「食用ほおずき」~黄金の果実 消費者に届くまで~
上小阿仁村は秋田県の内陸北部にある人口2,000人ほどの小さな村。もともと林業が盛んで、「秋田杉」の産地として栄えました。
上小阿仁村農業の面白いところが、「ズッキーニ」や「ベイナス」など他の地域ではマイナーな作物が多いこと。「食用ほおずき」もその1つです。平成8年頃から栽培が始まり、現在は6戸の生産者が年間約1トンを生産しています。
黄金色のつぶらな姿と甘酸っぱく爽快な独特の味わいが魅力の食用ほおずきですが、ここ上小阿仁村は昼夜の寒暖差が大きく、なんとメロンと同じ糖度まで育つことも!ソフトクリームやジャム、お菓子に加工して、地元の道の駅などで販売している、村を代表する特産品です。
今回の特集では、食用ほおずきがどのように育てられ、加工され、販売されているのかを紹介しながら、生産者の皆さんの想いに迫っていきます!
食用ほおずきの栽培がスタート!【令和3年6月】
苗がズラリと整列!
苗がガラス室の中で大切に育てられています。
上小阿仁村の食用ほおずきの苗は、「上小阿仁村野外生産試作センター」で育てられ、生産者に提供されます。
担当の大沢直仁さんは、「高齢化に伴い生産者が減少しているので、1人でも多くの方に食用ほおずきを栽培して欲しい」との想いを持って、苗を育てています。
苗を畑に定植して…
耕した畑に、大きくなった苗を手作業で1株ずつ丁寧に植えていきます。
例年だと5月下旬に作業をしますが、今年は天候の影響で、畑がなかなか乾かず、定植が6月初旬にずれ込みました。
支柱も立てて…
植えた苗が風で倒れては大変です!
定植と同時に支柱も立てて、しっかりと支えます。
枝を誘引!これで準備は万全!
食用ほおずきの枝が、勢い良く成長しています!
すくすく元気に育つよう、長い支柱と張り巡らせたヒモで枝を誘引しました。
誘引とは
枝や茎を支柱等に結びつけ、固定すること。伸ばしたい方向へ導くことで、バランスの良い形に生長させ、植物への負担を軽減するほか、重さや風などで倒れないようにするのが目的。
食用ほおずき ぐんぐん成長中!【令和3年7月】
1ヶ月半で大きく育ちました!
定植から1ヶ月半、だいぶ大きくなりました!
前回の誘引が効果てきめんで、枝がキレイに伸びていますね^^
ほおずきの実も付きました!
まだ青いですが、ほおずきの実が付いてきました!
写真では10個以上実っていますよ!皆さん見つけられますか??
ほおずきの実を包む「袋」の正体は、花を保護する「がく」が発達したものなんだそうですよ。
収穫は1ヶ月後。楽しみですね♪^^
期待のホープ 齊藤恵さんです!
食用ほおずきを作り始めて3年目の、齊藤恵(さとし)さんです。上小阿仁村の食用ほおずき生産者の中で、1番若い期待のホープです!
大きく美味しく育つように、わき芽を取ったり、枝を誘引したり、愛情込めて作業にいそしみます。
定植から管理、収穫まで、全て1人で作業するのは大変ですが、「もっと多く定植して収穫量を増やしていきたい!」と、頼もしい意気込みを頂きました!
収穫の秋を迎えました!【令和3年9月】
人の背丈よりも大きくなります!
定植から3ヶ月程が経ちました。
人の背丈くらいまで、かなり大きく成長しました!
今年は夏に雨が少なく小さめサイズですが、例年はもっと大きくなります^^
茶色く色づき収穫開始!
収穫の時期を迎えて、茶色く色づいてきました!
今年は気温が高く雨が少なかったので、収穫開始が例年より半月ほど遅くなりました。
収穫量も少なめ。とっても貴重な今年のほおずき、お買い求めはお早めに!
大ベテラン齊藤金蔵さん 登場!
食用ほおずきを作り始めて20年以上の大ベテラン齊藤金蔵さんです!
金蔵さん曰わく、気温が下がる10月頃に収穫するほおずきが一番美味しく、評判が良いのだそうです。
今から待ちきれないですね♪^^
本特集も10月が最終回、是非チェックして下さい!
取材協力: 上小阿仁村野外生産試作センター、生産者 齊藤金蔵さん
協力ありがとうございました!!
食用ほおずきを使った商品を紹介します!
地元道の駅で販売している食用ほおずきを使った商品を紹介していきます!
コンフィチュールとジャム
どちらも、甘く爽やかな風味でヨーグルトやパンによく合います。
特にコンフィチュールは、平成29年度むらおこし特産品コンテストで「中小企業庁長官賞」を受賞した人気商品です。
パウンドケーキ
ケーキの甘さとほおずきの独特の味と香りが見事にマッチした、主力人気商品の一つです。
ほおずきアイス
ほおずきの甘酸っぱさがアクセントになって、爽やかさな味わいが魅力のアイスです。
乾燥ほおずき
乾燥によりほろ苦さが際立ち、甘酸っぱさとの相乗効果でクセになる味です。
編集後記
本特集では、上小阿仁村の特産品である食用ほおずきの栽培風景や生産者の思い、加工商品等を紹介しました。
生産者が少なく、天候によっては収量や品質を十分に確保できないケースもあることから、特産品として今後も取り組む上で多くの課題があります。
しかし、生産から加工、販売まで1つの村の中で取り組み、地域を代表する特産品として確立している事例は貴重で、何よりも生産者の皆さんが誇りを持って励んでいる姿が魅力的に映りました。
近頃はコロナ禍で出掛ける機会が減っておりますが、落ち着きましたら道の駅かみこあにへ立ち寄って、食用ほおずきやその加工品を召し上がってみてはいかがでしょうか?
取材協力:かみこあに物産(株)(道の駅かみこあに)、上小阿仁村野外生産試作センター
協力ありがとうございました!!
秋田県農林水産部公式ウェブサイト「こまちチャンネル」では、秋田県の農林水産業のフレッシュな情報を随時発信していますので、ぜひチェックしてみてください!