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自分のモノサシ

社会人1年目のワタシ。
今思い返してみると、どこまでも自由で何にも縛られていない、まるで形をころころ変える空に漂う雲のようだった。
今のワタシにしてみたら羨ましすぎて妬ましく思えるくらい、何にもとらわれない、既成概念に縛られないで過ごせていた時代だった。

私は学生時代、化学を専攻していた。理由は至極簡単で、実験が好きだったし、目に見えるもの、現実のことを理屈で説明するというのが好きだったからだ。今の私なら、宗教とか哲学とか、社会科学、はたまた数学を選ぶかもしれない。あの頃に比べて、ちょっとは成長して目に見えないものを追求したくなってきた。仮説の上に仮説を重ねることに夢を見られるようにもなった。
とにかくあの頃は、現実社会の身近なことだけが私の世界の全てだった。

そんな私が就職活動に直面して、一番に感じたのは「どの会社がどんな会社かなんてわからない。どの部署が何をやってる部署かも分からない。」という戸惑いだった。そんなの当たり前だ。社会に出て20年の今でさえ、どの会社のどの部署はこんなだってすぐには言えないし、推測はできても正確な解は持ち合わせていない。その結果、私が出した結論は「分からないから各業界1社ずつ受けてみよう!」というものだった。実際に会社説明会に行ったり面接に行ったりしてみると、なんとなーく朧気ではあるが、見えてくるものもある。そして気づかなかった自分にも気づくようになる。

最終的に私は、医療の世界に足を踏み入れることにした。日本は皆保険制度だし医療は公共性が高く、多くの人の生活に寄与できると思った。だからと言って私はNPOや官公庁に魅せられることはなく、あくまでもビジネスに興味があったので、某製薬企業に入社を決めた。
社会人1年目のワタシは、リクルートスーツに反発し、研修中は睡眠とお喋り、早く現場に出たくてエネルギーを持て余しているだけの、あまり優等生とは言えない子だったけど、なぜか何の不安も不満もなく、自由だった。自分のモノサシさえもなく、何にとらわれることもなく。

社会人1年目のワタシへ。
あなたの直感と選択は間違っていなかった。今も私はこうして職を転々としながらも、一貫して医療に携わっている。そこに意義と喜びと情熱と使命感を持って日々過ごしている。それは1年目のワタシが、何にもとらわれず、自由に心の赴くままに行動し、流されたからだ。
自由で奔放に社会に飛び出せたからこそ、そして既成概念もモノサシもなかったからこそ、仕事に情熱を持ち続けることができた。その社会人としての日々の中で自分なりの価値観、モノサシを作り上げることもできた。何事でも為せば成るのだから、何も心配せずに不安なんか持たずに、そのままのワタシで良いのだ。

今年も、社会人1年目の若い子たちを、通勤電車や職場で目にするたびに、思い出す20年前の自由なワタシ。

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Robin
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