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遺伝子治療薬コラテジェンの承認と花粉症治療薬保険適用外の関係

厚生労働省は、国内初の遺伝子治療薬「コラテジェン」を9月から公的医療保険の適用対象とする方針を固めた。遺伝子治療薬への保険適用は初めてで投与1回あたりの公定価格は60万円となる。

あれ、過去最高の約3349万円となったキムリアも遺伝子治療薬じゃないの?と思った方、鋭い!

遺伝子治療というジャンルでは、キムリアもコラテジェンも遺伝子治療を行う治療薬と言う意味で同じ。
けれども、キムリアは患者の細胞を取り出す→遺伝子を加える→患者に戻すという治療で「ヒト細胞加工製品」に分類される。
一方、コラテジェンは体に遺伝子を直接投与する「遺伝子治療用製品」という分類に属する。

一言で遺伝子治療と言っても微妙に違う。ややこしい。
でも、これからもっともっと治療はややこしくなっていく。
ちょっとずつ違う投与方法、ちょっとずつ違う技術を活用した新たなモダリティの治療が研究されているからだ。

低分子がメインだった時代は、ちょびっとだけ構造の違う似たような化合物、似たような剤型、似たような薬がたくさんあった。
これからはそういう時代じゃない。
だから出るもの、出るものに何かと「初」が付く。

日本の薬価収載の仕組みを見ると、「初」モノは薬価が高く設定される仕組みになっているため、今後も高額治療が世に出るようになるはずだ。
しかし、その一方で医療費はキャップがされており、限られた財源の中で国民は治療を受けなければならない。
そこで出てきたのが花粉症治療薬は保険適用外、という苦渋の選択だ。

もともと、花粉症自体は命の危険を伴うリスクが小さい。
尚且つ製薬企業にとっても利幅の大きな薬剤であるわけでもなければ、治療する医療機関にとっても診療報酬が高い治療と言うわけでもない。
にも関わらず、国民病ともいえるほど患者数は多いのが花粉症。
いわゆる薄利多売のマーケット。
これを保険適用外とすることでどんなメリットがあるのか。
ガンなどの予後の悪い疾患の治療に充てられるし、人手不足の医療機関では季節性の患者数増がなくなるので、患者さん一人一人に充てる時間に余裕が持てたり、待ち時間を減らすこともできる。
ちょっと手間ではあるけれども、確定申告をすればセルフメディケーション減税も受けることができるので、実質10割負担というわけでもない。

とはいえ、医療機関で診てもらわずに複数の薬剤から選択しなければならず、確定申告をする必要があるというのは万人に優しい話とも言えないかもしれない。
けれども、遺伝子治療薬のような高額だが画期的な医薬品の登場と、花粉症治療薬の保険適用除外にはこんな関係性があるのだ。

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