【感想文】目に入れても痛くないアルバム
アルバムを頂いた。きちんとした実体を持ったアルバムを頂いたのは高校卒業以来であろうか。これまで私の人生において、幸いなことに「最高の思い出」と自分の中で位置づけている記憶は結構沢山あると思う。本当に幸福なことである。しかしながら、それらの思い出を「アルバムにしよう」という風に思ったこと、或いは提案されたことは殆ど無かったと言って良いだろう。
最近では「LINEのアルバム機能を使ってその日の写真を共有する」ということが当然になっているが、正直なところアレを見返すということはその日から時間が経てば経つほど少なくなる。LINEのシステム上、その日のために作られたグループは日が経過するほど下へ下へと降りていく。それによってその日が頭の中で霧散していくのは自明であって、写真を共有した事実すら頭の中には残らないことがほとんどである。
比べて、今手元にあるコンパクトなこの子はどうだろう。私の記憶力というのは本当に情けないもので、どんなに楽しかった思い出も最終的には「楽しかった」という気持ちしか残らない。具体的な記憶はほとんど消えてしまう。私自身「それでいい」と思っているので、それはそれでまぁ良いのだけれど、写真というのは凄い。「楽しかった」という記憶が具体的な映像を伴って脳内再生される。それもこの「アルバム」という媒体は「その日撮った写真をその日のメンバーが適当に放り込んでいく」ソレとは異なって(それはそれでいいけどね)、ページ数や枚数という制限の中で、皆が「これだけは入れたい」という各々その当時の鮮度を持った祈りが凝縮されて保存されたものなのだ。さらに言えば、掲載順やレイアウトにも「大事に丁寧に思い出をラッピングしよう」という愛情が込められているだろう。このおよそ20ページのアルバムを眺めていると、そういう「あの時あの場所で時間を共有することが出来た、あの素敵な皆たち」の感情に触れられるような気がする。アルバムにはそんなパワーがあるのだということを、今更ながら理解した。
私は人の思いが好きです。だから人の思いが感じられるものは大事にしたいと思います。そんなものって中々、欲しいと思って手に入るものでもないから。その機会をくださったこと、本当にありがとうございます。少し表現は"重い"かもしれないけど、ずっと大事にすると思います。
表紙、宣材写真かってくらいかっこいいですよね。表紙にするために撮られたようなハンサムな写真です。表紙をめくると、これまたかっこいい。真っ白なページにタイトルが小さく書いてある。こういうシンプルだけどニクい演出って好きです。ここにタイトルだけがスッと置かれているか、そうでないかで結構変わる気がしてます。そして1ページ目、この写真が使われることの「やられた!」感、あると思います。この感じでこの写真が撮れたことってほとんど奇跡みたいなものだし、ここから奇跡の連続だぜって言われているような気がします。言ってしまえばただ高速道路を映しただけなのに、なぜか私にはこの写真がこの旅行を象徴する1枚であると、そう思えてしまいます。画面の3分の2は真っ黒、先に見えるオレンジ色の光、全体から感じられる速度、とても刹那的で全ての要素があの3日間を暗示していたように、見れば見るほど感じられます。
2, 3ページの写真、作品の面白さが伝わるとてもいい写真だと思います。やっぱり宣材写真みたいだ…。KOME HOMEも良かったなあ。絶対1泊じゃ足りなかったと思うので、人生であと一回くらいは行きたいな…。今読んでいて気づきましたが、このページで初めてちゃんと人が出てきますね。やっぱり演出がニクい。あまりにも自然だ。あと人が食べ物持ってる写真の愛おしさってなんなんでしょうね。愛らしすぎる。
そして次ページ、ここで1ページ内の掲載枚数がこれまでより格段に増えます。読者を飽きさせない工夫が随所に施されています。しかしカエルには1枚で1ページ使うという大胆さ。構成能力が凄い。
「Tunnel of light」このアルバムにサビがあるとすればココでしょうか。このアイデアには脱帽です。写真を撮る段階で想定をしていたのか、撮影した写真を眺めてこの構成を思い付いたのか、なんにせよあの大規模な作品をほとんど1枚に凝縮し、その荘厳さを失っていないのは凄いと思います。
個人的には最後の教室が一番好きだったかもしれないです。あんな真っ暗だったのにちゃんと写真からあの異質さが伝わってきてとても良いですね……。次ページの球体とワイトさんも意味わかんなくて面白い。サイズ感どうなってんねん。良~写。
脱皮する家の集合写真、やっぱクソダサくていいぜ!変なの!ワイトさんが脱皮しようとしてる写真、床の模様のせいで妙な躍動感出てて笑いました。この家の新たな一面を写真から垣間見ることになるとは。
お恥ずかしながら私のソロ写、こんな辛気臭い男でもこの圧倒的な”夏”を前にすると化身になってしまうんですね。自分が写ってる写真をあんまり好きになれないんですけど、この写真は好きです……。ワイトさん7連発は可愛いな。ワイトさんって写真に写るのが上手で憧れてしまいます。
最後の一枚見ると「なんでこのメンバーなんだろ」ってちょっとウケてしまうんですが、でもやっぱりこのメンバーだからこその良い温度感だったよな~ってニッコリしちゃいますね。また遊んでください……。輝く夏をありがとう……。
長文失礼しました。改めて、ありがとうございました。終(おわ)