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映画(ホラー以外)

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明滅する光と闇の記憶装置に関するてきとうな感想を、それっぽく書いているだけです。
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#ホアキン・フェニックス

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』 悪のカリスマなんか存在しないから、ただの犯罪者だから、犯罪者の最期はこういうことだから、とひたすら訴える犯罪抑止映画

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(2024年/トッド・フィリップス) 【あらすじ】 悪いことをしたので裁かれる 誠実で覚悟のある映画だと感じた。全く嫌悪感は抱かないけれど、このビッグバジェットでこの構造、ヒットするはずがない……。 でも、作品のヒットとか観客の欲求とかを全て放棄して、同じ監督同じキャストで「作らなければけじめがつかなかった」作品、挑戦として漏れなく成功していると感じた。 一先ず、「ジョーカーは俺だ」なんて言っちゃうワナビーに対して、「絶対に犯罪なんかし

『ジョーカー』 優しさと可愛らしさの眼差しで撮られたはずの映画が、インセルからの過剰支持を受けるというジョーク

『ジョーカー』(2019年/トッド・フィリップス) 【あらすじ】 ピエロはつらいよ 教科書から抜粋したかのような模範解答的な狂気を以ってして、本作を評価する気は起きない。しかしながらこの映画には、ホアキン・フェニックスという生き物の怪演が記録されている。しかもその生き物の記録として向けられる視線が、あまりにも愛情の眼差しに溢れていて、そこに好感が抱ける。 端的に言って、自分には主人公アーサーが「可哀想」というよりも「可愛らしい人」として撮られているように感じられる。それ