
ハローサマー、グッドバイ
ハローサマー、グッドバイ
M・コーニイ
草子ブックガイドという漫画をきっかけに手に取った中の一冊。SFではあるものの、ティーン小説としても等身大でよくて、ハリーポッターやウォールフラワーなども影響を受けたのかもと妄想してしまう。
兎に角、序盤の初々しい女の子であるブラウンアイズが可愛い。
国家権力は悪という分かりやすさもなく、本当の恐ろしさは戦争なのか、階級差別なのか、そんな問いかけをするよりどんどんと、もっと根源的な「生きることができない現実」の怖さ。
結末はSF史上屈指の大どんでん返しなどという話も聞いていたけれど、次の行に世界がひっくり返るとか死んでしまうとかそんなものではない、静かな感覚は読み終えた後にぞくぞくと来るものがある。結末付近の描写はほんの少しなのに、価値観っていったい何だろうか・・その「冷たさ」。