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育てるを知る

さくらんぼは私にとって幸福の象徴です。

子どもの頃の数年間、北海道の真ん中に住んでいたことがあります。福岡から引っ越して行った私にとって、すべてが新鮮で美しく感じられる土地でした。数年という短い期間だったこともあり、そこでの体験のひとつひとつは今でもみずみずしい記憶として残っています。
中でも思い出すのは友だち家族数組で行ったさくらんぼ狩り。一日いくらかで木を借りたんだったかな。
赤くて可愛い実を口いっぱいにほおばって、みんなで種を飛ばして数を競い合ったりしたものです。
あの頃のお友だちは今どうしているかしら。
若い母の明るい笑顔。
さくらんぼのような甘酸っぱい記憶です。

先日、友人から、山梨県にあるさくらんぼ&桃を育てている農園の農業体験に行かない?と誘われ、行きたい!と即答しました。

前日、東京はすごいどしゃぶりだったので心配していましたが、山梨県は暖かくてとてもいい春の陽気になりました。

農園に着いたら早速さくらんぼの実をつけるための準備のお手伝い〜人工受粉用の花粉の採取のために花を摘む作業~を行いました。

国内で一番多く生産されている佐藤錦は自家受粉できないので、花粉をとって人間の手でつけてあげなくてはいけないそうです。
なので、実をつける樹のために、花粉用に育てられた樹から花を摘むのです。
初めて見たさくらんぼの花は真っ白で美しく、摘んでしまうのがもったいないような気持ちになりましたが、これもいい実をつけるためのこと。
気持ちを切り替えてせっせと摘みました。


みんなでかごいっぱいに摘んだら、花粉だけを採取する作業です。

花を機械にいれて……

振動をかけることで、花粉が落ちていきます。

さらにふるいにかけた花粉は、1~2日間ほど低温でじっくり乾かすそうです。

そのあとは、桃の樹に蓄えられている養分を有効に使って、美しい実をつけるために花を落とす作業 (おろぬき)をしました。

桃は花の分だけ実がなるらしく、この作業をしないと立派な実がならないそうです。
こちらも花吹雪みたいに花を落としていきます。

この作業はイマジネーションも大事で、ここに実がなるといいな、というところに花を残し、花をとっていきました。

そよそよと吹く風とお日様と桃!
全てに癒されてニヤニヤしてしまいます。


お店で当たり前に買っている果物ですが、こんなにも手間暇かかって育てられているのですね。今回それを知ることができ、本当に体験してよかったです。


大好きな友人たちと、青空の下で愛を感じる。
さくらんぼや桃を見るたびに、きっと今回のことを思い出すに違いありません。
幸せなオーラにつつまれた情景として。

金丸文化農園にて。

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