#361 わたしの知る花
こんにちは フミオです。
本日、元書店員の私が紹介する1冊は、こちら↓
町田そのこ著 わたしの知る花 中央公論社刊です。
■内容
【目次】
一章 ひまわりを花束にして
二章 クロッカスの女
三章 不器用なクレマチス
四章 木槿は甘い
五章 ひまわりを、君に
エピローグ
時代背景に明治・大正・昭和と生きた登場人物を中心に読み解いていきながら「バブル崩壊」「震災」などの大きな変化により「変わっていくもの」の中での登場人物とその関係する人々の人間ドラマを感じる内容が多い印象から。
最近、読書する本の内容は、LGBTqとか、コロナ禍ということが時代背景の中に溶け込んできてる印象がとても多いです。
そして、その影響がちょっとずつ、登場人物の人生をゆさぶっていることで見えてくる人間ドラマを読ませ、楽しませてくれるといった感じですね。
たまたま手に取る本が偶然に、そんな傾向になるのかもしれません・・・。
この「わたしの知る花」は、読む人によりいろいろな読書軸があると思います。
■元書店員のススメポイント
登場人物の葛城平が過ごした若い時期、戦後の日本がまだ高度経済成長へ向かっている1950年代からの時期、自分だけの力ではどうにも抗うことができない、そんな時代に、些細なことで人生を狂わしてしまうことから
始まる物語り。
あまりにも、切ない・・・切ないという言葉では言い尽くせない平の人生と関わった人たちの人生のドラマ・・・。
そして、令和の高校生の安珠と奏斗の二人の葛藤が対比になってストーリーを昭和と令和で並行しながら進んでいく展開して、どこか息苦しさもありながら・・・・この安珠と奏斗の成長が・・・平とそれに関係した人たちも影響しいく。
どこか、昭和テイストな印象で進む内容ですが・・・読後感が昭和の暗さを残さないのがこの作品のポイントでしょうか?
大事な何かを読みながら思い出さてくるかも・・・その思い出を味わいなおしてみませんか?
■相談援助職のおススメポイント
この本の一章を読んでいる最中に、「花言葉」が頭によぎりました。それが確信にかわったのが「小藤」という名前がでてきてです。
この小藤がそのような展開に関わっていくかは?でしたけれども、
なぜ、花言葉に至るのか?これは、もう10年以上前にあるでしょうか?事例検討会の中で、本当にあった事例で、夫婦関係ではないけれども同居する二人の介護を必要とする女性と医療的なケアが必要な男性の支援をどうするか?
そんな事例を検討する機会がありました。その2人は、花を育てる会に所属していたことと、共通の花を好んで家に飾っていること・・・。
そんな事例の絵解きをしたことがあったからです。
この経験以来、人の支援に影響することは、決して言葉や態度、お金とかだけでない、何かがあって支援が成り立つこともあるんだな~・・。気づけたきっかけがあったからです。
そんな経験から・・・違和感や象徴的なことをケースの中で感じたら何がつながりを強めたり、弱めたりするのか?を気にできるようになったことと
人を支援する楽しみがまして今に至っています。
■今日のnote
いろいろな経験が読書の1冊の中でも、思い出せれることがありますよね。日頃の既視感のある風景も、読書の中の既視感も・・・きっと忘れていた何かを思い出せてくれます。
それが、きっと大切なことばかりでなく、悲しくつらいこともあるかもしれません。でも、時間と経験を経て思い出されることはきっとあなたの大きな財産になっていると思います。