BEN FOLDS FIVE とレモンキーマカレー
出張先の鎌倉で注文したレモンキーマカレーを待っている間に店のBGMの懐かしいピアノイントロの鍵盤のタッチが、耳の奥にある記憶の扉を仕切りに叩いているようで、何とかその扉を開けてあげたいのだけれど、なかなか記憶とその曲名、バンド名が結びつかずに、コレはどうしたものか?と思っていた。このままでは、楽しみにしていた逗子カレーのレモンキーマカレーを集中して味わえない… 。
なんて心配は杞憂に終わり、ターメリックライスの堤防を境にしたスパイシーチキンカレーとレモンキーマカレーが運ばれてくると、そんな懐かしいBGMの脳内ボリュームは一気に絞られて、僕はすぐに堤防のあちら側とこちら側のカレーに神経を集中させることができた。
あっちの沼はスパイシーで深い味わいがターメリックライスの堤防に染み込んで、口の中でさらっと広がっていく。一方で僕にとって主役であるこっち側の沼は、期待通りさわやかさ。6月の鎌倉のじめっとした空気を吹き飛ばすレモンの香りが、あっち側のスパイシーチキンカレーと相まって梅雨明けの夏に連れて行ってくれる気がする。
先週このレモンキーマカレーの存在を知った時から、味やレシピのイメージを固めていたのだが、だいたいイメージ通りかな…
出張からの帰り道、ずっとレモンキーマカレーのアレンジレシピを考えていたのだけれど、ふと、また、あの逗子カレーで聴いたピアノロック調BGMの脳内ボリュームが元に戻ってきて「あれはなんてバンドのなんて曲だったのだろう?」という疑問がレシピを遠くに追いやってしまった。
おそらく1995年頃、大学生の時によく聴いていたバンドだ。アルバムのジャケットも思い出せる。ピアノの鍵盤のイラストだった。
そこまではわかるし、なんとなくバンド名の音(おん)というかリズムも出かかっているのだけれどどうしても出てこない。難しい漢字のなんとなくの形だけ分かっているのに字は書けない…、そんな感じだ。
週末の今日、記憶は突然よみがえった。
家のトタン屋根を叩く雨足が、ピアノの鍵盤を叩く和音とリンクしたのか、あの曲のイントロと同時に名前が降りてきた。
BEN FOLDS FIVEの「Jackson Cannery」
早速Apple Musicで検索かけて聴いてみると、大学時代にトリップすると思いきや、トリップ先は先日の逗子カレー。よみがえるレモンキーマカレーの味となんとなくのレシピ。
そんな風にして、今晩の夕飯はレモンキーマカレーになった。
我が家流にドライフルーツのペーストをきかせ、フルーツの甘さの後にスパイスがきて、最後にレモンの爽やかさが抜けていく夏のカレーにアレンジ。庭のアップルミントを散らすと、更に爽やかになった。
大学時代の音楽とレモンキーマカレーがリンクするという不思議な週末。
おかげで我が家のカレーの定番レシピがまた一つ増えましたよ。
勢い余って、残りをキューブカレーパンに。
コレも夏の定番にします。