68_色彩論の授業もやってます(1) 〜中性色の温度感を実証してみる

画像1 先日、「色彩論」の授業で色彩の心理的効果の一つ「色の温度感」について話しました。温度感とは「暖かく感じる」「寒く感じる」といった視覚情報による感覚であり色がもたらす心理的効果であるということは色彩検定や色彩学の「テキスト」に書いてあることなのですが、せっかくの「色彩論」の授業なので本当にそう感じるのか実証してみました。
画像2 まず色の温度感は「色相」によるところが大きいと言われています。「色相」とは赤や青、緑といった色みの種類のことをいい、明暗清濁といったトーン(色調)と組み合わせて色を表示することもあります。温度感は色相範囲が概ね決まっており、いかなるトーンであっても色相がその範囲であれば「暖色系」「寒色系」「中性色系」にカテゴライズされることが通常です。
画像3 【暖色系】色相の範囲が「赤」「橙」「黄」にある色、それが「暖色系」です。鮮やかな色調はもちろん、例えば「ブラウン」や「ベージュ」なども色相でいうと「橙」になるので、暖色系にカテゴライズされます。太陽や炎など熱を持っているものを連想しやすく、反射的に「熱い」「暖かい」と感じる傾向にあるようです。
画像4 【寒色系】それに対して「青緑」「青」の範囲は「寒色系」とカテゴライズされ、心理的に「寒い」「冷たい」と受け取られやすい色です。やはり水や氷など冷たさを連想しやすいものに根拠があるのでしょう
画像5 【中性色系】そして暖色系にも寒色系にもカテゴライズされない色相の範囲が「中性色系」です。「中性」を翻訳すると「中立」を意味する「neutral」と出てくるのですが、この場合「温度感において中立的な色」と解釈すればいいかなと思います。中性色は色相環上で「黄緑〜緑系統」「青紫〜赤紫系統」の範囲になります。その色単独では「暖かい」「寒い」などの温度感についてあまり主張していない色だとされています。と、このあたりまでは何らかの文献や教科書でも書かれていることですが本当でしょうか?
画像6 中性色は本当に温度感においての主張が強くないのでしょうか?と軽く実証してみたいと思います。まず三重の正方形を作り、ロの字になっているところに様々な中性色(緑系、紫系)を適当に彩色します。
画像7 左側は「ロの字の部分の中性色」を「暖色の外枠と暖色の正方形」で挟んだ画面、同じように右側は寒色系で挟んだ画面です。ロの字の部分の中性色は左右全く同じ色なのですが、暖色で挟まれた左側画面は何となく温かみを感じるし、寒色で挟まれた右側画面は何となく冷ややかな印象になります。つまり、それぞれ暖色寒色の温度感によって寒暖の印象が概ね決まっており、ロの字に使われた中性色はほとんど温度感において主張していないということです。どうすれば一発で分かりやすく伝わるかという「実証」もなかなか面白いですよ♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?