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#00 プロジェクションマッピングの第一人者 石多未知行に聞く、これからのメディアアートの可能性

カラーズクリエーションによるインタビュー企画「CREATOR's INTERVIEW」

今回は、プロジェクションマッピングをはじめインパクトのある企画・作品を世に出し続けている石多 未知行に、メディアアートの未来、そしてカラーズクリエーション株式会社を立ち上げた経緯を聞いた。

カラーズクリエーション株式会社 代表取締役 石多未知行

クリエイティブディレクター、空間演出家
光の祭典「TOKYO LIGHTS」総合プロデューサー
映像を光として捉え、空間をダイナミックに演出する手法を用い国内外で活動。プロジェクションマッピングの専門団体の設立や国内外のクリエイターをネットワーキングするなど、その普及促進に寄与している。
国内でいち早くプロジェクションマッピングショーを開催、アジア最大の国際コンペの企画プロデュース、舞台やライブの映像演出、そしてビジネスから地方創成、講演やワークショップなどの人材育成等、国内外で幅広い活動をしている。

メディアアートの魅力は「新しい感覚を提供できること」「刺激や体験に満ちていること」

─メディアアートの魅力はどんなところにありますか?

数年前、「Immersive=没入感」がアート等の分野で世界的トレンドとされていましたが、今やそれはスタンダードになりつつあります。
説明を与えられて理解するのではなく、見る人が自ら「体験」し、感じ、考える余白がある。それがメディアアートの魅力だと思います。どんどん新しい表現が生まれているので常に刺激や変化があり、クリエイターも見る人も飽きがこないですね。

─今後、メディアアートは世の中でどういう立ち位置になっていくと思いますか?

メディアアートの普及とともに、アートはかつての高尚なものというイメージから、誰もが楽しめるものへと変化してきました。
映画に行くのと同じ感覚で、美術館や様々な展示に足を運ぶ人も増えています。
また、デジタルサイネージは日常のあらゆる場所で目にしますよね。
昨年、クロス新宿ビジョンの3D巨大猫が話題になりましたが、誰でも見ることのできる公共性のある場所にも映像表現が登場しています。
ビジネスシーンでもアート性は重要とされ、純粋なアートとエンターテインメント、そしてビジネスとの垣根がなくなってきました。
メディアアートの考え方はあらゆる分野で通用します。アートと世の中の繋ぎ役を担っているとも言えるのではないでしょうか。

─メディアアート関連で今注目していることは何ですか?

NFTメタバースにいま興味があります。
表現の自由度が増している今、より自由さを発揮できる場所になると思っていて、そこにビジネスも加わればどんどん進歩していく。
それがリアル世界にどうやってフィードバックできるかも面白い視点です。
例えば、建築空間とか都市空間の中でのアートのありかたを考えていくのはやりがいがあります。
日本でもアートはパブリックになってきているけれど、もう少し突き抜けた意味合いでのアートが公共空間の中に出来上がってくるといいなと思っていて、それを実証実験するためのメタバース空間という流れも作れるとすごくいいですね。

クリエイターが表現しやすい場を。信頼関係から広がる「カラーズクリエーション」

─なぜカラーズクリエーションという会社を立ち上げたのでしょうか?

そもそも僕もクリエイターの一人でもあるのですが、そうした人々は社会の表にはあまり出てこないんです。でもこうしたクリエイターの存在はとても重要で、社会的価値を高める必要があると感じていました。クリエイターや作品の価値・ポジションをもっと上げて、表に出したいという思いが根底にあります。なるべくその人の個性や表現スタイルを活かせる方向性で作品や企画を進めるようにしてきました。
このプロセスや想いを可視化し、クリエイターファーストな会社や仕事の形を作りたかったんです。
そこでクリエイターの名前や作品を全面に出し、クライアントが求めるものとマッチングしやすく、そしてお互いに仕事をしやすい関係を作れるようにしようと考えました。

2019年設立 カラーズクリエーション株式会社
ロゴに込めたメッセージは「無色透明のキャンバスに無限の可能性を描く」

─クリエイターの個性を活かす会社にしていく上で、大切にしていることはありますか?

カラーズクリエーションがクライアントとクリエイターの間に入り、双方の考えや思いを言語化することをとても大切にしています。
それによってクリエイターは表現することに集中できますし、クライアントもビジネスとしての安心感を持っていただけます。
あと、クリエイターとクライアントとカラーズの間にヒエラルキーみたいなものを作りたくないんです。

イーブンな関係で、いいものを作るためにお互いが同じ方向を見て意見をぶつけ合える。そんな関係がいい作品や企画作りに繋がると考えています。

─カラーズクリエーションのメンバーで作った作品で、印象に残っているものを教えてください

2020年の年末に開催された『沖縄交響曲』という作品です。
30分近いプロジェクションマッピングの大作で、すごく思い入れもあるし、内容としてもいい作品になりました。
当初は僕がプロデュースしているプロジェクションマッピングの国際コンペを沖縄でやりたいとお声がけいただいたのですが、せっかくならいま沖縄でやる意味のあるものにしませんかと提案しました。
沖縄の歴史を四楽章で表現したオリジナル音楽を元に、日本を含めた4カ国のトップクリエイターが映像を制作しました。
コロナ禍という状況の中で、所属クリエイターだけでなく、地元の関係者含めて全員が一丸となって実現した素晴らしい企画でした。

感染対策を徹底し開催した「沖縄交響曲」

 「個性を表現できるクリエイターの集まる会社」に

─ カラーズクリエーションの5年後はどうなっていると思いますか?

いまよりもっと楽しく仕事をしていると確信しています。
クリエイターからは「カラーズクリエーションのプロジェクトは自分を表現できる」、クライアントからは「カラーズクリエーションだと個性的で質の高い作品を作ってくれる」と思われる会社にしていきます。
クライアントとクリエイターの関係性がより良くなり、クリエイターがのびのび表現できる機会が増え、結果としていい事例が増え、案件も増えるというような好循環が理想です。

世の中的にも、これからは独自性がより大きな価値になっていくと思います。多様性のある魅力的な表現がもっと広がって、メディアアートが身近になり、考える機会、コミュニケーションする機会、共感する機会が増える社会を作っていきたいです。そのために、独自の表現ができる人たちの集まる個性的な会社として、カラーズクリエーションが認知されるようにしていきたいですね。

カラーズクリエーション所属クリエイター21組
国籍・作風ともに多様で、唯一無二の個性を作り上げている

石多未知行/MICHI
カラーズクリエーション株式会社代表取締役CEO
プロジェクションマッピング協会 代表理事
NIGHT WAVE株式会社 代表取締役
東京芸術大学、市立尾道大学、他非常勤講師
武蔵野美術大学 造形学部 空間デザイン学科卒業
2000年よりアートイベントの企画や映像空間演出アーティストの活動を始める
2005〜2006年にイギリスに渡り欧州各地で活動
2011年 プロジェクションマッピング協会を設立(2012年 一般財団法人化)
2012年 プロジェクションマッピング国際大会「1minute Projection Mapping」を始める
2019年 カラーズクリエーション株式会社を設立
2021年 光の祭典「TOKYO LIGHTS」を総合プロデュース

次回→世界を舞台に映像表現を追求するクリエイティブスタジオ「Ouchhh(アウチ)」に聞く、作品作りの真髄とは?


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