協力ゲームの奉行問題。解決案3選。
協力ゲームにありがちな奉行問題。他のプレイヤーが誰かにアクションを指示したり、選択しようとしたアクションの否定したり…… やられてる方としてはたまったもんじゃないですね。面白いゲームも面白くなくなっちゃいます。
こういった用語は、言葉としては定義がされていないため、奉行だ、そうじゃないっていう、ライン上の問題は多々ありますね。やりすぎ、やりすぎじゃない。奉行だ、協力だ。なんだ!かんだ!
では早速、私が考えた、そして実際に実践した解決案3選を見ていきましょう。
最後に、これらを受けて作ったゲーム「リターンホーム」の創作時に合った話をちょこっと書きます。(いつもの。もしよければ読んでいただけると嬉しいです)
解決案1:奉行に責任を押し付ける
手番にやることを指示されたように感じることがあるかもしれません。それは遠からず、奉行問題の一端でもあるのですが、そんな時、1つの方法ですが、「奉行に責任を押し付ける」という方法があります。
具体的に言うと、
A「手番、なにしよっかなー」
B「このアクションしかないやろ」
っていうときですね。(極端ですが、たまに見ることもあるかと思います。つい、口が出ちゃうやつ)
そんな時にひと言、「分かった、そのアクションするけど、クリアできなかったらBの責任ね」っていうと、相手は多少なりとも引く、もしくは構えます。
少なくとも次に提案して来ることは中々減るんじゃないかなって思ってます。実践したことある経験としては。
帰ってきたのは「責任は持たれへんわー(大阪なんで、すみません) 好きなアクションしたらいいと思うで」という感じのリアクションでした。
実は何回かやったことがあるんですが、総じてこんな感じでした。
どういうことかっていうと、人は誰しも「いらない責任」を負いたがらない傾向にあります。時たま、本当にそのアクションが必要で、「大丈夫、(責任)取るよ」っていう人もいますが、そういう人も次に指示して来ることはあんまりありません。いや、それでも言う人は言うんだけれど。
8-9割はこれで引き下がってくれると思います。
どうしても言葉上、「不快感」が伝わってしまいやすいのが、ここでの問題ですが、まー、うまくやってください。
解決案2:先に釘をさす
ゲームを遊ぶ前にできることもあります。
案外、一番平和的なのはこれかもしれません。インストする人が、遊ぶ前に全員に釘をさしておくのが効果的です。
決して特定の人を指す必要はなく、「ゲームあるあるで、奉行問題っていうのがあるねん」ぐらいの話でいいと思います。
「他の人の手番に口を出すことを指すんだって」ぐらいでいいと思います。
でも最初に書いたように、ここの線引きは非常にグレーの場合があります。
何を言っているかと言えば、この言葉の返しで、「じゃ、どこまで言っていいの?」って結構な確率で帰ってくることがあります。ゲーマーしてますねぇw
色々な答えがあるんですが、私の経験上、「匂わすのもダメ」っていうのが結果的に良かったですね。中途半端に、「ニュアンスならOK」とかいうと、バンバンやる人がいるので。そういうゲームって勘違いされちゃうんです。そうなるとゲームが面白くなくなる、もしくは崩壊する場合もあるんで、案外重要なポイントだったりします。
解決案3:ちょっと考えさせて
さて、1と2で「そんなことを言えるほど、私の心、強くないよ」っていう人がいると思います。
私の周りにも少なからずいるので、そういった場合での解決方法がこちらです。
「ちょっと(やるアクションを)考えさせて」
手番が来た時、少し時間を食いそうだな、と感じた時に試しに言ってください。少しならみんな待ってくれます。
逆に誰かが口を出したときは助けてくれる時もあります。
考えたいから待って、というのは、何回も話題に上がることのある「長考問題」にも通じるものがあります。
長考問題の1つの側面として、「待ち時間が長い」というのがあります。
これは、友人の言葉ですが、「Aという人は長考する傾向にあるけど、何を考えてるか口に出してくれるから、飽きずに待てるので楽しいので問題ない」ということでした。
つまりは、相手に何を考えているか伝われば、口を出さず待ってくれる場合があります。でも、その場合、すぐにこうなるよ、って答えを伝えてくる場合もあります。
その時は、「なんで?(なぜ)」って聞くのもいいかもしれません。
また、こうすると逆にゲームに誘われなくなる、という人もいるかもしれません。
でも、よく考えてみてください。あくまで超極端な一例としてですが、相手が答えを提示してくる、というのは、その人にとってあなたは「ゲーム友達」ではない場合があるのです。(ぇー
アクションをやるものであって、友達ではないかもしれませんw
おまけ:ボドゲ創作における奉行問題
奉行問題は、ボードゲーム自体のルールが問題の場合もあります。私も遊んでいて、「これは奉行が出やすい」って感じることがあります。
ってな感じで、協力ゲームを作るときには、奉行問題の発生、そして上記のような気づかいが必要です。
「おまけ」では、『じゃぁ、協力ゲームはすべて奉行問題が発生するのか?』からスタートして、結局、テストプレイヤーに「このゲームは奉行問題は発生しないんちゃうかな」と言ってもらえたゲーム、リターンホームのことをお話しできればと思います。(漂う自家発電案件感。でも実話です。)
リターンホームを作るうえで、どうしても切り離せないのが、映画「オデッセイ」です。いうて、概要ばかり目に入って、本編を見てないのですが(近々見る予定ではあります)
オデッセイの概要は、火星探査の研究者が1人火星に残されてしまって、1年ぐらい先に来る救助艇が来るまで何とか生き延びる、という映画です。
当時、主演のマット・デイモンさんの1人演技を見る映画、みたいなことも言われていた映画で、Twitterで結構盛り上がってたのを覚えています。
このシチュエーション、すごく面白そうじゃないですか? 自分でもちょっと体験してみたくなりません? ならない。いや、あ、はい。スゥゥゥ…
でも、誰かの危機を救ってみたい、そんな部分が自分にはあって、それをゲームにしたいな、と思ったのが最初でした。
ってことで、協力ゲームを作ることになったのです。(雑な導入)
おまけ:奉行問題の発生、分析編
協力ゲームってことで、真っ先に出てくるのが、この記事でも書いている「奉行問題」です。
過去の経験から問題点を洗っていきます。
要素が本当に多いので詳細は省きますが、その中で共通する1つの点がありました。それは、
『手番に答えがあるゲームに奉行問題が発生しやすい』
ということでした。
あまりイメージが付きにくいと思いますので、少し掘ります。少し難しい話になります。
ボードゲームの中には、「手番で行うことの答えが明示されている」場合があります。つまり、盤面、手札、リソースなどを照らし合わせると、これをするのが最も良い、ということが分かる、ということです。方程式みたいなもんです。
こういったゲームがいいかどうかは置いておいて、そういったものを協力ゲームで行うと、「手番プレイヤーより先に解いてしまうプレイヤー」が出ることがあります。これは、慣れた人ができる、つまりベテランプレイヤーができてしまいます。そう、奉行がベテランに多いのはこのためでもあります。
これによる奉行問題が非常に多くあることに気づきました。思いつく限り、ほとんどの場合が本当にこれです。
おまけ:対策編
これの回避は、運要素を絡める、つまり、サイコロや伏せられたカードを使う方法です。
実践編として、リターンホームでは、この部分の解決を「他のプレイヤー」に任せることによって、サイコロのような役割を持たせています。
大まかに言えば、プレイヤー同士における読みあいがそれに当たります。
1人だけ行動を阻害する「災害プレイヤー」となって他のプレイヤーのアクションを「邪魔しなければなりません」。
ちょっと「リターンホーム」の説明
このゲームでは、「移動」「調査」「修理」などのアクションを選択し、ボード上を駆け回り、必要なカードを集め、時には遭難者を助けつつ、カードセットの完成を目指します。
そこに対して、災害プレイヤーは他のプレイヤーのアクションを「キャンセル」する権限が与えられています。
ただし、双方で何を行うかは非公開になっています。また、災害プレイヤーは毎ラウンド変わっていきます。
また、アクションを行うプレイヤーは1人ではありません。あちらを立てればこちらが立たず、それなりの最善手を探さなければなりません。
逆にプレイヤーも災害プレイヤーのアクションを見越して、若干ある情報から災害の順番を予測し、避けなければなりません。
つまりは、双方で双方を思いやることにより、ゲームが上手く進むようにできています。
ちょっとだけ別のお話
こうすることにより、奉行問題が発生しないゲームの完成となりました。めでたしめでたし。
で、余談ですが、テストプレイでは「難易度を下げること」に注力していました。ゲームデザイナーだけのテストが多かったせいもあるかもしれませんが、なかなかクリアできないのです。個性強すぎーズが集まりすぎたか……w
ルールに記載しているバージョンは、ゲームモードで言うとEasyに当たるレベルです。
本当に遊んでほしいのはバリアントをいれたバージョンです。ただ、テキストが多くなるのよねー…… とルール上ではバリアント扱いになっています。
色々とフィードバックは頂いていて、つまりは「簡単すぎません?」ってことでした。そうかー。テストプレイがとんがりすぎたかー。
ってことで、ゲムマ2021大阪、2021春では、そのバージョンでの告知と追加コンポーネントの配布を考えています。
1人用ルールも作って、ルールの把握がより簡単にできるようにできないかな、とかも考えています。
間に合えば、ゲームマーケット大阪、春に間に合うとは思います。
すでにお持ちの方、この記事を読んで興味を持っていただいた方がいれば、ぜひサイトをご覧いただけると嬉しいです。
リターンホーム
https://sites.google.com/site/colonarc/games/2020/ReturnHome
イラストも、「ヒトトイロ」や「じゃぱらん」を担当いただいたわとさんに担当していただいています。私がなんでもOKを出したばっかりに犬っぽくなってしまった、遠隔操作ラジコン「ローバー」、そしてそのローバーが様々な災害に立ち向かうイラストを見ることができます。
マルチエンディングの1つに、ローバーを残して脱出(クリア)がありますが、「ローバーを残すなんてできない!」って思うこと、必至と思います。
そんな訳で、奉行問題の話はこんな感じでした。
少しでも協力ゲームが楽しめるようになってもらえればうれしいです。
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