西村純二監督 グラスリップ 第1巻
自分にとって、色々な偶然なきっかけや体験があって、そこからまた、色々な出会いや、素敵な事を知り得るようになった。その中のひとつが、冬の終わりに訪れた福井の抜けるような景色だった。
PAWorksのアニメーション作品、グラスリップは、true tears以来の西村監督のPAとのアニメ作品ということも、OPやEDにChouChoやnano.RIPEを使ったりと、爽やかで媚びのないひと夏の青春ものがたりを期待されてしまって、そしてこれ以上ないくらいにその思いを乗せて出来上がった、とてもいい(好きな)アニメ、のはずなのに、この作品を受け止めるテンションが、特に最終回あたりの数話で顕著に周りとずれちゃってしまって、そのもやもたっとした空回りの気持ちのまま、感想をかいてしまったりもした。
i am Kólßtrains: グラスリップ、最終回に寄せて。
自分が買わずに誰が買うか!と、それはそれはずっとBlu-rayを買うことを悩んで悩んでいたのだけれど、ちょっと時間を置いて、敢えて冷静になってそれでもまだ特別に思い続けているのならば、その時にまとめて買おうと決め、半年以上がたった。(しかし設定資料集のカゼミチアルバムは予約して直販から購入をしてしまう)
その間に、自分はKeyの合同の評論などがつまった同人誌をまとめた。PAは傑作「SHIROBAKO」を2クールをかけて制作し、その後はKeyの麻枝准オリジナル作品が控えている。そんなこんなで、もうなんの因縁なんだかよくわからず、初めて福井にいって一年以上がたった2015年のゴールデンウィークに、もう一度福井にいける期会ができた。そして偶然に全巻をまとめて手に入れる期会もできた。そのタイミングで、来月の自分に泣いてもらう形(カード)で、念願のBlu-rayのソフトを全巻購入するに至ってしまった。
テレビ放映時にみて、カゼミチアルバムを購入した時に少し録画したものを見返して、今回Blu-rayでみるのはまだ3回めではあるものの、細やかな絵の隙間隙間だとか、ゆがみそうな恋愛憎劇と、そこでもすくっと楽しいキャラクターの掛け合いは、いっぱつでみて何となく頭にただ流れるような他のアニメ作品とは少し違う・・小難しそうだから好きとかでは全くなくて、単純に好きになっちゃった、そんなアニメだなと改めて思えた。
冒頭の花火、祭りの掛け合い、その一面がシリーズ後半の演出との複雑な折り合いは、ただ世界観を広げれば壮大だと勘違いさせなくても、人の内面描写を延々と掘り進めなくても、ぱっとその表層を混ぜあわせて繋ぎあわせたら、その光の掛け合いが、いいなって思える。音楽にも言えることなんだけれども、何で「ストーリー」ばかりを取り沙汰されるのか、そういうのが自分ではよくわからない。
Blu-rayには監督や社長らのオーディオコメンタリーも入っていた。自分も(高額な買い物ではあったので)できるだけ感想を残しながら、この再観を楽しんで、福井の三国の景色を観てみたい。
(サウンドトラックも、劇中に使用されていた音楽のイメージとも違って、きちっとした弦楽四重奏のクラシック作品として纏め上がっているのが見事だった。劇中で使用したクラシック曲をまとめたものとひとつにすれば、もっと良かったんだけれど。)