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モリスン 『I'M FINE』(大阪府大阪市北区)
100冊近い ZINE が並んだ時、ヴィヴィッドな表紙はやはり目立つ。中でも、力強くひかれたルージュのような赤がまぶしい作品が3冊あり、いずれも『大阪』と書かれている。
町の喧騒。そこに暮らす人たちの自由なまでの力強さ。明るさ。派手さ。『偏見だよ』と片付けられない謎のエネルギーが大阪にはある(ぼくの友人たちは他聞にもれずヒョウ柄の服を着ている)。正確には『派手』なのではなく『ヴィヴィッド』なのではないか、と思う。時に鮮やかで、時に眩しい。
私が好きなものだけを描く ー モリスン
大阪在住のイラストレーター・モリスンによる ZINE『I'M FINE』は、ヴィヴィッドな表紙とそのタイトルのイメージを裏切らない作品集。作者のあふれんばかりの『好き』が細部に詰まっている。けれど、よくある日常の『好き』をモチーフにしたイラストレーションとはまったく違う。背景は日本じゃない(もちろん大阪でもない)、地球でもない、どこかの惑星でもない世界。登場人物は男でも女でもない、日本人でもない、アジアンでも欧米人でもない宇宙人でもない誰か。けれど知らない世界ではないように思えるから不思議。リュック・ベッソンぽいかもと思ったり、フォックス・サーチライト・ピクチャーズの映画みたいだなって思ったり(と、レビューをまとめていたら『Ruby Sparks』のイラストが instagram にアップされててびっくり)
ポップでキュートなんだけれど、どこか繊細で、ぽっかり穴が空いてしまったかのような感じ。ポップでキュートで『FINE』な状態っていうのは『虚無感』と紙一重なんだなあというと深読みでしょうか。
ぼくが好きなシーンがある。胸を鈍器で殴られたような気分になる作品。エドワード・ホッパーの絵みたいな孤独感と、フィッシュマンズの『頼りない天使』の2人ぼっち感がたまらない。ぜひ現場で見て「これか」と感じて欲しいところ。
そういえば大阪の感じとかいっさいない。
ー written by 加藤 淳也(PARK GALLERY)
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エントリー 大阪
モリスン
私が好きなものだけを描くと決めてとりあえず一冊!で、作りました。
イラストを見て、これ、性別はどっち? って思ってもらえると嬉しいです。そして見た人が好きな性別同士で見てもらえるともっと嬉しいです。ー モリスン