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少年は残酷な弓を射る 下

上巻の最後にシーリアが産まれ、下巻になってからのエヴァは以前のような悪意に満ちていなかった。そして成長したケヴィンもまた、赤ん坊の頃に感じる嫌悪感より、その態度にどこか魅了されることもあった。夫フランクリンへも、どんなに辛辣にあたっていたとしても、当たり前の家族として、愛情をエヴァはもっていた。

事件そのものについては、上巻で何度も刑務所の話を挟んでいたからわかっていた。けれども、この本そのものが夫への手紙という形態をもっていたからこその、その先の物語が予感はあるものの、全くわからなかった。

若さや都会や世界から、郊外に追いやられてしまった憂いや怒りだけでなく、そこでしっかりと、母親としての喜びや自覚をもっていて、何かのテーマに矮小化してしまう愚かさを、本当に嫌で、そして最低の状況だからこその、エヴァとケヴィンの最後―。

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