ウマ娘『トレーナー相性◎』―ナリタタイシン

 ビワハヤヒデ、ウイニングチケットの三人で食事を摂っていると、ふと各々のトレーナーを自慢するような話題が始まった。ビワハヤヒデは「私の理論に対して理解を示してくれる人だ」と、ウイニングチケットは「一緒に本気でダービーを目指してくれる大切な相棒だよ!」と楽しげに告げるが、しかし自分はトレーナーを褒める言葉がパッと思いつかない。そんな自分の本心に気づいてしまったことで、『もしかしてアタシとトレーナーは、最適なパートナーじゃないのか?』と不安になってくる。
 だがライバルである二人にそんな感情を見せる訳にもいかないので、「アタシたちは普通。特に変わったことも無いよ」とだけ話すことにした。ややぶっきらぼうな声色になったせいか、二人とも心配そうな表情を浮かべている。するとビワハヤヒデが慰めるように、「確かにタイシンにはもう少し冷静なトレーナーの方が合っているかもしれないな。トレーナーを変えるのは珍しいことではないし、彼に相談してみるのも一つの手だ」と口にする――がその瞬間、頭に血が上る感覚が訪れ、「うるさい!余計なお世話だ!!」と立ち上がりながら叫んでしまった。食堂中が一瞬にして静まり返る。

 その声を聞いて「あ、あぁ…すまない。本当に余計なお世話だったらしい」と少し嬉しそうに謝罪の言葉を述べるビワハヤヒデと、目をキラキラとさせているウイニングチケットを見て、『やらかした』と顔を赤く染めると同時に、『アタシもちゃんとトレーナーを大事に思えていたんだ』と安心し、こっそりと胸を撫で下ろすナリタタイシン。

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