結婚指輪購入の旅①
結婚することになって、指輪を選ぶことにした。
ふたつきくらい前のことである。
結婚するとなぜ指輪をつけるのかわからないが、それはともかく、私は指輪が好きである。
パソコンのキーボードをパチパチするときに、指にキラキラひかる輪っかがついているだけで、気持ちがフワフワする。
ようし、頑張るぞ、といったやる気であったり、ううむ、いっちょ仕事をサボるか、という勇気がわいたりする。
つまり、つけていてもつけていなくても仕事はサボるが、気持ちは高揚してしまうのだ。
ダイヤがついていると尚良い。
なぜなら相手をぶん殴ったときに、より威力があるからである。
いつ何時だって、乙女は怯んではいけない。
話を戻すが、結婚するということは、いままでつけられなかった左手薬指に指輪をつけられるということだ。
つまり、全ての指に指輪をつけて、メリケンサックのようにすれ違う人々(肩をぶつけてくるおじさんや、高圧的な職場の先輩など)に威嚇することができるのである。
野生、という観点でも、指輪はすばらしい。
■どんな指輪がいいだろう
とりあえず銀座にいけば、指輪はいくらでも選べるぞ
というのは先人(既婚者)から得た情報である。
なぜ銀座かというと、あらゆるブライダルジュエリーやアッパーな方向けのブランド様が勢ぞろいしているため、比較検討しやすいというのである。
ブルッ。
銀座とは、知っている人は知っていると思うが、恐ろしい街である。
あの街の周囲には、約3メートルの鉄柵が張り巡らされている。
なんのためかというと、私のような銀座に相応しくない人間を排除するためである。
銀座に入るにはビザがいる。
獲得は難しい。
美しいこと、金があること、その日の朝、納豆を食べていないことなどの条件をクリアし、関所で通行手形をみせたあと、鬼滅の刃の鬼舞辻無惨の踏絵をさせられる。
一個でもかけていたら、即時斬首である。
そして、それらをクリアしても、滞在時間はたったの四時間しか許されない。
そこで私は、効率的に指輪を選ぶべく、指輪について事前に勉強をすることにした。
運が良ければ一生つけることになる指輪である。
しっかり選び、長いこと時間をともにしていきたいものだ。
これはほとんどホントでちょっぴり嘘な、わたしの指輪物語である。
つづく