1年後の私が、今日の私であるはずがない
人間なんて変わるもの。
一貫性のないのが人間。
自分の中でそんな答えを見つけたのは、映画『リアルスティール』の影響な気がする。
『リアルスティール』の主人公は、簡単に言うとクソ親父だ、たまに改心したかと思うと、感情に任せてまた子どもに対してキレ出す。
「いや、改心したんじゃないんかーい」なんて思いながら、映画を見ていたから、終わってすぐに「お父さん感情の起伏激しすぎない?どっちなの?」と彼に話した。
すると彼が「でも、ある意味それって人間的だよね」と返したのだ。
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60兆個ある人間の細胞が1年かけて全て入れ替わるなんていう話を遠い昔小説で読んだ記憶がある。細胞が入れ替わるだなんて、全くちがう自分になるんじゃないかと、ビクビクして眠れなかった夜もあった。
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ミッドナイトインパリという映画が好きだ。あの映画の中で、主人公のギルが小説家に憧れている脚本家なのはなぜだろう。
①本当は小説家になりたいけど、なかなか大成せずとりあえず演出家に
②演出家になったけど、ちょっと違ったから小説家を書きたくなった
③もともとどちらも同じくらいなりたかった。でも、とりあえず脚本家に!
少し考えるだけでもこれだけの可能性がある。
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「〇〇になりたい!そう言ってたのに、今はライターなの!?」「あなたエッセイの方が好きだったんじゃないの?いつから取材ライターなの?」そんなことを投げかけられることもあるだろう。
でも、これは意志が弱いからじゃない。
やってみて違った。本気だったからちがうと気づいた。それだけだったりする。
安定を手に入れたくて就職した生命保険会社。女性が多いから働きやすい。お客様に寄り添える。コミュニケーションが盛ん。メンバーが仲良い。行きたかった舞台関係の企業から内定をもらえなかった私は、そんなところに魅かれて生命保険会社に入った。
たしかにすごく良い会社だった。でも、私はコンプライアンス、もし〇〇したらとたらればばかりをあげて効率的に仕事を回せないことが好きじゃなかった。こういうこと言ったらお客様にとってもわかりやすいのに、法律に引っかかるから言えない、そういうちょっとずつの積み重ねがしんどかった。あんなに仲良い様子に魅かれて入ったのに、自分は会社の人と土日祝日を一緒に過ごすのは望んでいないことにも気づいた。
でも、こういうのは入らなきゃわからなかったこと。
就職活動のいろいろが書いてある匿名の掲示板、公式サイトの社員インタビュー、そんなところからは気付かされもしなかった情報だった。たくさんの情報が溢れているからこそ、本質を見抜いて自分で答えを出さなきゃいけない。自分の感覚を信じなきゃいけないって思う。
もちろんライターになってからも。私は食べることが大好きだ。だから最初は食べれるライターになりたいと思った。でも、食べるのが好きだからこそ難しかった。好き嫌いが多い。本当に美味しいものは美味しいしか出てこない。
今では同じくらいに好きだったインタビューの仕事が7割だ。正直しんどい日もあるけど、しんどい日こそいい話が聞けて、パワーをもらえることもある。だから、この仕事が大好きだし、読んだ方から「空気感が伝わった」だなんて言われた日には飛び跳ねたくなる。
だから、転職をするのは当然。甘えなんかじゃない。
恋人と別れるのも当然。見えなかったことが見えただけ。
変わることは悪いことじゃない。
本気だからこそ変わりたい。
変わろうとしている人がいるのなら、その道を応援してあげれるようなひとになりたい。