佐藤鮎生 『ἀνάμνησις』 (群馬県高崎市)
断ち落とし目一杯、余白なしに写されたディテールの世界が64ページ続いていくのを見ていると、徐々にそれが何であるかわからなくなる眩暈のような陶酔感がやってくる。
『ἀνάμνησις』(アナムネーシス)は、平面のテクスチャーや染み、被写体の表面のディテールを収めたフォト・ジンだ。
原始世界で暗い洞窟のなか、壁の凹凸によって作られた影や染みに生き物の姿を見た人間は、その壁画にしなかった部分においても無数の、無限のイメージを見たはずだ。それは彼にとって洞窟の壁をそれ以前とは全く違うものに変えてしまった。一度そうなれば元の単なる壁に戻ることはできない。彼が絵にしない限りは他の誰とも共有できない、そこは孤独なイメージの世界だ。
そんな迫力、緊迫感が漂う ZINE 。
判型、この倍あってもいい。
写真家 佐藤 鮎生 と、写真・エディトリアルデザインなど幅広く活動している cusuri との共同作品。
ー Written by 大滝 航( crevasse )
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エントリー 群馬
佐藤 鮎生 / AYUO SATO
写真家
アナムネーシス(想起)をテーマに被写体の表層、表面のディテールを写真に収めました。ー 佐藤鮎生