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蠱毒大佐の百怪蒐録・これまでのまとめ

 ドーモ、こんにちは、蠱毒大佐です。
 今回は代理人のブログ「松籟庵」の企画「蠱毒大佐の百怪蒐録」に、これまで投稿された妖怪情報を呼称五十音順にまとめ直したものを投稿する。
 内容としてはこれまでの報告と大差はないので、ご了承を。

 そして、今後の「百怪蒐録」報告はこのnoteでも並行して掲載していき、将来的にはこちらに一本化する予定なので、よろしくお願いします。

 引き続き、投稿フォームを用いての妖怪情報募集は受け付けているので、もしお手元に各地の妖怪資料をお持ちの方は、ぜひご協力ください。


ア行

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:ああ(修正版)
【 地域 】:岩手県花巻市 (旧)稗貫郡湯口村
【 著者・執筆者 】:藤原貞次郎
【 資料名 】:昔話研究 創刊号
【 概要 】:
 昔、怠け者の若者が主人の言いつけで遠くに用事に行った。途中であまりに疲れたので松の木の下で「ああ、疲(ゆわ)い」と言って休むと「ああい」と返事をしたものがいる。周りを見ても誰もいないので不思議に思い、返事をしたのは誰だと聞き返すとまた声がした。
「俺は「ああ」という鬼で、悪いことをして神様に小箱の中に封印され長いあいだ土の中に埋められていたのだが、今「ああ」来いと呼んだのがつい面白くてたまらなくて返事をしたのだ。どうかここを掘って俺を助けてくれ。そうしたらお前を一生ただで養ってやる」
 若者が喜んで地面を掘ると小さな箱を見つけた。箱を振り回すとカタカタと音が鳴り、中からは「そんなに振り回すな、痛くてたまらない。早く開けろ」と声がする。開けてみると大きな鬼が出た。
 驚いていると、鬼は喜んで約束通り男を養うと言って、風がふっと吹くと男は飛ばされてしまった。飛ばされた先は大きく立派なああの屋敷であった。
 男はそれから毎日ぶらぶらと遊んでうまいものを食べて暮らしていたが、ある日ああは親の年忌で法事をしてくるという。そして三番目の蔵だけは見るなと言って、蔵の鍵を渡して出て行った。男は三番目の蔵を見るなと言われると逆に見たくなってしまった。
 蔵を開けて見るとその中は広い野原になっていた。不思議だと思って歩いて見物していると一本の杉の木があった。そこに行くと、狼が吠えながら向こうからやってきた。怖くなって杉の木にのぼるが狼も首を伸ばして今にも食いつきそうだ。男が思わず助けを求めて叫ぶとその瞬間に狼はいなくなり、ああがどこからか出てきて
「お前に叫ばれたから親の法事を勤めかねてやってきた。そんな約束を守らないような男をあじい(方言?)ことはできない」と言ってどこかに行ってしまった。男は広い野原にとり残されてしまった。

【 名前 】:山ン本
【 呼称(カナ) 】:アカイワショウゲン
【 呼称(漢字) 】:赤岩将監
【 地域 】:徳島県美郷町
【 著者・執筆者 】:喜多弘
【 資料名 】:美郷の伝説
【 概要 】:
 種野峠の近くの赤岩山の洞穴に赤岩将監という古い狸が一族を連れて住んでいた。
 将監狸は阿波狸の番付で張出横綱で屋島のはげ狸とは友達である。
 阿波の狸合戦では小松島の金長の参謀役を務めた。

【 名前 】:山ン本
【 呼称(カナ) 】:アカシャガマ
【 呼称(漢字) 】:赤しゃがま
【 地域 】:徳島県美郷町
【 著者・執筆者 】:喜多弘
【 資料名 】:美郷の伝説
【 概要 】:
 市野々の地蔵堂近くの国道沿いのスギ林の中に大きな岩の裂け目がある。そこに赤しゃがまという化物が出る。
 夜にここを通ると赤くて長い髪を振り乱した化物が目の前に現れて、にたっと笑って抱き着いたり、後ろから肩をたたき振り返ると長い毛が覆いかぶさる。高飛車に出ると消えるという。
 化物の正体は悪戯好きの豆狸という。

【 名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:アカヅラドン
【 地域 】:鹿児島
【 資料名 】:『日本俗信辞典 動・植物編』
【 概要 】:
 グミ取りに行くとアカヅラドンが出て来る。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:アズキアラエ
【 呼称(漢字) 】:小豆あらえ
【 地域 】:岡山県邑久郡本庄村
【 著者・執筆者 】:時実黙水
【 資料名 】:「邑久郡東部の妖怪」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 下山田の北浦馬場様の祠のある坂(ここにも茶碗コロバシが出た)に出た。「1升2升ゴーシゴシ、1升2升ゴーシゴシ」と言う。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:アブラトリ
【 呼称(漢字) 】:油とり
【 地域 】:山形県最上町
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 明治はじめころ、油とりが子供をさらうといって、夕方は早々に帰るように子供らへきつく言い聞かせていた。
 特に女の子はきれいな油がしぼれるからよく狙われると恐れられた。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:アメフリバンバ
【 呼称(漢字) 】:雨ふり婆
【 地域 】:山形県最上町
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承P37
【 概要 】:
 雨を予知する不思議な力をもっていたという老婆で、大きなコウモリ傘をもってよく買い物に出かけ、そのときは決まって雨が降ったという。
 この老婆が亡くなり出棺の日はものすごい風雨で、今にも火車という魔物が現れそうな様子であり、後に雨の性の生れだったと仏おろしの口から聞いたという。

【 名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:イッショウブクロ
【 呼称(漢字) 】:一升袋
【 地域 】:山口県大島郡西方村
【 著者・執筆者 】:宮本常一
【 資料名 】:澤田四郎作『五倍子雑筆』6号
【 概要 】:
 道に一升袋の姿で落ちている。
 墓地や四辻にのみ現われ、人にひっつく。

【 名前 】:闇の中のジェイ
【 呼称(カナ) 】:ウチダノクロボウズ
【 呼称(漢字) 】:内田の黒ぼうず
【 地域 】:大分県佐伯市宇目
【 著者・執筆者 】:宇目町誌編纂委員会
【 資料名 】:宇目町誌
【 概要 】:
 内田の三反畑の曲がり角付近の道路に、夜な夜な道を通る者の前に大きな黒い坊主が立ち塞がり、村人たちは怖がっていた。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:エデッカノモリ
【 呼称(漢字) 】:エデッカの森
【 地域 】:宮城県
【 著者・執筆者 】:佐々木徳夫
【 資料名 】:佐々木徳夫昔話記録①
【 概要 】:
 あるところに「エデッカの森」と呼ばれる小さな森があり、そこに入ると生首がエデッカッカ、エデッカッカと啼きながらスイソーンと飛んできて、ボタッと足元に落ちるとキョロキョロと見回し、ガサガサと茂みに隠れるという。
 ある時、物好きで度胸のある男が飛んできた生首をすべて袋に詰めて、翌朝見るとすべて山鳥雉に変わっていた。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:エンジョウダヌキ
【 呼称(漢字) 】:円城狸
【 地域 】:岡山県御津郡円城村
【 著者・執筆者 】:島村知章
【 資料名 】:「狐狸の話」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 円城村の狸たちのこと。数が多くいたずらをよくした。
 しかし、わらぶき屋根の葺き替えをする前の晩などに団子雑煮(おみそしるに米の粉のだんごを入れたもの)をすりばちに入れて屋根の上にあげておくと、夜の間にこの狸たちがわらを抜いといてくれたりしたという。

【 名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:オオガエル
【 呼称(漢字) 】:大蛙
【 地域 】:相模国
【 著者・執筆者 】:井沢蟠竜
【 資料名 】:『広益俗説弁続編』
【 概要 】:
(遺編巻30 雑類土石)
 むかし、相模の国に大蛙がいて人を食べていた。僧がこれを封じて石となった。それを蛙石と呼んでいる。

【 名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:オオキナケヤキ
【 呼称(漢字) 】:大きな欅
【 地域 】:新潟県北蒲原郡
【 資料名 】:『笹神村史 資料編4民俗』
【 概要 】:
 笹神村女堂にでた。
 狐が化けたもので道をふさいだ。しかたないので道の脇の石にこしかけてたばこを吸い、欅の木の根にきせるの雁首をつけたら狐が熱がって逃げたという話があった。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:オカバミサワノダイジャ
【 呼称(漢字) 】:蟒み沢の大蛇
【 地域 】:山形県南陽市
【 資料名 】:南陽市史民俗編
【 概要 】:
 大雨を降らし土砂を流して暴れまわっていたところを隠れ座頭の金縛りの術で退治され、小さな白蛇に姿を変えられて諏訪明神の使い者にされたという。

【 お名前 】:石丸まく人
【 呼称(カナ) 】:オクポ
【 地域 】:埼玉県日高町(現日高市)
【 著者・執筆者 】:日高町教育委員会
【 資料名 】:日高町史 民俗編
【 概要 】:
 オクポの一 オクポは暗い大木に寝泊まりしていて暮れかたになるとなく。オクポがなくとあしたも天気が良いといわれた(田木・大正七年生)。
 オクポの二 子供がよく泣くとオクポがくるといわれた。日暮れのオクポのなきごえは非常にこわかった(猿田・大正九年生)。
 オクポの三 オクポが聖天院でなくと人が死ぬという。また向山でなくと晴れになりいいことがあるという(高岡・大正二年生)。

【 名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:オクリイタチ
【 呼称(漢字) 】:送り鼬
【 資料名 】:『笹神村史 資料編4民俗』
【 概要 】:
 スナカケイタチとも。夜道を歩いてるとうしろからついてくる。腰のあたりにとびついて来たりもした。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:オサンギツネ
【 呼称(漢字) 】:おさん狐
【 地域 】:岡山県上道郡古都村
【 著者・執筆者 】:島村知章
【 資料名 】:「狐狸の話」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 よくひとをだました。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:オジョンコ
【 地域 】:山形県最上町
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 赤楯にオジョンコと名乗る化け狐が棲み、夜な夜な男たちをたぶらかして裸にした。
 その姿は決まって紫地に萩の咲き乱れた裾模様の着物を着た美女であった。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:オスギ
【 呼称(漢字) 】:お杉
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 大杉が化けたもの。伊勢参りに行った。
 途中で路銀が足りなくなり伊勢の別当から2貫匁を借りた。なかなか返済にこないので、お札を配りに来たついでに別当が問いただしに来たが、「そのような女はいない」と言われる。
 大杉の枝に2貫匁がぶらさげられていて、その正体が知れる。
 (原資料は『七ヶ宿村誌』らしい)

【 名前 】:闇の中のジェイ
【 呼称(カナ) 】:オダンノレェカメ
【 呼称(漢字) 】:おだんのれぇかめ
【 地域 】:但馬の國の北の隅にある小港
【 著者・執筆者 】:五十嵐力
【 資料名 】:「第三〇 小港の七不思議」『五十嵐力集 第六 口碑珠玉』
【 概要 】:
 P161~P162
 夏の夕方、里近くの林の中から赤い人魂が飛ぶといふので、これをばおだんのれぇかめと云つて、不思議がつて居る。
 (元々は五十嵐力『趣味の伝説』二松堂書店 大正二年六月十日発行 に載っていたもののようです。)

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:オニババ
【 呼称(漢字) 】:鬼婆
【 地域 】:宮城県仙台市
【 著者・執筆者 】:仙台市歴史民俗資料館
【 資料名 】:『榴岡と宮城野の民俗』
【 概要 】:
 むかし斎川の上流に鬼婆がすんでいた。
 泊まった旅人を殺してその肝を娘に食べさせていた。そのとき流れ出た血が斎川に流れて、それが孫太郎虫(子供が「かんの虫」のときにこれをすりつぶして飲ませた)に変じたといわれている。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:オハグロバケモノ
【 呼称(漢字) 】:お歯黒化物
【 地域 】:新潟県糸魚川市 (旧)根知村
【 著者・執筆者 】:西頸城郡教育会
【 資料名 】:新潟県西頸城郡郷土誌稿
【 概要 】:
 某家にはいつ見ても火が付いていないことはなかった。
 家を覗いてみると炉傍に敷いてあるムシロの下の藁を引き出し燃やして、その黒い燃え殻をお歯黒にしてつけている女の化物がいた。顔は見せなかった。
 そのためこの家は栄えるだろうと言っていたが、今は家が絶えてしまった。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:オブガサワノヒトツマナグノドウデンボウ
【 呼称(漢字) 】:負が沢のひとつ目のどうでん坊
【 地域 】:山形県南陽市
【 資料名 】:南陽市史民俗編
【 概要 】:
 小滝から宮内へと向かう街道で一番の難所とされた「負が沢」に現れる。
 村の人が沢を越えようとすると一目のどうでん坊がにやりと笑って立っており、驚いて川に落ちた隙に荷物を奪うという。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:オマン
【 呼称(漢字) 】:おまん
【 地域 】:鹿児島県 祁答院 永野
【 著者・執筆者 】:高崎速
【 資料名 】:『川内風土記』
【 概要 】:
 おまんという巨人の魔女がいた。
 伊佐郡西太良に出現して、一歩あるいたところが永野の笹原だった。そこでおまんが腰をおろしたのが永野にある「おまんが石」だという。(表面がへこんでて、これはおまんが坐ったときに重みで凹んだ)
 石はいま泉福寺にある。

カ行

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:カクレザトウ
【 呼称(漢字) 】:隠れ座頭
【 地域 】:山形県南陽市
【 資料名 】:南陽市史民俗編
【 概要 】:
 川樋と金山を分ける山には鬼面岩がある。
 そこに隠れ座頭という仙人が住んでおり、旧暦七月十六日の盆には忍びの道具や衣装などを向かいの山まで網を張って虫干しする。
 そのため村の人々は七月十七日には山には入らない。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:ガマセンニン
【 呼称(漢字) 】:ガマ仙人
【 地域 】:山形県最上町(かつて小国郷と呼ばれた)熊ノ返山
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 子供らがいたずらして蛙を殺すと雨が降るといって叱られる。
 これはガマ仙人という雲や霧を呼び雨をつかさどる神様が、同族を殺したと怒って大雨を降らし、死んだ蛙を生き返らせるとか。
 ガマ仙人とはタニググといい、ガマ蛙の年へた化身で仙術をつかい、小国郷では南の熊ノ返し山に住んでいて、天気を自在にしていると信じられている。(原文ママ)

【 名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:カラカサバケモン
【 地域 】:新潟県北蒲原郡
【 資料名 】:『笹神村史 資料編4民俗』
【 概要 】:
 笹神村下一分の三十刈と呼ばれる場所に出た。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:カラキガエシ
【 呼称(漢字) 】:空木返し
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 山の中で、木を伐る音や倒す音をさせてくるもの。音がしたところへいっても何もない。
 天狗のしわざ、貂のしわざ等といわれている。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:カンコロガシ
【 呼称(漢字) 】:缶ころがし
【 地域 】:新潟県出雲崎町道山
【 資料名 】:出雲崎町史 文化財民俗編 526P
【 概要 】:
 夜に蛇崩れの坂道を登っているとカラン、カランと石油缶が転がる音がする。振り向くと石油缶(一斗缶)がいくつも自分を追いかけるように坂を登ってきた。

【 名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:カンスコロゲ
【 地域 】:山口県豊北町
【 著者・執筆者 】:豊北町歴史民俗資料館
【 資料名 】:『島の民俗誌 角島民俗調査報告書』
【 概要 】:
 角島の「辻方の庚申」と呼ばれる庚申のところに出る妖怪。
 目も鼻も無いばけものだという。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:キエモンサマ
【 地域 】:東京都西東京市 (旧)保谷市
【 資料名 】:保谷市史 通史編 4 440P
【 概要 】:
 キエモンサマには30人の子供がいたが、みな食べてしまった。
 それではいけないということになって、ザクロの実は人間の味がするので寺に植えた。

【 名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:キツネノナミダ
【 呼称(漢字) 】:狐の涙
【 地域 】:新潟県北蒲原郡
【 資料名 】:『笹神村史 資料編4民俗』
【 概要 】:
 松岡山でミノムシ(蓑虫)が体についたことがあった。
 ミノムシは闇の中で光を発する。はらえばはらうほどいっぱいになった。
 キツネノナミダとも呼んだ。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:キョダイナナマズ
【 呼称(漢字) 】:巨大な鯰
【 地域 】:岡山県苫田郡香々美南村
【 著者・執筆者 】:中嶋政雄
【 資料名 】:「苫田郡香々美南村の不思議」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 深夜川狩りにゆくと、巨大な鯰がばさばさ泳いでるがなかなか採ることは出来ない。
 正体は狐だと昔からみんな言ってる。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ギンギョブチ
【 呼称(漢字) 】:銀魚渕
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 小原の小久保平に渡る橋の近くにあった渕。
 ある男がここで泳いでると誰かに呼ばれた気がしてもぐってみると、あねさまがいて、琴の音のきこえる賑やかな家があった。
 男はそこで2日過ごすが、帰ると何十年ものときが過ぎてた。あねさまは銀魚渕のぬしだった。
 男は以後、泳ぎが大変上手になり、ちょっとの間にマスを5本とってこれる程の腕前になった。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:クマノオヤジ
【 呼称(漢字) 】:熊のオヤジ
【 地域 】:山形県最上町
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 年をくった熊のオヤジは、猿の旦那と同じく、毛皮に松ヤニをぬり、その上に砂をまぶして固めているので、鉄砲玉を受けつけないそうな。(原文ママ)

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:クリへ、ケイトクジ
【 地域 】:新潟県
【 著者・執筆者 】:山田貢
【 資料名 】:越後の昔話 あったとさ 187~193P
【 概要 】:
 ある古屋では夜中になると古い道具が騒ぎ出すとともに、そこらじゅう一面に白と黒の土コロのようなものが拍子をとって動く。
 この土コロがクリへとケイトクジである。
 クリへは火鉢の中でできる灰の白い塊が化けたもので、ケイトクジはカンカンおきた堅炭の下にできる黒い灰の塊が化けたものである。

【 名前 】:闇の中のジェイ
【 呼称(カナ) 】:ケイカロボシ
【 地域 】:大分県佐伯市入津湾
【 著者・執筆者 】:平木修一
【 資料名 】:入津湾の民俗
【 概要 】:
 ケイカロボシという妖怪がいて、夕方、子供がひとりで遊んでいると、子供を隠す。
 ケイカロボシとは貝殻法師ではないか、とも言われる。

【 名前 】:闇の中のジェイ
【 呼称(カナ) 】:ケッコロボシ
【 呼称(漢字) 】:けっころぼし
【 地域 】:大分県佐伯市入津湾
【 著者・執筆者 】:平木修一
【 資料名 】:入津湾の民俗
【 概要 】:
 夕方の薄暮れの頃、白い綿のような、直径二十~三十センチメートルくらいの玉が、足元に転がり着いて人間が歩くのを邪魔し、前に進ませないようにするという。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:コカク?
【 呼称(漢字) 】:孤角
【 地域 】:佐賀県東松浦郡北波多村
【 著者・執筆者 】:北波多郷土誌刊行会
【 資料名 】:『北波多郷土誌』 24p
【 概要 】:
 信濃の野武士・稲江多羅記(?)の息子で、一家が九州に落ち延びて農耕に従事していたが、孤角は怪力のもちぬしだったため、乱暴を重ね、鬼子嶽にすみつき、人々を困らせた。
 渡辺久(綱の息子)によって退治された。
※近代デジタルライブラリーで確認可。
※獅牛との関係性が深いと思われる。
※原文中の暦の数字は西暦ではなく皇紀なのでご注意。
追加報告:鬼子嶽は普通の字は岸岳(きしだけ)だそうです。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:コケイチロウ
【 呼称(漢字) 】:汚一郎
【 地域 】:福岡県 門司
【 著者・執筆者 】:豊前叢書刊行会
【 資料名 】:『豊前の民話』
【 概要 】:
 郷筒たちの呼んでいた「狒々」(ひひ)のこと。
 体に松やにを塗り砂の上を転がって堅め、刃や弾をはじけるようにしている。弱点は目。

【 お名前 】:闇の中のジェイ
【 呼称(カナ) 】:コッケラバチ
【 地域 】:大分県佐伯市大手区一帯
【 著者・執筆者 】:佐伯市史編さん委員会
【 資料名 】:佐伯市史
【 概要 】:
 掲載ページ 912
 旧藩時代の西谷は、西谷小路とよばれて右側、城山の麓に藩士邸が数軒あり、その間を練塀がつなぎ、左側は堤防(土手)で五、六本の巨松が繁茂し、松樹の下にはゲズ(からたち)の生垣があって、昼なお淋しいところであった。西谷の入口は角石で、ここには関門があり、番所があって出入者を取締った。角石の門は暮六ツ(午後六時)に閉したが、これは大門で、小門は四ツ前(午後十時ごろ)まで通行をゆるしていた。
 この西谷の堤防うちには番匠川に沿うてお作事役場があった。お作事役場というのは、藩の建築工事、営繕工事をするところで、場内に何棟もの大工小屋、左官、石工等の溜場、それぞれの設備をした工場があり、毎日のように大工、左官をはじめ夫方の者が数十人仕役していた。堤防下の道路は俗にお作事裏といわれていたが、昼でも人通りが少なく、夜になるとまったく犬の子一匹通らないという淋しさであった。
 いつのころか、お作事裏に化物がでるといううわさが広がった。その化物は白い真綿のような塊りで、ころがってきて通行人にからみつき、足にまとわりついて歩かせず、これを倒したり、気絶させたりするという。誰一人この正体をたしかめた者はなかったが、お作事裏のコッケラバチといって婦人、子供を恐れさせた。ある人はお作事浜の河童だといい、ある人はお作事場の木石の精霊(すだま)だといったが、コッケラバチと名付けているのをみると鉋屑(佐伯地方ではコケラという)の精ぐらいに考えていたのではなかろうか。

サ行

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:サイノカミノヨナベテツダイ
【 呼称(漢字) 】:塞の神の夜業手伝い
【 地域 】:大阪府泉北郡上神谷
【 著者・執筆者 】:小谷方明
【 資料名 】:澤田四郎作『五倍子雑筆』6号
【 概要 】:
 夜機を織る音が聞こえると、あれはサイの神がよなべを手伝いせられている音だといわれている。
 又サイの神は藁を打つともいわれている。
 (※氷泉按ずるに、静餅などの仲間か)

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:サカイノオタネサン
【 呼称(漢字) 】:境のおたねさん
【 地域 】:鳥取県境港
【 著者・執筆者 】:佐藤徳堯
【 資料名 】:『山陰の民話』第1集(山陰日日新聞社)
【 概要 】:
◆化け狐。現在の境港駅のあるところに広がってた松林の大きな老松に住んでいた。善い人はだまさず、悪い人だけをいじめていた。
◆泥棒があったときにおたねさんに頼むと、その犯人の家の前で毎晩コンコン鳴きわめいて、それを教えてくれた。
◆毎年京都の伏見稲荷に参詣をしていた。境港の商人が京都へいったとき三条大橋の上で女性に名前を呼ばれて話しかけられたが誰だかわからなかった。「わたし一足お先に帰ります。境でお目にかかりましょう」と言うと消えてしまったので、「アッ、そうだ……おたねさんだ」と商人は気がついたという。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:さっくべババ
【 地域 】:宮城県遠田郡田尻町
【 著者・執筆者 】:田尻郷土研究会
【 資料名 】:(続)田尻のむかしばなし
【 概要 】:
 夕方から夜の浅い頃にかけて、「さっくべババ」という普通の人の三十倍の見る力、聞く力、嗅ぐ力をもった老婆が山から下りてきて、町の中を風のような速さで駆け回り、親の言うことを聞かない子供をさらっていく。
 「さっくべババ」は透明で、また捕まった子供も透明になるので見つからない。
 さらわれた子供は囲炉裏の火にさっくべられて火傷の痕が一生残る。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:サメノアタマ
【 呼称(漢字) 】:サメの頭
【 地域 】:東京都御蔵島市
【 資料名 】:御蔵島民俗資料緊急調査報告 126P
【 概要 】:
 ヤメンカタという場所には鮫が三本出るとか、鮫の頭が出るとか、後ろから赤い何かが出るとかいう。

【 名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:サンメンノオニ
【 呼称(漢字) 】:三面鬼
【 著者・執筆者 】:井沢蟠竜
【 資料名 】:『広益俗説弁続編』
【 概要 】:
 (残編巻45 雑類俗書)
 『年代記』に「大宝四年丁未、長八丈横一丈二尺一頭三面(ノ)鬼来(ル)」とあって三面鬼が出たという記録が俗書にみえる。しかし『続日本紀』など正史にそのような記述は見られない。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:シキ?(シギュウ?)
【 呼称(漢字) 】:獅鬼(獅牛)
【 地域 】:佐賀県伊万里市大川野
【 資料名 】:『西松浦郡誌』 596p
【 概要 】:
 大川野の眉山にいた身の丈2丈の怪獣。
 村里におりて人畜を激しく害していたが、渡辺久(綱の息子)らが解決に当たり、諏訪明神の加護によって退治された。
 その死体を埋めたところを埋牛塚という。
※近代デジタルライブラリーで確認可。
淀姫神社の解説はこれをもとにしているようだが「獅牛」の表記が無い。
追加報告:角川書店の『佐賀の伝説』をまるよみしたところ、獅鬼には「ししおに」の読み仮名(ということは獅牛は「ししうし」?)がありました。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:シダイダカ
【 地域 】:山口県大島郡西方村
【 著者・執筆者 】:宮本常一
【 資料名 】:澤田四郎作『五倍子雑筆』6号
【 概要 】:
 これは見ているとだんだん大きく伸びて来る。見てはいけない。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:シロウズマ
【 地域 】:香川県綾歌郡綾川町牛川
【 著者・執筆者 】:水野一典
【 資料名 】:四国民俗学会々誌 第八号 香川県綾上町妖怪名彙 22P
【 概要 】:
 牛川のウッチャゲという松バエに出る妖怪。
 白い石みたいなもので、畑のすみに積んである藁などをのけるとごろりとまい出る。
 棒などでたたこうとすると先へ先へころがっていって、気がつくと自分は遠い山の中へきていたという。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:センヅル
【 呼称(漢字) 】:千灯篭
【 地域 】:鹿児島県 川内
【 著者・執筆者 】:高崎速
【 資料名 】:『川内風土記』
【 概要 】:
 海上に見える怪火。高江の広潟、長崎堤防の方角に見えた。
 最初、赤白く大きな鞠程の大きさのものがいくつか見え、それが6、12と小さく分かれて横に増えていった。

タ行

【 名前 】:山ン本
【 呼称(カナ) 】:タイボクダオシ
【 呼称(漢字) 】:大木倒し
【 地域 】:徳島県美郷町
【 著者・執筆者 】:喜多弘
【 資料名 】:美郷の伝説
【 概要 】:
 樫平に天然記念物の杉の木がある。雨の降りそうな晩に杉の木の下の細道を通ると手斧で木を切る音がして木くずが降ってくる。
 その後のこぎりの音がして掛け声とともに地響きを立てて杉が倒れてくる。
 翌朝見ても何も起きていない。大木倒しという狸の仕業である。

【 お名前 】:猫屋敷
【 呼称(カナ) 】:タジャアラノコンジャロカムリ
【 呼称(漢字) 】:蓼原のコンジャロカムリ
【 地域 】:静岡県沼津市戸田
【 著者・執筆者 】:梅原 弥吉
【 資料名 】:弥吉じいさん 戸田村のむかしばなし
【 概要 】:
 中上(なかがみ)の山の中に蓼原(たじはら)というところがあった。
 そこには「タジャアラのコンジャロカムリ」という化け物がいて人を化かした。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:タヌキノシラカベ
【 呼称(漢字) 】:狸の白壁
【 地域 】:福岡県 小倉 吉田村
【 著者・執筆者 】:豊前叢書刊行会
【 資料名 】:『豊前の民話』
【 概要 】:
 「狸の壁塗」とも。吉田村と沼村のあいだにある納経[のきょう]峠に出た。
 行く手の路上にぽっと白堊の壁が浮かび出て道を塞いだ。狸のしわざ。腰から上あたりを切るとよい。
 また慌てずに「おれも手伝ってやろう」と壁にむかって壁塗の真似をすると狸は「こりゃ伎[わざ]がばれたな」と思って消えて逃げてしまうとも。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:タヌキノタケキリ
【 呼称(漢字) 】:狸の竹伐り
【 地域 】:福岡県 門司
【 著者・執筆者 】:豊前叢書刊行会
【 資料名 】:『豊前の民話』
【 概要 】:
 寂しい竹林を歩いてると竹が伐るような気配がするというもの。
 狸はしっぽで2、3回まず竹を叩き、その後竹の幹をのぼりあがり爪で幹をこすりながら下りて来るという。

【 お名前 】:石丸まく人
【 呼称(カナ) 】:チトリ
【 地域 】:埼玉県日高町(現日高市)
【 著者・執筆者 】:日高町教育委員会
【 資料名 】:日高町史 民俗編
【 概要 】:
 チトリの一 刃物を持って子供を傷つけて血をとって歩くチトリという者がいたという(女影・大正六年生)。
 チトリの二 よく麦畑のなかに隠れていて、子供がおとなしくしていないと血をとりにくるといっていた(北平沢・大正十三年生)。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:チャワンコロバシ
【 地域 】:岡山県邑久郡長浜村
【 著者・執筆者 】:時実黙水
【 資料名 】:「邑久郡東部の妖怪」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 国塩大師堂の坂や片山坂に出た。
 この茶碗に伏せられたら、夜が明けるまで出られない。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:チューコ(1)
【 呼称(漢字) 】:宙狐(1)
【 地域 】:岡山県邑久郡玉津村
【 著者・執筆者 】:時実黙水
【 資料名 】:「邑久郡東部の妖怪」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 雨が降って人の寝静まった頃に出る提灯くらいの大きさの火。
 宙をとんでるが地に降りるときは火が大きく広がり、ぼうっとほのかに明るくなってやがて消える。飛んでる時に声をかけると逃げる。
 正体は、燐火、鳥、狐であろうとそれぞれ言われてる。
 「隣火なら人を見て急に逃げ出す筈がない、鳥にしても未だ誰もその鳥を獲ったものがない、狐とすれば空中を飛行するのが変だ、果たして「チューコ」の正体は何ものか是非お教えを願いたいものです」(昭和4年9月1日邑久村長浜村 時実松蔵)

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:チューコ(2)
【 呼称(漢字) 】:宙狐(2)
【 地域 】:岡山県邑久郡豊村
【 著者・執筆者 】:島村知章
【 資料名 】:「狐狸の話」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 火の玉。20年前まではありふれたものだった。
 夏の夜、向こうの山から無数に小さい火が地上10間ばかりのあたりを右往左往しながら近くなったり遠くなったり飛び回り、いつの間にか消えてった。
 消えるのを見ると「チューコが寝たから人間も寝るとしようか」などと言いながら家に戻って寝たりした。
(氷泉註・20年前というと大正のはじめごろ)

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ツキノワ
【 地域 】:岡山県苫田郡香々美南村
【 著者・執筆者 】:中嶋政雄
【 資料名 】:「苫田郡香々美南村の不思議」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 こう呼ばれる田んぼを持っている地主や作人には引き続いて不幸があるという。そのため小作料地も他とくらべて安価。「げどうでんち」(外道田地)とも。
 (氷泉註 大佐用vol.6にもあげた「輪田」(『落合町史』)と同様のもの、別名の「げどうでんち」がヤバイ)

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:テツケン
【 地域 】:秋田県由利郡東由利村
【 著者・執筆者 】:坂泰子ほか
【 資料名 】:東由利の民俗 ──秋田県由利郡東由利村── 70P
【 概要 】:
 昔三人の男が釜小屋で仕事をしていたが、夜になってしまったのでそのまま小屋に泊まることにした。
 そのうち二人は眠ってしまったが、一人はなかなか眠れなかった。 すると、テツケンという化物が入ってきて眠っている二人の舌を抜いて食べているのが見えた。
 一人だけ起きていた男は自分も舌を抜かれることを恐れて小屋を逃げ出したが、逃げる途中につまづいて熊のすみかである洞穴に転がり落ちてしまった。
 熊は男を洞穴の奥の方に放り込んで外に出ようとした。しかしそこにテツケンが来てすさまじい争いとなった。
 夜が明けて、男が外に出てみると、熊もテツケンも戦いの末に死んでいた。男は熊に命を救われたと思って熊をねんごろに葬った。
 そのためこの地域のマタギたちは自分のとらえた熊の骨は必ず葬っているという。

【 お名前 】:morita11
【 呼称(カナ) 】:テンサツ
【 呼称(漢字) 】:天刹
【 地域 】:石川県金沢市橋場町浅野川神社
【 著者・執筆者 】:小倉學
【 資料名 】:金沢市史編さん委員会 編『金沢市史 資料編14 民俗』金沢市、2001年3月、p.378
【 概要 】:
 越中立山で千年の行を積んだという白狐。
 金沢城下に現れて吉凶禍福等の予知をはじめ不可思議な行動で人々を驚かしたが、人間世界から離れる時が到来して姿を消した。
 『三州奇談』に類似の伝説がある。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ドウツウサマノオツカイ
【 呼称(漢字) 】:道通様のお使い
【 地域 】:岡山県苫田郡香々美南村
【 著者・執筆者 】:中嶋政雄
【 資料名 】:「苫田郡香々美南村の不思議」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 首に小さい輪の模様のある小蛇。
 これがとりつくと病人は筋肉がやせ衰えて遂には死亡する。ここから一般に痩せすぎな人を「骨皮道通」だなどと称する。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:トマス
【 地域 】:兵庫県
【 著者・執筆者 】:井口宗平
【 資料名 】:西播磨昔話集 366P
【 概要 】:
 土蔵の奥の方の暗いところにいる恐ろしいもの。
 大きな口で子供をひと呑みにしてしまう。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:トリツキバアサン
【 呼称(漢字) 】:とり憑き婆さん
【 地域 】:岐阜県郡上市和良町土京下土京
【 資料名 】:和良の民俗 ―岐阜県郡上郡和良村─ 252P
【 概要 】:
 蚕の調子がいいときにこのお婆さんに見せたら、蚕は病気になってしまった。そのお婆さんは普通の人だが狐の血統だという。

ナ行

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ナカニシ
【 呼称(漢字) 】:(本文中に漢字表記特になし)
【 地域 】:沖縄県
【 著者・執筆者 】:伊芸弘子(1936-)サイパンうまれ・沖縄民話の会設立メンバー
【 資料名 】:『沖縄・首里の昔話』
【 概要 】:
「幽霊の恩義」という標題。
◆モーイさんが那覇で遊んできた帰り道、夜の墓場で誰かがろうそくをつけて何かをしていた。
◆ヘーイヘーイと墓に近づき、何をしてるのか見てみると女の人が洗骨をしており、きくと銭がないので夜中に亡夫の骨を洗骨してるのだという。
◆モーイはお手伝いをし、持っていた30貫文の銭も女にあげて家路にかえる。
◆その後、モーイが夜道をあるくと誰もいないのに提灯のあかりだけが行く前を照らしてくれるようになる。「誰なの」と話しかけると、「この前、墓で手伝ってもらったものです、恩返しです」「そんなことしなくていいよ」「いえ、そんなわけには」「じゃ、何か必要があったら呼ぶよ、そしたら来てよ」「わかりました」
◆女は、用事があるときは「なかにしへーい」と三言葉呼んでください、と告げる。
◆あるとき山原の城(ぐすく)からどうしても明日までの急ぎの御用ができてしまい、皆、そんなに早くは無理だと大困り。
◆モーイが名乗り出て、その役を果たしてみることに。さっそく「なかにしへーい」と三言葉よんでみると、牛の姿で例のひとが出て来て、「さぁ、おのりなさい」モーイはそれにまたがって夜駆けをして山原の城へ行って見事に用事をこなして褒められた。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:ナナツアナノヒトツメロウジン
【 呼称(漢字) 】:七ツ穴の一ツ目老人
【 地域 】:長野県南小谷村安道
【 著者・執筆者 】:小池直太郎
【 資料名 】:小谷口碑集 10,11(炉辺叢書の復刻版にて確認)
【 概要 】:
 新右衛門という猟師が熊を追って七つ穴の洞窟に入り進むと、途中に白熊が数頭寝ているのを見た。
 その瞬間奥の方で光明を放って障子らしきものが開いた。見ると裃を着て白扇を持った一つ目の老人が正座している。
 新右衛門は恐ろしくなり逃げ出し、この穴へ入ることは禁じられた。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:ナナツムスメ
【 呼称(漢字) 】:七つ娘
【 地域 】:鳥取県米子市
【 著者・執筆者 】:酒井董美
【 資料名 】:米子の妖怪 157P
【 概要 】:
 近道の近くに大きな松の木がある。
 夜にはここに七つ娘が「へへへへーっ」と言って笑って出るので通れない。

【 お名前 】:宮城妖怪事典(仮)
【 呼称(カナ) 】:ナマクビスギ
【 呼称(漢字) 】:生首杉
【 地域 】:宮城県仙台市宮城野区元寺小路
【 著者・執筆者 】:宮城県教育会
【 資料名 】:郷土の伝承 第三輯 p2~3
【 概要 】:
 観音堂前に住む進藤勘四郎という男が帰宅して家の門をくぐると、東の板塀あたりから「勘四郎、勘四郎」と呼ぶ声がする。
 見ると老杉の上に散らし髪で白衣の女がいて、勘四郎を睨み付けながら生首をいくつも抱えてそれを投げようとしてくる。
 勘四郎が早く投げてくれと言うと女は二、三十もの生首を投げてきたがやがてすべて消えてしまった。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:ニンギョウマテ
【 呼称(漢字) 】:人形馬刀
【 地域 】:福岡県 小倉
【 著者・執筆者 】:豊前叢書刊行会
【 資料名 】:『豊前の民話』
【 概要 】:
 「虚無僧馬刀」とも。曽根・朽網・刈田の潟で採れるという虚無僧のようなかたちのマテ貝。
 むかし、里人がとどめるのを聴かずに近道をしようと陸路ではなく潟を通り、朽網の潟で汐に満ちこまれて溺死した虚無僧がこれになった。

ハ行

【 お名前 】:宮城妖怪事典(仮)
【 呼称(カナ) 】:ハクロウ
【 呼称(漢字) 】:白狼
【 地域 】:宮城県玉造郡岩出山町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育会、今野正雄
【 資料名 】:郷土の伝承 第一輯 p88~89
【 概要 】:
 人に出会うと物凄い鳴き声とともに頭上を飛び越えて小便を目に入れて目潰ししてから襲い掛かってきたという。
 原田甲斐という人がこれに会ったとき刀を自分の頭上で垂直に立てて動かないでいると狼は腹を斬られて退治された。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:バケイシ
【 呼称(漢字) 】:化け石
【 地域 】:福島県三島町西方
【 資料名 】:三島町史
【 概要 】:
 西方の舟場の坂にある二つの大石は、通るときに唾を吐きかけないと、若松の花魁の姿に化けるという。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:はすりげぁ
【 地域 】:宮城県石巻市
【 著者・執筆者 】:辨天丸 孝
【 資料名 】:石之卷辯 語彙編
【 概要 】:
通り神のこと。「走り交ふ」の意か。突然に熱病になったのを「はすりげぁにあった」等という。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:バンドリ
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 炭焼き小屋に泊まってると、赤子の泣き声がきこえることがあった。バンドリの鳴き声といわれてた。
 「こんなのはバンドリの立てる音で、バンドリは普通コウロギのようにコロコロと鳴くが、発情期にはギャーギャーと赤子のように鳴くという」

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:フチノヌシ
【 呼称(漢字) 】:渕の主
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 赤井畑のスッツク滝には刀の主。小倉のボボメキ渕には鰻の主。西唐木沢の葦のはえた谷地には鶏の主。
 むかし、ボボメキ渕に杵を浮かべておいたら次の日、斎川の馬牛沼に浮いてた。これは鰻の主のいたずら。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:ブンドウボウ
【 呼称(漢字) 】:ぶんどう坊
【 地域 】:山形県新庄市
【 著者・執筆者 】:大友儀助
【 資料名 】:新庄のむかしばなし
【 概要 】:
 豆腐屋の爺と婆は豆腐を売っていたが、毎日一箱ずつ残すと蔵の中に置いていた。そうすると夜に大きな坊主が来て「べろっ」と豆腐を食べてしまうのである。二人は怖ろしくて知らないふりをしていた。
 そうして21日も経った晩に坊主は寝ている二人を呼び起こした。
 その坊主は豆腐が大好きで、毎日お金も置いていかないで豆腐をご馳走になったお礼に二人を自分の家に招待したいと語った。二人は自分らは年寄りだから歩けないと言って断ったが、坊主は自分のところの若者を呼んで二人を家まで連れていかせるという。そのうちに若者が二人やってきて、爺と婆の目を手拭いで隠し、おんぶをして「ぶうーん」と飛んだ。
 手拭いを取ってみると、そこはささぎ(豆の一種)畑の真ん中で、前方には海が見えた。
 そこで坊主は自分が讃岐の国の『ぶんどう坊』という鬼だと明かした。ぶんどう坊はもう豆腐なんて作らずにこの金で米でもなんでも買って楽に暮らしてくれと言って二人に金の入った小袋をたくさん与えた。
 爺と婆はまた鬼の背中に乗って「ぶうーん」と飛んで帰った。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:ヘビダマ
【 地域 】:群馬県伊勢崎市長沼町
【 資料名 】:八斗島町の民俗 ─利根川流域の生活と伝承─ 236,237P
【 概要 】:
 ヤマカガシが50匹くらい胴体を絡まらせて、高さ一尺、径二尺くらいの玉になって、一斉に頭だけもたげて道の真ん中で蠢いている。人の足音が近づくと察知してバラバラになって逃げてしまう。
 めったに見ることはできないが、見ると運が開けるという。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ボウズギツネ
【 呼称(漢字) 】:坊主狐
【 地域 】:岡山県半田山
【 著者・執筆者 】:島村知章
【 資料名 】:「狐狸の話」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 ひとをよく化かしてだます狐がいた。化かされるとよく頭を丸坊主にされてしまったそうだ。
 津山街道が出来る前はこの半田山を越えねばならなかった。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:ぼおがみ
【 地域 】:宮城県石巻市
【 著者・執筆者 】:辨天丸 孝
【 資料名 】:石之卷辯 語彙編
【 概要 】:
 疫病神のこと。現在の窒扶斯(チフス)のことを「ぼお」と言った。
 三方辻などに俵端の上へ御幣を立てて赤飯の握り飯や小銭を乗せてあるのを置いて「ぼおがみ」を送った。

マ行

【 名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:ミカケナイモノ
【 呼称(漢字) 】:見かけないもの
【 地域 】:鹿児島県隈之城町水ノ手
【 著者・執筆者 】:山田慶晴
【 資料名 】:「川内のガラッパ」(『鹿児島民俗』76号)
【 概要 】:
 木場谷から仏生橋へと流れてる川に「普通にはあまり見かけないもの」が浮いてた。
 見たひとが持ってた棒でそれをこつこつ叩いたら消えた。すると頭が痛くなり臥せった。痛みは医者にかかっても治らず、法者どんに頼んでやっと治った。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:ミズモンノカイブツ
【 呼称(漢字) 】:水門の怪物
【 地域 】:福岡県 小倉
【 著者・執筆者 】:豊前叢書刊行会
【 資料名 】:『豊前の民話』
【 概要 】:
 神岳川に架かっていた水門[みづもん]橋に出たという怪物。
 「これを捕えて皆をたまげさせよう」とやって来た「肝太[きもぶと]」というあだ名の小坊主(すぐ近くにある安国寺の者)が逆に化かされてきもを冷やした。
 (怪物が一向に出て来ないので橋の上から小便をしたら、下に夜釣りの侍が居た。詫びを入れたが「お前のあたまぃ飾りよつけてやろう」と侍に何かを頭に刺される。寺に帰った小坊主を和尚が見ると頭のまわりには「馬刀貝」の殻がいっぱい刺されてあった)

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ミソスリ
【 地域 】:岡山県邑久郡北池
【 著者・執筆者 】:時実黙水
【 資料名 】:「邑久郡東部の妖怪」(『岡山文化資料』2巻3号)
【 概要 】:
 北池の地蔵坂に出た。いまはその籔はなくなって道になってる。
 (氷泉註・何をするのかはよく知れません。小豆あらい系統??)

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:ミヤホーホ
【 呼称(漢字) 】:(宮ホーホ?)
【 地域 】:山口県大島郡西方村
【 著者・執筆者 】:宮本常一
【 資料名 】:澤田四郎作『五倍子雑筆』6号
【 概要 】:
 お宮から出る化け物、夕方出る。
 白い衣を着て、いつもニタニタ笑っている。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:ムジナノゴショ
【 呼称(漢字) 】:狢の御所
【 地域 】:山形県南陽市松沢
【 著者・執筆者 】:
【 資料名 】:南陽市史民俗編
【 概要 】:
 昔の人が住んでいた洞窟を「狢の御所」と呼んで今に残している。
 そこに三十から四十の狢の親子が住み着いて、月のよい晩に踊っていることがあるという。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ムジナノハラダイコ
【 呼称(漢字) 】:狢の腹太鼓
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 夜中に太鼓の音がする、それはムジナのしわざ。炭焼きのために山に泊まりこむひとたちがよく耳にした。音のするところに行っても何もいない。

ヤ行

【 名前 】:山ン本
【 呼称(カナ) 】:ヤギョウサン
【 呼称(漢字) 】:夜行さん
【 地域 】:徳島県美郷町
【 著者・執筆者 】:喜多弘
【 資料名 】:美郷の伝説
【 概要 】:
 夜、ある人が峠を通ったら後ろから大きな白い犬がついてきた。小竹が近くなったとき犬がその人の裾を加えて山の中に引っ張り込んだ。
 すると馬の鈴の音が聞こえて来て首切れ馬に乗った白装束の侍の一団が駆け抜けていった。
 夜行さんは戦死した侍の幽霊で大晦日の夜更けに南の山から讃岐まで一直線に駆け抜けていき、翌日の小の月の朔の夜に同じ道を帰ってくる。道で出会ったものは殺される。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(カナ) 】:ヤサブロカカ
【 呼称(漢字) 】:弥三郎母
【 地域 】:福島県三島町
【 資料名 】:三島町史
【 概要 】:
 昔、「弥三郎母」という鬼女がいて、片腕を切り取られたために毎年旧暦の十二月八日に吹雪とともに磐梯或いは天寧寺の湯に湯治に行くという。
 途中人家に飛び込んで人の腕を奪っていくので、これを防ぐために穴の一つ一つが目にみえる箕(豆通し)を門口にかけるという。
 (似た話では弥三郎という息子を失った母親が弥彦神社に行く途中人家に入って子供をさらっていく話がある。)

【 名前 】:闇の中のジェイ
【 呼称(カナ) 】:ヤマヒメ
【 呼称(漢字) 】:山姫
【 地域 】:大分県佐伯市入津湾
【 著者・執筆者 】:平木修一
【 資料名 】:入津湾の民俗
【 概要 】:
 (イ)観音様が祀られている谷に、山姫がいると言われている。この山姫というのは、二面の顔を持ち、前は美しい顔、後は恐ろしい鬼の形相をしている。
 (ロ)本谷に山姫がいる。たいへん美しい容姿で腰のあたりまで長く髪を垂らしているという。この山姫からじっと見詰められると、祟られるらしい。

【 お名前 】:氷厘亭氷泉
【 呼称(カナ) 】:ユッガバジョ
【 呼称(漢字) 】:雪姥
【 地域 】:鹿児島県 川内
【 著者・執筆者 】:高崎速
【 資料名 】:『川内風土記』
【 概要 】:
 雪のしんしんと静かに降る夜に足音も無くやって来て、いつまでも夜ふかしをしてる子供をさらっていってしまうという。

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(カナ) 】:ヨゾラノオニ
【 呼称(漢字) 】:夜空の鬼
【 地域 】:新潟県能生町小泊
【 著者・執筆者 】:新潟県漁業共同組合連合会
【 資料名 】:新潟県漁村生活誌
【 概要 】:
 人を取って食べてしまう鬼。この鬼のせいで、この世も終わるのではないかと思うほど人々はいなくなった。
 毎晩海の中から大空に飛び上がり、その光が星のように見えたので人々は「夜空の鬼」と名付けて呼んだ。またその鬼の出てくるところを「夜星ぐり」と言い、それは水面下の岩穴であった。
 あるとき一人の神がこの鬼を退治するために船に乗ってやってきた。それから八日八夜のあいだ空は暗くなり、日も月も出ず海は荒れ、昼夜の区別もつかなくなった。そんな日が続いたあと、鬼は神軍に負け伏して謝り逃げ去った。
 鬼が伏して謝ったということで、この地には「鬼伏(現新潟県糸魚川市鬼伏)」と名がついたといわれる。

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(カナ) 】:ヨナゴジョウノヌシ
【 呼称(漢字) 】:米子城の主
【 地域 】:鳥取県米子
【 著者・執筆者 】:佐藤徳堯
【 資料名 】:『山陰の民話』第1集(山陰日日新聞社)
【 概要 】:
◆米子城の城山の主。巨大な蛇が正体だという。
◆城の中に妖怪が出るという騒ぎが起きたとき、家臣のひとり村河与一右衛門がその正体をつきとめることになった。
◆夜の城を見回ってると、白衣に緋袴の女が火をたいてたので、注意すると「わしはこの城の主じゃ、心配せずとよい」と返答したので「この城の主は殿様だけじゃ」と斬りかかる。
◆与一右衛門の強さに感心した主は「きさまにはほとほと感心した、もうここには出ぬ、これを取らそう」と蛇の鱗2枚を渡しながら言うと、そのまま出なくなった。
◆村河家では代々その鱗を大事にした。

ラ行

ワ行

カナなし

【 お名前 】:ひょーせん
【 呼称(漢字) 】:山中の怪
【 地域 】:宮城県刈田郡七ヶ宿町
【 著者・執筆者 】:宮城県教育委員会
【 資料名 】:『山中七ヶ宿の民俗』
【 概要 】:
 「某家の婆さま、山越えして福島県の藤田に栗を売りに行くことがあった。あるときその帰りに、山中で何者かに煙草の火を借せといわれたという」(原文そのまま。ぜんぶ。)

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:山の爺様
【 地域 】:山形県最上町禿岳
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承P87
【 概要 】:
 昔、禿山で大勢の木挽きが小屋の中で炉を囲んで鋸を研いでいると七、八十歳くらいの老爺が中を覗きこんでいた。
 その老爺は髪も髭も白く顔は赤くテラテラと光り木の皮や藤ツルで作ったものを身につけており、近くの研ぎたての大鋸を取り上げると歯だけポキポキと食べてしまった。その間、木挽きらは金縛りにかかったようになり、ふと我に返ると老爺の姿はなく、ただ大鳥が飛び立つような音が聞こえたという。
 天狗やヤマフトというものらしい。
 (補足)村上健司氏の『妖怪事典』には『羽前小国郷の伝承』から引用した話が「山形県西置賜郡小国町」の話として載っているが、実際に本書を調べたところ、「山形県最上郡最上町(小国郷)」の話であることが分かりました。(既にご存じでしたらすみません。)

【 お名前 】:ぷらんと
【 呼称(漢字) 】:蛇人鳥
【 地域 】:新潟県糸魚川市 (旧)下早川村
【 資料名 】:新潟県西頸城郡郷土誌稿 124P
【 概要 】:
 熊坂山という岩山には人頭蛇体、飛行自在の怪物がいて村人を困らせていた。
 神主に従い山の麓で七日七夜の祈祷をすると死んで山から落ちてきた。

【名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:十兵衛蘭土
【 地域 】:宮城県石巻市桃生町寺崎
【 著者・執筆者 】:
【 資料名 】:桃生町史 第三巻
【 概要 】:
 あるとき寺崎と中津山の境にある細小路辺を「豆腐食いたい、豆腐食いたい」と叫びながらお化けが出歩くということがあった。
 大館滝本房という修験者がこれを斬りつけると、翌朝に付近一面は血に染まっており、血の跡を辿ると「十兵衛蘭土」と呼ばれていた石碑が倒れており、石の横腹が五、六寸斬り込まれていた。
 (付近に佐藤十兵衛という人物の墓があったそうだが関連性は不明。)

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:取首坂
【 地域 】:宮城県石巻市桃生町樫崎
【 資料名 】:桃生町史 第三巻
【 概要 】:
 樫崎から山田舟場に行く途中の峠道に「取首入道」という人が住んでおり、通行人を取り調べて罪人、悪人であれば、屋敷に連れ込み取り調べを続けて、場合によっては坂に連れ戻して竹鋸で首をひいたという。
 あるとき花嫁がこの坂を通るとき、その花嫁に命じて罪人の首をひかせようとしたが、そんなむごいことはできない、と花嫁はこれを断った。その後その花嫁の縁談は不縁となって、以来この坂を通っての縁組はどれも不縁になったという。
 またこの坂に昔から光り物が出ると言われた。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:置いでげ淵
【 地域 】:山形県最上町大堀瀬見
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 釣りびとが川辺を通ると川の中から「置いてげ、おいてげ」と呼ぶ淵があった。
 これはカワワラスが同族の釣られた魚を返せと叫ぶ声だという。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:藤丸塚
【 地域 】:福島県三島町西方沼田
【 資料名 】:三島町史
【 概要 】:
 佐藤藤内左衛門という地頭が、鴨ヶ城主山内信重に攻められ敗れ、家宝の藤丸の太刀をこの地に埋めて自害した。その名刀藤丸に恨みがこもって今でも時々白蛇になって現れる。
 また付近で葬式があると、必ず雨が降るという。

【 お名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:猫滝
【 地域 】:山形県最上町本城104見性寺近く
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 夜中にこの滝の下の道を通ると、滝の上から白い猫が目を光らせて飛びかかってきて、人の首に噛みつき血を吸うという。
 山のすその場所で、山の根っこ滝が転訛したものか。

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:坊主柱
【 地域 】:宮城県石巻市桃生町太田薬田
【 資料名 】:桃生町史 第三巻
【 概要 】:
 明治末期、薬田から館崎道路一帯は昼でも暗い道で、ここを夜遅く通ると坊主が道路に立ちふさがっておどしたという。
 地元の豪胆な男がこれを丸太棒で殴りつけて翌朝見ると、蟹がぶつぶつ泡を吹いて死んでいたという。
 (「柱」の意味は不明。)

【 名前 】:佐藤
【 呼称(漢字) 】:マオー鳥
【 地域 】:山形県最上町
【 著者・執筆者 】:佐藤義則
【 資料名 】:羽前小国郷の伝承
【 概要 】:
 青鳩のことで深山でマオーマオーと人を呼ぶような不気味な声をたてる。村人は地獄の閻魔大王の声だといってこれを嫌う。
 マオー鳥が叫ぶ時は近く雨が降るという。

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