clammbon - trilogy 感想
なんというか、「2010」以来の新作だから、もうとてもとても楽しみだったんだけど、アルバムで聞きたかったから7インチシングルも聴いてなかったんだけれども、でも、こんなに聞くのに抵抗が出来てしまったアルバムはなかった。
クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」
仕事の最中でちらりとみたインタビューのリンク、昼休みに一時間近くかけて読んだそのえぐるような言葉が、正直、聞く前に読みたくなかった。しんどかった。そのタフさはもうどうしようもなく、「つくって」生きのびて行くためにミトさんには必要だったのだろうけれど、その例に取り上げられたネット音楽のあれこれの物語の強さだとか何とかは、他の冷静な分析家さんによる記事とは比べ物にならないくらいに緊迫した、重要なステップのようにも思えたんだけれども、けれども、それは、クラムボンでやるための物なのと・・、数行に詰め込まれたティーン達の畳み掛けるリリックの強さのために、追い詰められて追い詰められてつくったっていう郁子さんの歌詞。幾度と頭のなかでぐるぐるぐるぐると、その事が回って引っかかり続けた。
そんな中で、思い入れができていたクラムボンに対する見方が変わってしまった中で、新作を聴きたくなかった。
週末に相当しんどい人間トラブルにぶつかって、その気持をも引きづったままで、渋谷のタワーレコードで受け取ったレコードをターンテーブルに乗っけて、不安定なスピーカーを切ってヘッドフォンにして、炒めたエビチリとビールを飲みながら、少し覚悟をもって針を落とした。
2015年に、メインストリームで日本ででなくちゃ行けないポップアルバムとして、相当突き詰めたアルバムだった、と思う。ウェブの中でしか音楽を聴かないティーンも、うおおすげえと唸らせる。インタビューを読んだあとだと、皮肉にもとれた、草原で嬉しそうに跳ねている三人の影を捉えた一瞬のジャケット写真が、なんというかまた別の視点から、自由という足枷から逃れられた自由さを描いているような、そういうふうにも見えてしまった。
特に良かったのは、A面の最後の「noir」The xxのようなクールながら豊潤な曲、盤をめくってB面一曲目の「Scene3」の七尾旅人のようなガーッと埋め尽くす言葉の曲、そしてその後にあの「はなさくいろは」が繋がった時は、声に出して感嘆した。
年月が経って、このアルバムがどういう立ち位置になるのかは何ともわからないけれども、今年必聴の1枚であることには変わらないと思う。
1. Lightly!
2. アジテーター
3. the 大丈夫
4. Rough & Laugh
5. agua
6. noir
7. Scene 3
8. はなさくいろは -bon bori ver.-
9. バタフライ
10. yet -triology ver.-
11. Re-ある鼓動
12. Lightly…