伏見氏が語る、アイディエーションとの向き合い方とは?
ヴェルディカレッジ第3講では、東京ヴェルディのクリエイティブに携わる伏見氏が登壇し、『生み出すこと・アウトプットの重要性を体験する』というテーマで講義が行われました。
執筆
メディアプロモーショングループ:高井 ろみた(1期生)
講師紹介
伏見 大祐
2009年 株式会社アシックス 入社
2016年amadana株式会社 入社 ストラテジックデザイナー
2018年 株式会社amadana SPORTS ENTERTAINMENT 取締役 総合ディレクター
東京ヴェルディクリエイティブセンター
工業デザイナーとしてアシックス入社。商品企画開発、デザインを担当。その後、野球事業のブランディングを担当し、選手・球団のマーケティングに従事。amadana参画後、企業のデザインマネジメントを行う。東京ヴェルディ・バンバータシニアマネジャー。
時代の変化と働き方
出典:デザイン思考3つのレンズ(IDEO.org, HCD toolkitより)
https://www.ideo.org/?fbclid=IwAR3q3rLazrT1WmUuavsvcnTkvyAQ0uR4pcBjnTJoQ07X5_IJoSvbqLWcAJk
伏見氏はデザインを『作る』だけでなく、戦略を『考える』、ブランドとして『伝える』デザインのマネジメントをされています。その自らの経験も踏まえ、現在はビジネスでデザイン重要視されていると説きました。
以前は『何かを作ってから広告を打てば何とか売れる』、という時代がありました。つまりその時代の人々からは、『受け手にとって本当に良いものか』という感覚が抜けていたのです。
しかし情報にあふれた現代では、顧客が望んでいるものを企画するスキルが重要になるのです。
1つの組織の中で、デザイン・マーケティング・テクノロジーの3つが上手く回っている状態を作り出すことで顧客が望んでいるものを提供できる、と考えた伏見氏。スポーツビジネスの戦略立案からコミュニケーションまで一貫してデザインすることをクリエイティブセンターで実行しています。
アイデア開発ワークショップ
「クリエイティブファシリテーションを行う上で、今後アイデアを考えやすくなるように」
という狙いでアイデアについてレクチャーが行われます。まず当然ながら、会社や個人が生きていくためには利益をあげる必要があります。ではどうすれば利益が生まれるのか?それは新しさから生まれます。ユニフォームを新しくすることもそうですが、どんな場所でも常に新しさにはニーズがあるのです。
ではワークショップです。以下の3つを紙に自由に書きます。
・魚
・二等辺三角形
・寿司
このワークショップは何を意味するのでしょうか?それはアイデアを考えるとき、人の脳は一番多く見てきたものを出すということです。魚でいえば9割の人が左向きに、二等辺三角形も9割の人が上向きに、寿司なら7割の人がマグロを描く、といいます。
仕事としてアイデアを考える場合、他の人と違うことを考えることが求められます。他と同じことを考えてもあまり意味がありません。しかし、自分が多く見てきたものは他人も多く見ていることが多いので、普通に考えるだけでは違うアイデアは出ないのです。
この場合はこう、これならこう、といういわば一般化のバイアスを意識し、その逆を突くことができれば価値のあるアイデアを生み出しやすくなるのではないでしょうか。
グループワーク
出典:アイデアプラント
こちらのカードは、どんなマインドでブレインストーミングをすれば創造性の高いグループになるかをアシストするためのものです。
▽誰かのアイデアの良いところをほめる
▽できるかどうか分からないアイデアを出す
▽質にこだわらずたくさんアイデアを出す
▽誰かのアイデアをヒントにアイデアを出す
この4つを1人1人が行い疑似ブレインストーミングを成立させます。各グループ、時間内に成立させることができました。
そして理想的なマインド設定のポイントとして、判断遅延・突飛さ歓迎・質より量・他の人に便乗・良点発見があげられました。グループ内でのクリエイティビティにとって、このような態度は非常に重要になるのです。
以上のグループワークの基本をもとに、企画立案の疑似ワークも行われました。
アイデアのまとめ
アイデアとは基本的に組み合わせです。世の中の99%は何かと何かの組み合わせであるという話もありました。企画として考える場合も、既存の何かに既存の何かを合わせることで生まれるのですが、その選択によって突飛さ・量が保持できるということです。
そのほかにもアイデアを出す際の心得が4つ紹介されました。本記事では画像のみ説明とさせて頂きますが、昨年の伏見氏の講義レポートにて紹介しておりますので、そちらをご覧ください。
ブランドとは
後半はブランドについてのレクチャーです。まずブランドとは魅力的な独自のイメージ、会社と顧客の頭の間にある無形の資産と考えられています。よってブランディングは長期的にゆるぎない独自の精神的な関係を作ることと言えます。
ヴェルディのブランディングの根本として、伏見氏はサッカービジネスではなくブランドビジネスにしてタッチポイントを増やすことを挙げました。
課題について
最後に、第2期で初のグループ課題が提示されました。スポーツビジネスにおいて考えられる4つの収入源である、スポンサー収入・入場料・グッズ収入・放映権の中から選択し、ブランド価値を向上させるために何ができるかをグループで提示するというものです。
次週、2期生たちがプレゼンを行います。その様子は次回記事をご覧ください。