アシスタントナースの仕事について
今日は私がアシスタントナースとしてオーストラリアでどのように働き、何を感じてきたか書き綴りたいと思います。
◆ケアの対象者について
アシスタントナースとして私が関わっているのは、何かしらの持病や障がいはありつつも状態が安定していて病院に入院する必要のない人々です。
☆オーストラリアでは病院に入院している方をpatient(患者)と呼びますが、施設入居者であればresident、訪問介護など自宅でのケアを受ける人をcare recipientやclientと呼んでいます。
このnoteで私はケア対象者の事をクライエントと呼んでいます。
クライエントの多くは補助用具を使用したり家族の援助を受けながらも、ある程度自宅で自立した生活を送っています。
もしくは介護施設などで身の回りの生活の援助を受けながら生活しています。
アシスタントナースとしての病院での勤務経験は今のところありません。
◆勤務場所、雇用形態について
私はあるエージェンシー(医療スタッフの派遣会社のような機関)にカジュアルワーカーとして雇用されています。
主にクライエントの自宅に直接出向いてケアの提供をするhome care(在宅介護)を担当しています。
需要があれば介護施設等の正規スタッフの補充として派遣され働く事もあります。
ちなみにオーストラリアの雇用形態としては、主に
・full-time employees (日本で言う正社員)
・part-time employees(アルバイト、パートのような位置づけ)
・casual employees(臨時採用、派遣のような位置、だけど長期間の雇用もあり得る)←私がこれ
の3種類があります。
◆仕事内容について
私が現在担っている仕事内容としては大きく分けて5つあります。(1/14日追記)
①personal care
②domestic assistance
③respite care
④Escort
⑤IT support
下記で詳しく見ていきましょう。
①personal care:
シャワー、更衣、食事、排泄介助など。介護施設で働く場合はこれが主になります。
②domestic assistance:
掃除、洗濯、食器洗い、ごみ捨てなどの家事の援助、ショッピング手伝いなど。
③respite care:
レスパイトケア。主に認知症のクライエントの介護者(子や配偶者が多い)の負担軽減のため、介護者の外出中のクライエントの見守り。
※名前だけ聞くと難しそうだけど、大半はクライエントと一緒にテレビを見たりお話したりという実は一番おいしい仕事。
④Escort:
歯医者や医療機関までのクライエントの付き添い介助。
タクシーを呼んだり、お金の支払い代行、医療機関での受付対応、書類の受け取り、医師の説明に同行し必要な介入の確認・クライエントの理解の確認、次の予約の確認などが含まれます。
自分が車を持ってないのであまり機会がありませんが、タクシー付添や救急車での輸送のみ経験。
⑤IT support:
携帯電話やパソコン、smart TVなど電子機器の立ち上げやバックアップなどの援助。
◆勤務時間、頻度
私の場合は基本的にクライエントの依頼を受け、他のクライエントと時間の兼ね合いを見ながら週ごとのシフトを組んでいくという事をしています。
クライエントのニーズは様々なのでほぼ毎日訪問する家もあれば毎週、隔週、月1のみという場合も。
時間は週によってバラバラで、固定で訪問介護の仕事+臨時で施設のシフト、また1回限りの他の人のシフトの埋め合わせなど臨機応変な対応が必要です。
コロナの感染状況によっては施設で働けない時期もあるので、週20時間〜40時間と差が激しいです。
◆アシスタントナースとして働くのに必要な資格
私は渡豪後、certificateⅢの"health service assistance"と"provide first aid"というコースを修了しました。
オーストラリアでは資格や学位が10段階に分けられていて、
certificateⅠ〜Ⅳ(専門学校前の段階のコース) deploma(日本の専門学校卒に相当)
advanced deploma
bachelor degree(大卒相当)
graduate certificate or diploma
master degree (修士)
doctoral degree(博士)
の順にレベルアップしていきます。
その中でもcertificateⅢはaged care(老人介護)の分野で働き始める人の中で最もポピュラーなレベルになります。
◆オーストラリアでアシスタントナース(home care)として働くメリット
急性期の病院で目まぐるしく入れ替わる患者と関わっていた頃と比べると、
同じクライエントと定期的に関わる事ができている
時間をかけて信頼関係を築く事ができている
以上の事から、一人一人とちゃんと向き合えているという感覚があります。
現在定期的に訪問している家が約14件ほどあるのですが、クリスマスシーズンはありがたい事にほぼ全てのクライエントからカードやプレゼントをいただく機会があり、幸せ者でした。
ホストファミリーからもらった分も入ってますが、もらいすぎですね(笑)
自宅でクライエントの誕生日のお祝いをした事もあります。
仕事を通してクライエントの生活の一部として存在し、逆にこちらも多種多様な人生を知る事ができる。
人と関わる事が好きな人にとっては魅力的な仕事だと思います。
仲良くなりすぎて公私混同する事がないように注意は必要ですが。
また、慣れ親しんだ自宅で、クライエントの意向に沿ったサポートができる事も魅力の一つです。
英語でのやりとりで時に完全理解が難しい事もありますが、慣れてくるとクライエントが何を要求しているのか、どのような声かけ、ケアが喜ばれるのか、など分かってきて、笑顔を見せてくれたり感謝してくれたりするといつでも嬉しくなります。
別の観点からは、
家を渡り歩く(電車やバスを使用する場合大抵は多少歩く必要がある)ので良い運動になるという事と、
新しいクライエントの依頼を受けると新しい土地に足を踏み入れる事もあり、仕事の合間を縫って行ったことのないビーチに行ってみたりカフェ開拓してみたりできるので、場所に詳しくなれるのも利点と言えるのではないでしょうか。
そして、カジュアルワーカーという事もあり仕事内容の割には時給が良いです。
パブリックホリデー(祝日)に働くとなんと時給$69.5(($1=¥80とすると約¥5,560)。
シフトの組み方休みのとり方次第ですが、日勤のシフトしかとってないのに日本で看護師をしていた時(夜勤もあり)と同等の金額を稼いだ月もありました。
夜勤が嫌なら日勤だけ、と自分でシフトを決められる、ある程度フレキシブルなところも魅力の一つです。
◆オーストラリアでアシスタントナース(home care)として働くデメリット
看護師と比べると責任が重くないのはメリットとも言えますが、難しい仕事をバリバリこなしたい人には仕事内容にやり甲斐を感じ辛いかもしれません。
私の一番の悩みは1〜3時間のシフトを1日2〜5個こなしており、無駄な通勤時間が多い事です。
バスや電車での通勤のため、通勤時間を勉強や自分の時間に充てる事はできるものの、常に次のシフトまでの時間を計算しながら行動しないといけないのは意外とストレスです。
続けてシフトを取る時はなるべく近場同士の家を選ぶよう心がけています。
そして、いくら単価が高くても1時間のシフトばかりだとさすがに稼げないので、なるべく長時間シフトを取りたいところなのですが、需要と供給が一致していないようで、稼ぎたければ結局数をこなし移動の多いハードスケジュールとなってしまう日が割と多いです。
また、現在の定期のクライエントは食事の準備や介助をするシフトが多いです。
その場合朝昼夜ご飯の時間に働く事になるので、自分のご飯の時間が早くなったり(朝6時)逆に遅くなる事も(夜9時前)あります。
そこもシフトを減らす事で自分の生活改善を試みています。
フレキシブルなのを良しとするか、色々考えるのが面倒くさいと思うかですよね。
おわりに
総合的には今の仕事には満足しているし、マイペースな私には合っている仕事だと思っているので、今後も勉強と並行しながらぼちぼち頑張ります!
最後まで読んでくださりありがとうございました!