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酒井佐穂さん「変わりゆく結婚と婚活」

「株式会社en.」代表 酒井佐穂さん
大分の「婚活」をリードする「株式会社en.」「OITAえんむす部」事業コーディネーターとして立ち上げから参画するほか、自治体からの依頼などを受け1,000組以上のカップルを成婚に導いています。時代とともに変遷する婚活シーンや社会的な背景などを発信いただきました!

今日はこのような「ご縁」をいただきありがとうございます。
株式会社en.の酒井と申します。
この会社を立ち上げてからおよそ11年が経ちました。
会社名はもちろんご縁の「en.」ではありますが、アルファベット読みで「いいえん」と読むことで、この名前を付けることにいたしました。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。

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あらためて「婚活」とは言うまでもなく結婚活動の略です。
2008年に上梓された「婚活時代」という本があります。
中央大学の山田昌弘教授と当時AERAの副編集長の白河桃子氏の共著です。
この本を読んだことがわたしがこの「婚活沼」に足を突っ込む入口となりました。

これが私のお店のテーマカラー。ハートでピンクだと男の人が入りにくいかなとブルーにしています。

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今や日本だけではなく、世界の中でも、中国や韓国でも婚活が重要視されています。その状況は毎年のように変化し続けています。

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超高齢化社会の婚活
20代~70代、80代の人も婚活している時代となりました。
超高齢化社会ゆえの一人暮らしが長くなることもあるのだと思います。
男女雇用機会均等法により、女性の社会進出が当たり前になりました。
それにより今は頭脳明晰で仕事をバリバリとこなし、所得の高い女性が増えるとています。
できる女性が増えたことで「自分よりできない(?)男性」を「結婚相手」としてみなくなったことが一因とも言われています。

後ほどご紹介する自治体の少子化対策のための婚活事業にも携わっていますが、とても大変です。なぜ自治体がお金をかけてでも事業やっているかというと、なかなか実らないからです。

今の法律ではやはり、婚姻をしないと子どもを産まない。
もちろん、結婚しなくてもお子さんを認知することはできますが、現状では入籍しないと産まないという考えが根強い。やはり、「まずは結婚」となるのだと思います。

しかし、1年間。ひたすらありとあらゆる婚活を頑張っていても、実際に結婚できる確率は9%と言われています。
毎年91%の人が結婚できない状況が続いているわけです。1割にも満たないわけです。

そしてその結婚できない人たちがどんどん増えていく。
実際に私の会社でも婚活の会員さんでも、それにほぼ近い数字が出ています。

年齢が高い方が増えていくに従って、シニアの婚活の需要も増えてきています。
「8050問題」いまや「9060問題」になりつつありますが、50歳の引きこもりと言われる人たちが80代の親の年金をあてにして生きていくしかないという状況がある。
高齢の親が元気なので食事などの世話をしてくれる。仕事以外のことはできずに50代、60代の方が増えているのではないでしょうか。自治会や近所付き合いをせず、自立力にも不安がある。

問題はそれだけではなく、婚活したけど結婚しなかった。できなかった。
諦めた方たちの今後を憂いてもいます。
「ずっと一人は怖い」「親が亡くなって自分一人になってコロナで誰とも話す機会もなくなって」というお一人様の今後を考えての婚活。
そういうパートナー探しも必要になっているのかも知れません。若くて元気で自分がいろいろ動けるうちは感じていなかったことでも、長い老後30年以上を一人で生きていく覚悟ができているかも問われるようになっている。
シニアの婚活は再婚の方も多く、「子育てが終了してから」と思いきって始める方もいます。しかし、元々独り身の方よりもお子様などの反対などもあったり、相続の問題などでよりハードルは高くなる傾向にあります。

その昔の日本では近所のおじちゃん、おばちゃん、親戚のおばさんなどが結婚やお見合いのお世話をするのが当たり前だった時代がありました。
核家族化や個人情報保護法などのおかげで守られるべきプライバシーはありますが、その分お世話を焼いてくださる人や仲人さんという役目の人たちが消滅しました。

隣の人は何歳か?仕事はなにか?家族の人数は?
そういったことも分からない世の中になっています。

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そして今、新たな「お見合い」が復活しています。
各都道府県にサポート体制を整えたお見合いセンターができていますし、私のような結婚相談所のような会社も乱立しています。

市町村では婚活サポーターなる仲人さんを育てる事業も始まり、私はその講師も務めています。
ちなみに臼杵市ではそのサポーターさんの名称がイランショワさんという名前です。地元の人が独立して活動しています。

一方、恋愛結婚というカテゴリーになるのでしょうが、昔は一番多かった職場結婚が殆どなくなってきました。
ご説明した通り「女性が強くなった」ということはありますが、結婚しても仕事を続けるのが当たり前の今は「離婚した時に同じ職場はいやだ」ということもあるらしい。
「まだ結婚していないのに、離婚のリスクを考える」というおかしな現象も起きつつあります。そんな境遇の方が身近におられるのかもしれません。

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では、ちょっと寄り道しまして。
私がなぜ「婚活先生」となったのかを含めここで私のプロフィールをご紹介します。
1965年佐賀関町で生まれる。トキハに就職してエレベーターガールを5年間しました。第二子出産を機に退社。その後、福岡本社の結婚式とプロデュースをする会社の大分店へ就職を決めます。
私は書道が得意なので、招待状のあて名書きや、結納の際の熨斗書き、などを頼まれることが多く、結婚式の仕事は何となく身近なものに感じていたので、この会社を選んだというところもあります。

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2008年、婚活時代の本を読んだ私は「まずい!」と感じました。
「あれだけ多くの人がいる東京で活動しないと結婚できない時代が来ているなら、数年後に必ず大分にその時代がやってくる。結婚したいのにできない時代がやってくる」と考えました。

下の子どもが小学生になり新しく結婚式の仕事を張り切って始めたのに「結婚する人いなくなると仕事無くなる…」。当時、おおいた店で店長を務めており問題意識を持ちました。

そこで、それぞれ「おひとり」の時代からお客様のことを知って結婚式までお世話することになれば、顧客の滞在期間を延ばせて確実な売り上げになると思いました。

それからはイベントやパーティ、コンパやお見合いなどありとあらゆることを始めて、口コミでお客様が来てくださることになりました。しかし、それは結果的には「会社はカップルになっているお客様を求めているのに、まだ相手のいない1人でくるお客様を増やすことになっていきました。
「このお客様をどうにかサポートしなくては」と会社を立ち上げることになりました。
同じ頃、男性向けのセミナーを始めました。なぜかというと男性の見た目もコミュニケーションもイケテないからです。女性が「いいなぁ」と思う男性は、みんな結婚している。「素敵」という人には指輪がついている。まずは男性のレベルアップをしなければいけない。そういうことを続けていたら、お客様が「先生」と呼んでくれることになった。それをきっかけに分かりやすく「婚活先生」という名前をつけて商標登録をとりました。
現在、自分の会社の会員さんはもとより、自治体の仕事も多く手掛けるようになっています。自治体のお仕事は約10年前から携わるようになりました。

「おおいたえんむす部」の立ち上げから始まり、県外のお仕事や各自治体市町村や農業団体などからの依頼も多くなってまいりました。

少子化対策・人口減少の歯止めとして予算計上し、取組みを始めたところがだったと思います。

昨年の夏は大分の男性と福岡在住女性との婚活ツアーを計画しましたが。実際にはコロナの影響で女性セミナーのみ福岡で実施し出会いの場はリモートとなりました。結果としては6組のカップルができて、大分の女性に比べて福岡の女性の方が積極的な印象を受けました。

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「婚活大茶会」は国民文化祭の大分開催の年に「大茶会」なぞらえて、2年連続で開催しました。セミナーやブースを作りスタンプラリーのような形式で『3か所コンプリートすれば男女の出会いのイベントの「お茶会」への参加条件が整う』というもの。
堅すぎず遊び心ありのものを企画運営し、150人参加の大がかりなイベントになりました。

昨年度からお引き受けしている杵築市と豊後大野市。
豊後大野市の「ぶんごる婚活」に関しては年間イベントなどをすべて一括して受託し、出会い事業、婚活サポーター育成、講演会など多岐にわたり運営をしています。

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理想の結婚相手像の変遷
昭和の時代の女性からみた「結婚の勝ち組」(?)は「3高」と呼ばれていました。
高学歴・高収入・高身長ですね。

それから5年ほど前には「3平」。
平均くらいの年収・平凡な外見・平穏な性格というのが出てきました。

さらに、2年くらい前には「4低」。
低姿勢・低リスク・低依存・低燃費。
段々と言いたい放題になっていますね。

そして今は「3生」。
生き抜く生存力・家事もできる生活力・新しいものを生み出す力や人脈 人望など生産力。

そういうものなんだそうです。
ちょっと女性のワガママかなぁと思います。
言いたいことをいうのは自由です。
では、「それに見合うようなあなたですか?」と女性にはそこは厳しく申し上げることもあります。

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結婚したい派と結婚したくない派の二極化
サポート活動をしていると男性のふがいなさと女性の浅ましさも垣間見えてきます。
「夫はいらない」「子供だけほしい」という人もいます。
近い将来、精子バンクや卵子凍結などに発展するかも知れないという気もしています。

入籍するか否か。パートナーでもいいのか。夫婦別姓か。
そこにはリスクをできるだけ排除したい女性の姿が見え隠れします。
男女とも同じ収入、責任の重さや仕事の質量ともに同じなのに、家事育児に関してまだまだ「手伝う」という意識しかない男性もいる。
女性は家事を全くしない父親の姿をみているからこそ、結婚の良さを感じていない。母親も父親の悪口・愚痴を娘に聞かれているのも影響しているのかもしれない。

結婚したい女性は、「子どもが欲しい」「産み育てたい」と考える。不妊治療で苦労する女性たちの情報をしっかり見ていて、そういう女性たちの姿を見ている。
結婚しないと子どもを産めないと感じている人。
両親が仲良く円満で家庭をもつことが当然と思う人。 
逆に親が離婚したり不仲な人で結婚したいのは憧れがある。

また、LGBTQの実情があります。
レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クエスチョニング(クイア)というあえて決めない・わからないという方もいる。 
性的マイノリティが容認される時代においての婚活の難しさがある。 
大手会社のアンケートの性別には男女の欄以外に「いいたくない」がある。そうした中、「男性が何人?・女性が何人?」の婚活事業に「差別になりかねないのでは?」というクレームもごく稀ですがあります。
そういう方々の存在を念頭に置きつつ、結婚したいという人たちのサポートをしていこうと考えている。

そう簡単に出会いの場を提供できないし、妥協もできない。
特にこの1年半はコロナ禍の影響が色濃く大分の婚活の厳しい現実があります。
大分の状況も年々変わってきています。
元々、婚活世代の多くの男性が県外への流出が大きい。
女性は比較的大分へ戻って就職している人も多い。
パーティやコンパ、街コンをすごくやっていた時代から、お見合いやマッチングアプリなどが主流になっている。どちらも一長一短があるが変化している。また、コロナ禍においては「婚活は不要不急なのか?」と言った問題もある。

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では、男性の問題点を挙げます。
自分から話題を振ったりデートプランを立てられない。
会話のセンスがない。
コミュ力あのある人は殆ど結婚している。
無作法な男性やNGワードの連発をしてしまう。
例えば初めて会った方に「きょうは何回目のお見合いですか?」とか。

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次に女性の問題点として。
プライドが高く、諦められない。
「いつか王子様が…」とどこかで思っている。
友達や親に「あんな人?」と言われたくない。
「自分が良ければいい」と考えない。
「普通の人でいいんです」といいつつ条件が多々ある。
「大分市内で、長男じゃなく、女性の姉妹がいない方がいい」
「年収も身長も自分より高い」このような多くの条件を「普通」と言っている。
決して普通ではない。
ピンて値段のこと。自分に見合う価値づけを自らしていることになるのはおかしいと教えています。

また、女性は「生理的に合わない」と口にする。
男性は「タイプじゃない」「好みじゃない」とはいうが、「生理的」といった罪な言葉は使わない。
「自分が言われたら嫌なことは言わない」といったことまで伝えている。

加えて、大分の親はお金も口も出す傾向があると感じます。
そのため執着が強いかもしれない。
「友達母娘」と「息子に甘い母親」といった指摘もあるほどです。
実はお母さんの影響なのか、選ぶ人のレベルが上がっている。
また、反対に父親の不干渉も考えられます。

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解決のために取り組んでいること
出会いの場のより良い設定や環境作り、やサポートの充実したプログラムづくりにも注力しています。
アイスブレイクなどを取り入れた和ませ方や緊張をほぐす場作り、座席の配置に工夫をして合いそうな人を近づけることも多いです。

より丁寧で緻密なカウンセリングでマッチングすべき人の選定やそれぞれの人に合ったアドバイスとその伝え方をしています
自己肯定感を高めたり自信をもたせたり、ファッションや言葉遣いなどより細かく指導することもあります。

例えば、本当に必要な条件かを吟味する。
一緒に考える。寄り添う。
時に厳しく。
プライオリティをつけて本当に必要な条件かどうか一緒に検討します。

また、常に新しいことやもの、世の中の機運にアンテナを張って工夫を重ねることを心掛けています。
必要とされるために自分ができることは何か。長所やアピールポイントは何かを探すより、良い伝え方を考えること、苦手や短所をどう伝えるかも大切になってきます。
これからも私自身、日々学びながら反省もしつつ精進いたします。

本日のお話が何かひとつでもお役に立てれば幸いです。
ありがとうございました。

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