52_色彩構成の授業やってます〜2023(3)無彩色も「色」なんです!

画像1 全ての色には明るさがある・・・これは色彩の授業の最初の最初に学生たちに伝える重要事項です。左のカラフルな画面を無彩色に変換すると細やかなグレーの階調が見られます。「全ての色において一番明るい色は白。一番暗い色は黒。」これは動かすことができない事実です。
画像2 よく見かける無彩色に対する残念な意識の例。お分かりでしょうか?左は黒のラインで区切られた画面、中央はラインの色を消した画面、右は白のラインで区切られた画面です。細いにも関わらず無彩色のラインが画面の印象に大きく影響を与えていると思いませんか?そうなんです。いわゆる「有彩色」のことばかり意識していると場合によっては「どうも垢抜けない」ことにもなりかねないのです。
画像3 いつもの学生課題から無彩色が影響を与える例をいくつか紹介します。この作品は反対色(色相環で対照的な位置関係にある色相)の組み合わせに無彩色をプラスするという課題ですが、左の学生作品は白やグレーの無彩色とティントカラー(パステルカラー)の反対色コンビが爽やかに絡んでいます。右は講師提案で、白の部分を黒に変換してみました。白とはまた全く印象が違う「力強さ」が付加されたと思いませんか?
画像4 無彩色画面に変換。毎回述べていますが、学生の作品を否定しているわけではなく、違う視点というか可能性を示しているだけですので誤解なさらないで下さい。
画像5 左:学生作品。反対色の組み合わせで彩度が高いグリーン系がフレッシュな魅力になっています。右:講師提案。使っている色種は変化なく、黒の分量の変化に伴って少しだけ色の分量を変えています。黒の重量感で画面の印象を強化してみました。
画像6 無彩色に変換すると一目瞭然。画面のコントラストの変更によって緊張感を付加しました。
画像7 左:学生作品。面白い色合わせなのですが、一番下の部分の存在感がちょっと不安な感じ(?)。右:講師提案。グリーンの明度に近い無彩色に変更することで「形を繋ぐ」といった感じにしました。画面全体の印象を整えたつもりです。
画像8 無彩色に変換するとわかりやすいですね。
画像9 この作品は前回と前々回に投稿した「同系色+無彩色」の課題ですが、さっき「整える」というキーワードが出たので紹介します。左:学生作品。白と黒を使って大胆に画面を構成しています。右:講師提案。色の種類と分量は全く変更せずにシャッフルで画面の印象を変えました。無彩色の濃淡コントラストをまとめ、まさに「整える」といった感じです。
画像10 明暗コントラストの強弱は「浮かび上がる形」に大きく影響します。「色を使う」となると張り切って「キレイな色」を並べがちですが、「無彩色の価値や存在も忘れない」ことが大事なのではないかなと思います。

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