「国章」から見る「魔法使いの約束」
はじめに
この記事は、(株)colyより開発・配信されている本日めでたく4周年を迎えたスマートフォン向けアプリゲーム「魔法使いの約束」通称、まほやく内の各国モチーフ、紋章について賢者私の想像・妄想・憶測で構成された備忘録的なものです。(4周年おめでとうございます!)
本文にはネタバレや、考察上省けない宗教関連の言及も含まれるため、不安な方はここでページを閉じることを推奨します。
なお筆者は、ストーリー・雑誌等を網羅しておらず、また情報精査においても素人です。なにか間違いやご指摘があれば、気軽にコメントへ。
また、他の意見を持たれている方への批判の意図は全くなく、寧ろ考えの至らない浅慮な賢者にどうかそのお知恵を授かりたい。→Wavebox
以上、読んで頂く際には、どうかご留意を。
国章とは
そもそも、国章とは何か。国章は、国家を象徴する紋章のことです。一般に、国旗よりもデザインが複雑なため、その国の風土、歴史、文化などが象徴的に表現され、その国を理解する上で国旗よりも多くの情報を読み取ることができます。
現実では、その国にゆかりがある動植物が国章として使用されていたり、穀物の穂や太陽、地球など「労働者と農民の団結」を示すものを国章とすることが多いです。また、イスラム諸国ではイスラムの象徴である三日月と星を国章に使用している国もありますが、イスラム教とは関係なく星を国章のデザインに取り入れている国も相当数あります。
紋章の由来や、意匠の意義を研究する学問を「紋章学」といいます。今日は🎉まほやく4周年の節目🎊ということで、紋章学から切り開く、まほやくの各国について、改めて考えてみる記事です。
以下の文章、よろしければどうぞお手元で、国章が見える状態、あるいは都度、国章を見ながら読んでいただけると、よりまほやくデザインの、細やかさや深い作り込みを楽しめると思います。
ちなみに。記念すべき祝4周年!のお祝い記事なのに、なんとキャラの画像は1枚も出てこない、ちょっと硬くてしょっぱめの出来です。
中央の国
モチーフカラー:黄色
モチーフ宝石:ダイヤモンド
まずは中央の国から。そもそも、紋章には使っていい色が定められていて、その色ごとにモチーフとなる天体・宝石・色の象徴があります。
その中で金属そのものの色としてあるのが、金色(≒黄色)。金色は、天体では太陽、宝石ではトパーズ。勇気や名誉、信仰を象徴するモチーフとして使われます。
規律や名誉を重んじて、聖ファウストを信仰している中央の国らしい色ですし、イベント「輝く剣に太陽の夢を」では、中央の国で開かれる剣術試験とカインたちのお話でした。しっかり国のモチーフとして、太陽があるとわかります。
ちなみに中央原産のダイヤモンドですが、こちらは黒色の表現として使われます。天体は土星、慎重の象徴です。どうして宝石が変わったのか、メタ的に言うと知名度かもしれませんが、きちんと考えるのであれば、石言葉かもしれません。
ダイヤモンドの石言葉は、永遠の愛・不屈です。トパーズは、成功・希望・純粋等。忍耐強く、諦めの悪い中央の国の魔法使い達は、まさに不屈がよく合います。
土星に関しては、西洋占星術にて12星座はそれぞれ守護惑星を持つとされているのですが、山羊座の守護惑星が土星です。中央出身のファウストは山羊座。今は東の魔法使いですが、幼い頃からアレクの無鉄砲を止めていたという彼は、中央の魔法使いにしては慎重だったのかもしれません。
守護惑星と星座に関しては、言及したいことが多すぎるので、また後日別で記事を書けたらいいなと思います。
盾の形は、古フランス式というシンプルな形が近いです。以前、中央の国はドイツとフランス両国モチーフなのでは?と考察したのですが、紋章の下部が丸みを帯びているのは、ドイツ式イメージかもしれません。
線画だとわかりやすいのですが、盾の外縁を取り囲むように縁取られています。これは「当主の紋章に加える模様で、その違いにより長男や次男などの区別ができる」システム(英国国旗の成り立ちみたいなもの)に使われていました。400年、代々王族が統治しているグランヴェル王朝らしいですね。
中央に据えられているのは星。六角の白い星は、実際にドイツの州章として採用されています。周りの青白い意匠は剣でしょうか。中央の星中にも、ひし形のものがありますね。
アーサーはモデルのひとつに「アーサー王伝説」があると思うのですが、そこで出てくる円卓の騎士イメージかもしれません。周りの剣と星の光線も合わせて12本。円卓の騎士も諸説ありますが、12席あったとされています。
上部には王冠、周りのスクロールにはフルール・ド・リスというユリの意匠が並んでいます。王政かつ、魔法舎を有する中央の国らしい紋章でした。
北の国
モチーフカラー:紫色
モチーフ宝石:アメジスト
続いては、北の国。モチーフの紫色は、天体では水星、宝石ではアメジスト。節制を象徴するモチーフとして使われます。
北まほが、節制…??と思われるかもしれませんが、筆者も思っております。考えられるとすれば、国章を作ったのが恐らく人間ということ。
そもそも、北が国としてどんな統治されているのか定かでないですが、国章があり五カ国和平会議にも国として参加している、中央王家から北王家への献上品をブラッドリーが襲ったとのことですから、一応王がいるはずです。その支配者が魔法使いであった場合、オズやミスラ筆頭に北まほが黙っていないでしょうから、現状は害がないかあるいは、認知もされていないほどの人間ではないか、という推察ができます。
つまり、強大で気分屋な、神にも等しい魔法使い達を、極力怒らせないよう日々節制に励みましょう。という北の国に住む人間の教訓が込められているのかもしれません。
北の国は、色の象徴と原産の宝石が一致しています。アメジストの石言葉は、心の平和・誠実です。平和という単語からは、ほど遠い北の面々ですが、これも住む人間側になってみると共感できる気がします。
水星は、双子座と乙女座の守護惑星です。これには、スノウ・ホワイト・フィガロ・ネロが該当していますね。全員もれなく北生まれです。
盾の形としては、六芒星のような、かなり独特な形状をしています。これは、外側も中央もどちらも雪の結晶をイメージしているのではないかと思います。
雪の結晶は、水の分子が氷になるとき、六角柱の形でくっつく為、六角形のものが多いです。そこから湿度や気温によって様々に形状が異なっていきますが、外側の枝がないものは角板、中央は角板付樹枝あるいは十二花と呼ばれる結晶によく似ています。ちなみに、上記強化アイテムは樹枝付砲弾の結晶をモチーフにしていると思われます。
スクロールが破れているのは、戦闘によるマントの破れを表していて、武力的です。その根本、矢印のようなものは恐らく三つ葉のクローバー。
三つ葉はキリスト教の三位一体の教義になぞられて、神聖視されます。三位一体は、父・子・霊がひとつの唯一神であるとする教えです。つまり、スノウ・フィガロ・ホワイトが各役割のメタファーではないでしょうか。
東の国
モチーフカラー:青
モチーフ宝石:サファイア
続いては、東の国。モチーフの青色は、天体では木星、宝石ではサファイア。忠誠心を象徴するモチーフとして使われます。
東主従は、紋章学的にいえば、まさに!という感じですね。東の名門武家である大貴族、ブランシェット家の嫡男であるヒースクリフと、その従者であるシノ。
忠誠心は、真面目や律儀とも捉えられますし、数多の法典に縛られた東の国らしいといえます。しかし東は、ファウストが中央、ネロが北、シノは出自不明と、些か定義付けが難しいですね…。
東の国も、色の象徴とモチーフの宝石が一致しています。サファイアの石言葉は、誠実・慈愛です。東の国らしくてもう納得なのですが、実はこちらの誕生石解説記事でヒースクリフの誕生石が、ブルーサファイアなのでは?と考察をされています。そこで東まほ大好き筆者に電流走る。
キリスト要素を持つファウストを慕うヒースの誕生日が、宣教師たちの聖日と一緒…!聖ファウストの殿戦が絶賛されてた戦術本って、もしかして聖書のメタファーだったのでは?! ……取り乱しました、すみません。
木星は射手座の守護惑星です。射手座は、ブラッドリーとミチル。あれ?
これは前述した「東まほ、東出身少なすぎ問題」かもしれませんし、射手座が占星術的には好奇心と冒険心の星座だからかもしれません。注意深く慎重で、警戒心が強い東の魔法使いらしくはないですね。
盾の形としては、超スタンダードな古フランス式です。中央と同じく、盾の外側を取り囲むように縁取られています。ブランシェット城はグランヴェル城よりも歴史があるそうなので、400年以前から東の国があったとすれば、当主の紋章受け継ぐシステム採用にも納得がいきます。
現状、東は王族が出ていません。国の成り立ちといえば、4周年のシャーウッドの森にかつてあった国の話、くらいでしょうか。
ひまわりのエチュードにてランズベルグ領の話が出ましたが、上下関係というより賢者の魔法使いだから呼ばれたという話でした。
恐らく、中央や西と同じく封建制度(国王>領主>領民)だと思うので、武家であるヒースクリフが、守るべき国王と賢者の魔法使いの間で揺れ動くストーリーは、今後あるかもしれませんね。彼に優しくしてあげて下さい…
盾の中央に描かれた水滴形ですが、実際にはあまり単体で使われるモチーフではありません。雫の色によって意味が異なり、青は涙、黄は黄金、白が水とされています。
東の国の水資源が優秀なのは、度々話題に上がっていますね。黄色は、東祝祭イベントで集めるアイテムが黄金色の鱗なので、関係ありそう。
レモラが昔、東の全国土で恐れらていた怪魚だったのを、フィガロが駆除して剥製をつくったとか?もしくは、マルコポーロが「黄金の国、ジパング」と綴った方が由来かも?まだまだ考察の余地がありそうです。
左右の飛び出している部分は、水が吹き出している様子だと思いますが、羽根のようにも見えます。国章において鳥、特に鷲は、強さ・勇気・遠眼・不死などの象徴として使われ、空の王者や最高神の使者とも扱われます。
ブランシェット家が武家だけに、意識している可能性はありそうです。
あと、スクロールが長く、裏側が見えていないのは東だけです。ある種の潔癖さ、生真面目さを感じます。また、最下部には水が滴るミルククラウンのような波紋があり、上から下まで水たっぷりの東らしい国章でした。
西の国
モチーフカラー:赤色
モチーフ宝石:ルビー
続いては、西の国。モチーフの赤色は、天体では火星、宝石ではルビー。高潔を象徴するモチーフとして使われます。
シャイロックが良い例ですが、西の魔法使いはみな自身の美学に基づいて生きています。シャイロックが痛みも自分のものだから奪うなと言ったり、クロエが最高の一着のためならオズすら殺すかもと言われるのも、彼らの高潔さをよく表していると思います。
西の国も、色の象徴とモチーフの宝石が一致しています。ルビーの石言葉は、情熱・愛情です。愛のために生きる、まさに西の国。
また、西祝祭を筆頭に、ゲーム内にて西と東の対比がよく出ますが、元々ルビーとサファイアが同じ鉱物で、色で呼び分けている、いわば対のような存在。ここは意識していそうです。
天体の火星は牡羊座の守護惑星。牡羊座はシノです。あれ…?
これは、火星が”行動の星”あるいは”戦いの星”といわれ、前へ前へと力強く突き進むパワーを持つ惑星だからではないかと思います。正面衝突を避けるような、相手を惑わす戦い方が得意な西の国とは少し違いますね。
さて、ここまで主に外側の情報でしたが具体的に紋章を見ていきます。
まず思ったのは「この、これ、なに…?」でした。中央は星 北は雪 東は水 南は植物。じゃあ、西の国は一体何なのか。
答えは上記の画像。西の国の国章は「風」だと思われます。
不可視のものを国の象徴に…?という感じですが、第2部にて、欠片ムルが「近隣国にあるような実体のある資源が西には無い」と言っていました。
そう、西の国を表現するうえで可視のものは適切でないのです。目に見えぬ不可視のものこそ、西の国の象徴に相応しい。
盾の形はオーバル…かと思いきや三角形が突き抜けて、些かカオスなデザインです。これは、戦闘に直接的には参加しない聖職者達が、オーバルの紋章を用いた事に由来すると思われます。
西の魔法使い達は、搦め手寄りの戦い方をしますし、ムルが開発して以来剣術ではなく、魔法科学が主戦力となっているであろう兵士達を表しているとも言えます。
二重の渦が重なり、まさに欲望と混沌渦巻く西の国らしい国章でした。
南の国
モチーフカラー:緑色
モチーフ宝石:エメラルド
最後に、南の国。モチーフの緑色は、天体では金星、宝石ではエメラルド。愛を象徴するモチーフとして使われます。
まほやくで愛といえば誰か?これには賢者様毎に諸説あると思いますが、うち一人は賢者の書でハートを描かれた男、フィガロであると言えます。好きなこと/ものが愛の男です。
また、ルチルとミチルの家族愛も、結婚まで考えたという犬がいた、愛を知るレノックス。国民性も、助け合って生きている隣人愛を感じさせます。
南の国も、色の象徴とモチーフの宝石が一致しています。エメラルドの石言葉は、幸福・幸運・希望です。まだまだ発展途上で、些細なことでも幸福を感じられる、希望に満ち溢れた優しい南の国らしいですね。
天体の金星は牡牛座の守護惑星。牡牛座は、オズとレノックスです。もう名前の並びだけで、穏やかな時間が伝わってきますが…。
牡牛座は、スローライフに向いているのですが、それは自分の本能に正直に生きることを重視した結果。自分の気持ちに背くことには向いていない、そんなふたりにピッタリといえます。
盾の形はやや変則的ですが、西と同じくオーバルです。南は戦うことに意欲的でないという説明があったので、恐らく西と同じ理由で卵型を選んでいると思います。
モチーフは、わかりやすく四葉のクローバーですね。紋章学において、三つ葉また四葉は、キリスト教的イメージを強く持ちます。また、中央の十字はクロスも彷彿とさせます。
前述の通り、フィガロにはキリスト要素が深く関わっています。フィガロが南の国史に関して、どこまで関わっているかは明言されていませんが、相当な貢献をしている事は間違いありません。
土地に値段が付くのは不思議、とルチルが言っていたくらい発展途上で荒れた土地も多い南の国。ですが、現代の紋章や国旗には、植物や国の豊かさの象徴として緑色が使われることが多いです。
今後、緑豊かな国に発展していくのかもしれませんね。
まとめ
ということで、「国章」からみる「魔法使いの約束」でした。あくまで趣味として紋章学に触れている人間なので、細かい間違いなどあるかもしれませんが、まほやくの解釈を広げる間口のひとつにして頂けたら幸いです。
最初は、中央と南の印象的なモチーフがきっかけで、意識して見てみたら明らかに各国で意味が込めていそうだったので、わくわくしながらまとめました。こんなところまで考えて作られているなんて、魔法使いの約束は本当にすごいなあ。
また紋章の色やイメージはあくまで補助的なもので、メインの為人などはかなり西洋占星術を意識しているのを再確認したので、そちらも頑張ってまとめたいです。21人分…!
そんな素晴らしいゲーム「魔法使いの約束」は各アプリ配信サイトにて絶賛好評配信中!4周年も迎え、アニメ化も決定していて、まさに始めるならいま!今ですよ!!!!
宣言通り、キャラの画像が1枚も出ない考察になってしまい申し訳ありません。ご意見、ご感想等あればコメントかこちらにぜひ。→wavebox
みなさまも、よき賢者ライフを!
2023.11.26 初稿
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