳は、とらふぐではなく、まふぐをメインにした料理なのですが、生ではとらふぐに劣るまふぐを、たたきや、唐揚げ、炊き込みご飯、土瓶蒸しにすることで、旨味を上手に引き出した料理でした。それも安乗という目の前で最高の魚があがる良港にお店があるからこその味でした。
わたしは第2の人生に進むにあたって、捨ててよいものと、絶対に大事にしたいものを仕分けしてみましたが、その中で絶対に捨てたくないものの第1位が海で、第2位が美味しい魚介だったのです。つまり安乗はわたしにとって、まさに運命の出会いであったと思います。
ちなみに第3位はパンなんですが、このパンもすぐ後に「マキズベーカリー」というフランス帰りの移住者と知り合うことになるので、まさに安乗との出会いは天恵ということだったのでしょう。
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