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Bluetoothスピーカー付デジタルマルチメーターのレビュー

■はじめに
私は電子工作をちょいちょいするのですが、テスター(デジタルマルチメーター)は何個か持っているのに、なぜかまた欲しくなります。
最近は長時間工作をすることが多くて、手持ちのテスターだと電池の消耗が気になる、液晶表示が見にくい、もう少しレスポンスが早い方がいい、等の問題があり、それらを解消できるベンチトップ型のマルチメーターが欲しいと思っていました。
しかし、ネット上で物色しても、ベンチトップ型は基本プロ用なので価格が高く(10万円~)オーバースペックなものばかりで、中華ブランドのものでも2万円以上します。
そんな中、USB給電で使えるBluetoothスピーカー付きマルチメーターなるものをAliexpressで見つけました。日本でのレビューを見かけませんでしたが、youtubeで海外のレビュー動画が何本かあり、結構良さげな雰囲気だったので購入してみました。
■購入について
AliExpressで、2020年5月に約70ドル(約7500円)で購入しました。

他ブランドで幾つかOEM品がありましたが、ストアの実績がありそうなBSIDEから購入しました。Amazon、楽天でも一応ありますが、高いです(1万円以上)。
バッテリー付属モデルと無しモデルがあり、私は無しモデルを購入。 

■機能・スペック
本機は、オーディオ機器のような見た目で、マルチメーターの機能的には、電流や周波数、コンデンサ容量も測定でき、中級機と言えると思います。特徴はなんと言っても、Bluetoothスピーカー付きなことです。あと、時計、アラーム、温度計が付いてます。
精度的には、最近のマルチメーターであれば、趣味で使うにはにまず問題はないでしょうが、一応仕様を確認します。
仕様表にAccuracyと書かれている、測定の正確さを表す「確度」は、一般的に言う精度のことで、簡単に言えば真の値に対しての表示値のズレの範囲のことです。マルチメーターは、抵抗や電流も内部でDC電圧に変換して表示しているので、DC電圧の確度が基本となるそうです。
で、本機のDC電圧の確度は±(0.05%+3digit) となっています。例えば本機での表示が10.000Vの時、9.992~10.008Vの範囲に真の値があることになります。これは日本メーカーの2~3万円クラスの製品と同レベルのようです。
また、本機は19999カウントで、一番多用する1.9999Vを超えて19.999Vまでのレンジでは0.001V単位で表示され(分解能は1mV)、同価格帯のマルチメーターでは普通0.01Vですので、一桁多いです。
あは、サンプリングレートは3回/秒、ACは真の実効値表示です。

■使用感(レスポンス)
私がマルチメーターの性能で重視するのは、確度よりもオートレンジでのレスポンスです。つまり、テストリードを測定対象に当ててから測定値が安定(確定)するまでの時間が早い方がいい。オートレンジ測定時は、テストリードを当ててから、レンジを順次切り替えて最適なレンジを探すという動作をするので、レンジ固定時より測定値が安定するまで時間が掛かります。さらに、テストリードと測定物の接触が少しでも離れると、また最初からやり直すのでイライラします。
この安定までの時間はテスターによって結構差があります。
手持ちのテスターを含め実際に測定してみたのですが、結果的に本機は2番目に早かったです。
測定方法は、
① 1kΩの抵抗器を測って数値が安定するまでの時間
② 乾電池の電圧を測って数値が安定するまでの時間
を測定しました。いずれもオートレンジモードです。
結果は、
・本機                :①1.7秒 ②2.3秒
・KAISE SK-6544:①1.0秒 ②1.0秒
・SANWA CD771:①3.1秒 ②2.9秒
・マザーツール MT-4080J:①3.5秒 ②2.5秒
①②とも、KAISE SK-6544が1番早く、次に本機でした。本機は他の3台より表示桁数が1桁多いので、その分時間がかかるのかもしれません。実際の使用時は最小桁はほとんど読まないので、その場合もっと早く読み取れます。
KAISE SK-6544の購入価格は忘れましたが5~6千円と記憶していますので、価格の割に頑張っていると思います。

■使用感(表示)
数字が大きく、反転液晶であることと、バックライトが常時点いているので、かなり見やすいです。これだけで買った価値はあると思うほどです。

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■使用感(操作性)
測定モードの切替はボタン式で、テスターでは一般的なダイヤル式に比べ片手で操作しやすいです。特にカード型のテスターはダイヤルを回しにくくて長期使用していると接触も不安定になりがちですし。
ちなみに、本機のダイヤルは、スピーカー音量調整と、測定レンジ切替に使用します。

■使用感(デザイン)
好みがありますが、スッキリとしているし、私は黒/赤が好きな事もあり好みです。本体が黒というのも以外と測定器では珍しいのでは。測定機は白系が多いのであまり統一感はありませんが。

■スピーカー機能
本機の売り(?)であるスピーカー機能ですが、音楽信号の入力はBluetooth接続のみです。スマホと繋いでみましたが、すぐに繋がり使い勝手はいいです(本機のボタン操作は不要)。
音は、高音と低音が大きめでドンシャリ傾向と感じました。まあ、BGMを聞くには問題ない音質かと思います。
最大音量でも音割れしないところはいい。音量操作はダイヤルで操作しやすい。なお、スタンバイモードに入っても音楽は切れませんでした。

■消費電流
簡易的なUSBチェッカーで測定して、
スピーカーを使用していない時は、概ね0.05~0.07Aでした。
スピーカー最大音量で使用時は、概ね0.08~0.11Aでした。
結構、低消費電力?

■精度
DC電圧について、一般的に入手可能な中で一番精度が高いと思われる基準電圧機 

の①5Vと②10V を測定しました。結果は、
・本機                :①4.999V ②9.998V
・KAISE SK-6544:①5.02V ②10.04V
・SANWA CD771:①4.97V ②9.94V
・マザーツール MT-4080J:①5.00V ②10.00V
本機は確度仕様①5±0.006V以内、②10±0.008V以内 に収まっていました。あと、マザーツール MT-4080Jはレスポンスは遅いが精度は優秀ですね。
以上は、あくまで基準電圧機が5.000V/10.000Vをピッタリ出している仮定での話です。
次に、抵抗値については許容差±0.01%と超高精度の金属箔抵抗器(1kΩ)

を測定しました。結果は、
・本機                :1.0000kΩ
・KAISE SK-6544:1.002kΩ
・SANWA CD771:1.000kΩ
・マザーツール MT-4080J:0.997kΩ
本機は確度仕様1k±0.0023kΩ以内に収まっていました。まあ正直、抵抗値を精密に測定することは滅多にないですが、これだけ精度がいいと安心。
以上の結果でしたが、本機は趣味レベルには十分に高確度でした。製品には個体差があり一概にその機種が良い悪いは言えませんので目安と考えて下さい。※比較対象の3台は購入後3年は経っているので経年劣化があり条件的には不利です。

■短所
電源スイッチが背面にあって使いにくいです。

■総評
購入前は、スピーカーや時計が付いていて、マルチメーターは中途半端な性能かとあまり期待していませんでしたが、使ってみて、趣味レベルには十分な精度を持っているし、表示の見やすさは期待通りのものでした。レスポンスはもう少し早いと良かった。
マルチメーターの性能的には国内メーカーの2~3万円クラスと同等で、オマケの機能を考慮するとコスパはかなりいいと思います。ベンチトップ機が欲しいが、ガチのものを買うほどでもない、という方には買いではないでしょうか。
最後に、youtubeに詳細なレビュー動画を上げていますので、よろしかったらご覧下さい。



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