【感想】『元禄バロックロック』
三井住友VISAカード シアター
忠臣蔵ファンタジー
『元禄バロックロック』
作・演出/谷 貴矢
公演中止が相次ぐなか、幸運にも2回東京宝塚劇場で観劇することが出来ました。
一度目は、中止になる前日で観劇後のハッピーな余韻も醒めやらず、近日に控えた雪組中止も重なり大きなダメージでさした。
2回目は大楽の二日前でした。観れなかった人達を思うと、この貴重なチケットがどれほどありがたい事であったか…心から感謝の気持ちで臨みました。
結論から言うと、この『元禄バロックロック』は宝塚作品の中でもかなり大好きな作品です。華やかで多幸感に溢れていて、非業な忠臣蔵をモチーフにしたとは思えないくらい笑
1度目の観劇後に、吉良邸があった両国を散歩したり、何となく作品の余韻に浸るなどしました。
さて、感想の本筋に入りたいと思います。例によって、ネタバレは有りますのでお知りになりたくない方はご容赦ください。
個人的に、ネタバレなく見た方が楽しい作品かと思います。
谷先生が担当された義経、出島に続く和物第三弾。義経は正直刺さらなかったのですが笑
個人的には、谷先生は主演男性役をとにかく格好良く美しく作られる(ダルレークも良かった!)安心感があります。
作風はよくライトノベルだと揶揄されているようですが、ライトノベルを読んだことがないので、その辺りの感覚が良く分かりません笑
また、加藤真美さんのお衣装が毎度ツボで、谷先生とはどのような打ち合わせを経てあの世界観を構築なさるんだろう?と興味が湧きます。
実は、祖父母の影響もあり、宝塚にハマる前は時代劇専門チャンネルを楽しむ子供時代でしたので、忠臣蔵も例によって何度も見ております。
愛読している「大奥」というマンガにも、大石内蔵助や浅野内匠頭、吉良上野介のくだりがありそれぞれの思い入れを持ちながら観ました。
とはいえ、忠臣蔵を知らずとも全然楽しめるし、むしろキャラクターの設定を使った別物のファンタジーかなと思います。
忠臣蔵は、吉良が圧倒的に敵役として描かれる物語です。
吉良を演じた水美舞人さんは美しく怪しい色気を持つ悪役なんだけれども、自分なりに国を想い、その為に生きている部分が垣間見えて憎みきれない。
この話には根からの悪役というものがいないのだなと感じました。
時計職人が時を戻す時計を造るファンタジー話なのだけど、物語のメッセージは過去に囚われず前を向いて未来を生きていこうという前向きなものだと解釈できました。
時計がなくって(本当はあったけど)後戻りできなくなったからこそ、皆を救うために奔走するキラの姿を思うと成功して欲しいと心から願います。
前向きなメッセージ性が、観劇後に非常に爽やかに気持ちに感じれた所以なのかなぁなんて思っています。
そして、主演の二人が終始少女マンガみたいにラブラブでしあわせそう。麗しい男子が宝物みたいにお姫様を扱ってくれる。それだけで非日常感。
柚香光さんは、容姿もいいんだけど、柚香光を全力で演じて皆をハッピーにさせてくれるくれところがいい!!と何度も強く思いました。
ラスト二人で捌けていく時も温かい気持ちになりました。
2回観劇していたので、結末を知ってから星風まどかさんが演じるキラの表情や仕草を追うと合点がいくというか。
立ち回りも、何度もみてきたから余裕の風情を漂わせていたんだなと。
それでも、時間という牢獄を旅して、自分の愛する人を守ろうと孤軍奮闘していたのね、強い女性だなと涙が溢れました。(まわりの雰囲気的に、どなたも泣いてる様子がなくて恥ずかしかった笑)
吉良邸から両国橋、隅田川は近くて閉じ込められた姫が花火を好きな人と見れてしあわせを感じる事ができた。
その説得力がある演技がとても良かったです。
最後のオチは、水戸黄門だったけど笑
確かにオチをつけるには楽なんだけど。もっと捻りが欲しいというのは贅沢かしら…
キャストの感想
柚香光さんのクロノスケ
最高のハマり役だった。個人的には、丸メガネをあれだけスタイリッシュに似合わせる顔面が強すぎる…好き…と何度も恋しました。
かっこいいのに、可愛い。
キラに向き合って彼女の両肩に腕を乗せる身長差にもときめくし
二人が結ばれる暗転する間際の美しい横顔に鼻から血が出そうになった笑
柚香光さんのおかげで、忘れていたときめきを思い出す事ができて感謝しかないです笑
あの、女慣れしてるようで惚れた女性にはデレて転がされてるの嫌いじゃないです。(太字にしたい)
キラの星風まどかさん
可愛かった…インナーカラーが入った黒髪ストレートの姫カット、メッシュが入ったふんわりボブどちらの鬘も似合いすぎてた。
過去の傾城風の鬘もかわいかったなー
歌が上手いし、身のこなしも綺麗。切なさを滲ませつつ強い女性を好演されていたと思う。
宙組のイメージもあるけど、新天地でがんばるまどかさんに心からエールを送りたいです。
コウズノスケの水美さん、凄く仕上がりを感じた。敵役なのだけど、セクシーでかっこいい…クノイチもメロメロよ。
やはりお若く見えるのでケイショウインを演じる美風舞良さんとの見た目がマッチするかというと若いツバメにしか見えず微妙…なんだけど二人がしあわせならいいのか。
ケイショウインも、立場ある人なのに傾城風な衣装で髪は崩れてるし、院なのに僧籍じゃないのかとか余計な事を考えてしまう。まあ、ファンタジーだからいいのか(2度目)
タクミノカミの聖乃さんは、やはり美人で人ならざるモノの説得力を持っていた。
凄く声量があって、前から??とびっくり。切なさを滲ませ敵討を願うというよりかは赤穂浪士達のしあわせを願って見守っていたように思いました。
クラノスケの永久輝せあさん、わたしがひとこさんファンという贔屓目がかなりあります。
クラノスケのイメージをいい意味で覆してくれるダークさは、ひとこさんの持ち味かしら。二面性の演じ分けが絶妙。
そして、陣羽織と額当てが似合う。雪組で沖田総司も似合っていたし。もっと観たかったな。
音さんのツナヨシ、可愛い器用な音さんならではなのかな。
普通だったら役に食われるよね。
本当は賢君だったとも言われる綱吉公ぽさを感じれた。
他に気になった人
カエデ、ツバキのクノイチ可愛かったな。星空さん硬い感じは演出?美羽さんチャーミングだな。この二人が自分のクノイチならば仕事頑張れるわ笑
ラッキーこいこいメンバーがいい。和海さん羽立さんのイケボ二人大好き(ショーの歌い継ぎも最高)
赤穂浪士で目立っていた(贔屓目か?)帆純まひろさん 顔が綺麗で目を惹く。もっと出番が欲しい。陣羽織似合うので、浅葱の羽織を着て欲しい…似合うから。
赤穂浪士の皆さん美形も何人かいて、花組分からない人多いのが残念…勉強します!
ヨミウリ、新聞売りの人何という頭身なんだ?!とびっくり。パンフレット読んで希波らいとさんかー。矢沢あいのマンガ並みのスタイルだった。ちょい役なのに、しっかり爪痕を残していくタイプ…好き。
ツナヨシのお小姓は、初音夢さんと湖春ひめ花さんだったのね。特に向かって左に座するお小姓の声がいい。ロングトーンも美しかった。顔も綺麗でした。
気付けば、過去最長の感想になっている気がする。本音を言うとあと何回か生観劇したかった!新年から名作に出会えて満足です。