
#344 「とりつくしま」、時間の止まっているあなたへ
こんばんは フミオです。
今日、紹介する本は、東 直子著 とりつくしま ちくま文庫です。
■目次
・ロージン
・トリケラトプス
・青いの
・白檀
・名前
・ささやき
・日記
・マッサージ
・くちびる
・レンズ
・びわの樹の下の娘
どの話も、大事な人との「別れ」から、未練を残して「身近な在るモノにとりつく」そして、別れた大事な人の元に戻っていく・・・。
どのお話も、「残された人の時間は未来に動いて、亡くなったモノにとりついた人の時間は動かない」、進む時間と止まった時間、この時間の差が生れることにより「見えなかったものが見えていく」これが、この11篇のお話ですね。
あとは、皆さんが読んで感じて、ストーリーを解釈してみてください。
そして、映画も公開中~♪
私は、1日1篇を読んで、お話の臨床像を創るという遊びをしていました。
■元書店員がおススメするポイント
11の話の中に、「自分がいる。」亡くなっている人なのに?と思うか方もいると思います。しかし、読者が11のお話が好きだったり、嫌いだったり、共感できる。
これが現時点の読者のカタチなんじゃないのかな?そして、自分では、歩めない時間と空間を疑似体験がちょっとできてしまう。
そして、11の話で読者は、知らず知らず揺さぶられます。
そして、最後にくる「びわの樹の下の娘」を読んだ時に、どんな感想をもつでしょうか?←私は、文庫の帯にある「やさしさに包まれながら号泣・・」には・・・・。
読んだ方の生きざまで変わる話かも・・。
私のXにて、各編の解釈を書いています。お時間ある方は、読んでみても、それぞれの話の解釈を短く書いています。
■相談援助職としてのポイント
この本をすすめてくれた人が元同僚で、一緒にスーパービジョンを学んだ人かなんです。
相談援助では、生活に課題を抱えた要相談者の「問題の中核」を解きほぐして「生きづらさ」を解決になる方向へ一緒に向かていく。
そんなことを仕事の中で、向き合ってきた私たちは、生きずらさの根っこにある問題を「解きほぐす」、この「とりつくしま」のお話を解釈することは、とても相談援助職が要相談者の相談の中にある「問題」を見つける筋トレになると思います。
そんな読み方をすると、素直に、このお話の世界観を楽しめない気持ちになるかもしれません。
■今日のnote
本の読むこと、相談援助職として読むこと・・・。どちらも、「向き合う」ということで、いいと思うんです。
結局、真に向き合うとしたら、自分の体験を「追体験」して、「あの時の・・・」まで、行きつかないと成長には、つながらない。
でも、分かっているけれども、覗けないでいる人のきっかけや踏み出せないでいる人に、素直におススメ!
時間の止まっているあなたへ