マルチに勧誘されかけたらしい話
もとい、「社会人サークル」の「異業種交流会」に参加した話。
ひとに話を聞いてもらいながら振り返ると、マルチの勧誘のかおりがすごかったのでまとめてみることにしました。
0.おことわり
n年前の話なので、うろ覚えの箇所多数です。スマホも機種変したし、LINEの履歴もミスって消したし…。(n∈N)
1.飲み会に誘われる
その日の私は、何か用事があったわけではないのだが、早く仕事を切り上げて帰りたい気分だった。みんなそういうことあるよね。
そんな午後、ある人から飲み会のお誘いが届いた。
「今日の夜あいてる?飲み会一緒に行かない?」
しばらく疎遠にしていたわけでもないし、毎日やり取りしていたわけでもない、まさにたまに会う程度の距離感の相手だった。何つながりの人かは、ここでは明かさないことにする。
とにかく早く仕事を切り上げたかった私は、いい口実ができたと二つ返事でOKした。この時の私は、そいつと共通の知人との飲み会だろうと思い込んでいた。以降、そいつのことはOと呼称しよう。
待ち合わせの場所、待ち合わせの時間にて、Oと合流した。
「今日の飲み会、誰がいるの?」と尋ねたところ、Oはこう言った。
「社会人サークルの異業種交流会、ってやつなんだよね。」
知識があればこの段階で疑うべきだったかもしれない。しかし、この時の私は未だこのワードの隠された意味を知らなかったし、Oのことも怪しい奴だなんて一切思っていなかった。
「へえ。Oは何回か参加したことあるの?」と、私は重ねて尋ねた。
この時、Oは何と答えたのだったか。自分も初めてと言ったのか、そんなに行ったことない、と言ったのか。いずれにせよ、「Oも常連ではないんだな」と感じたのは覚えている。
いずれにせよその時の私は、共通の知人との飲み会ではないことを残念には思ったが、知らない人と知り合うのも大事だよなと思っていた。上京してそんなに経っていなかったしね。
2.飲み会の雰囲気
飲み屋ではなく、フリースペースを貸し切っての持ち寄り飲み会であることは、道中でOから聞いていた。
「何かおやつくらい買っていかなくていいの?」と訊いた覚えがある。
Oは、「主催がいて、そちらでいろいろ準備してあるから、参加費を払えばOK」と教えてくれた。
着いてすぐ、参加費を集める気さくなお兄さんがいて、紙コップを手渡してくれた。
大きな机を囲んでの立食パーティだった。参加者の年齢層は20歳~30代半ばくらいまで。人数は20人くらいだったろうか。男女比は、4:6くらいで女性の方が多かった印象だ。
参加費を集めるお兄さんと場を和ませているお姉さんと、後は30代半ばくらに見えたなんだか重鎮ぽい男女2名。それ以外は、私と同じようにこの場に不慣れなようでおどおどしているようだった。
乾杯は済んだが、大きな机の周りに輪になって互いを見合わせているような状況。場を和ますお姉さんが、ここで「じゃあ自己紹介タイムしましょうか!」と場の空気を動かした。
名前と、「誰の紹介で来たか」・「出身はどこか」・「趣味は何か」などを順番に話していった。各人の発言に対してお姉さんが「私もそこ出身だよ!」「あのお店おいしいよね~」などと相槌を打っていた。
そう、まるでサークルの新歓である。
初めてコミュニティに顔を出しておっかなびっくりな新人と、新人の緊張をほぐして会話を盛り上げる先輩の構図であった。
3.今思うと怪しかったこと
一通り自己紹介も済んで、初対面同士の会話も弾み始めたところで、私はOそっちのけでいろんな人と話をしていた。私のほかにもクラリネット吹きがいて、ほんとどこにでもいるんだなって思ったのは覚えている。
そんな中、ごく自然に男性の重鎮と話す流れになった。
集金のお兄さん曰く、
「Aさん(重鎮のこと)は本当にすごいんだよ。いろんな人がお世話になっている。仕事のことで困ったら相談するといいよ。本当にやりたかったこととか、本当に向いていることとか、整理できるし。」
うん。すごく熱く語っていたと思う。今思えば。
知識があればこの段階で疑うべきだったかもしれない(2回目)。この時の私は、Aさんは凄腕の人材コンサルか何かなんだろうなあとしか思わなかった。しかし同時に、あまりの持ち上げられように、「ちょっとこれは怪しいな」という気持ちがなかったわけでもなかった。
その後、またもごく自然にもう一人の女性の重鎮と話す流れにもなった。この人はBさんとしよう。
Bさんも、「Aさんはすごい」と語っていたが、それだけではなく他愛もない雑談もしたような記憶がある。本当に他愛もなくて、内容は覚えていないが。絵にかいたような"陽キャの自立した女性"で、人当たりもよかったのは覚えている。
その流れで、この本を勧められた。何と言って勧められたかははっきりとは覚えていない。
知識があればこの段階で疑うべきだったかもしれない(3回目)。この時の私は、自己啓発本とか一切読んだことなかったし、まあ勧められたやつくらい面白半分で読んでみるか…と思ったのだった。
そして、今となってはまったく流れは覚えていないのだが、ごく自然な流れでAさんとBさんとLINEを交換した。
4.飲み会の帰路
飲み会が終わって、Oと帰りながら私は、「ありがとう。すごく楽しかったよ。なんだか社会人って感じだったね~。」と礼を述べていた。
その言葉に嘘はなく、確かにその時の私は楽しかったなと思っていたのだった。
そして帰宅。BさんからLINEが来ていた。
「今日はありがとうね!さっき話した本のリンク送るね!よかったら読んでね!」
ああそうだったと思って、私はリッチウーマンをポチった。
「ありがとうございます!せっかくなので読んでみますね!」というようなことを返事した。すると今度はBさんから
「ありがとう!じゃあ、mm/ddまでに読んで感想を送ってくれたらうれしいな」
とか返ってきた。学生の課題か?という感じである。たしか、その日から4日後くらいの日程だったように思う。
この段階で疑うべきだったのだろう(4回目)。うるせえ、本ぐらい好きなペースで読ませろやというのと、ワイが自己啓発本を読もうと思っただけ偉いと思えとかいう高慢な感情があったのは覚えている。
5.その後のこと
とりあえず、届いたリッチウーマンは読んでみた。
学生時代は対等で平等な関係だった女友達3人組?4人組?が、それぞれ結婚し、家庭の事情や経済の事情によって、対等でも平等でもなくなっていく様子を通して、資産形成が大事だゾと言いたいのだな…というような内容だった。
要は、
・結婚したからって、稼ぎを旦那に100%依存したらだめ
・子供ができたからって、自分のやりたいことは棄てる必要はない
・そのために女も資産形成しような
…みたいな内容だった気がする。うん。正直あんまり面白くなくて途中までしか読んでいない。
結婚したら女は仕事を辞めるものだ・結婚して家庭に入ることこそが女の生き方だ、って時代なら響いたんだろうなあっていう感想しか覚えていない。
それと、飲み会後の最初の土曜日にOから連絡が来た。
「今日、AさんとBさんと遊ぶけど、来る?」
その日は、私自身、遠方に出かける用事があったので、残念ながらとお断りした。
そして、Bさんに言われたmm/ddの日になったが、リッチウーマンはとっくに読むのをやめていたので感想を送ることもなかった。Bさんからの催促もなかった。
6.今になって
Oとはその後も引き続き、「たまに会う」関係のままである。別段あの飲み会以降、急に距離が縮んだとか、逆にあの日に一緒に遊ばなかったことで距離を取られたとか、ということもない。
そしてAさんやBさんとは一切連絡を取っていない。まあ、用事もないので当然である。
リッチウーマンも、引っ越しの断捨離でBOOKOFF行きになった。
それが、今になってどうして「マルチに勧誘されかけた話」になったかというと、まあぶっちゃけ、この体験談を話した相手に「そうなんじゃないの?」と指摘されたからである。
このリンクを教えてもらい、「転職の紹介」のくだりとか「リッチウーマン」のくだりとか、まんまそれやんけwwwとなったのである。
とはいえ、先ほどの通り、あれ以来、AさんやBさんとは連絡を取っていないし、ほかの参加者とはLINEすら交換していないので連絡の取りようもない。なんならOから、2回目以降の「異業種交流会」へのお誘いもないまま、n年が経っている。
そして、ここまで読んでくれた方ならお気づきだと思うが、マルチのマの字も出てきていないのである。当然、同じく特定の社名だったり商品名だったりも出てきていない。
件の飲み会の場でも、「この製品すごくいいんだよね~」みたいな話も印象になければ、街のスーパーで見ない不思議な製品を目にした記憶もない。
なので、私の体験は本当にマルチへの勧誘だったのかはわからない。けれど、要素をつなぎ合わせると、かなりの確率で何らかの勧誘であったのだろうことはいえるのだろう。
7.さいごに
というわけで、結局私は、いったい何に勧誘されていたのか、その鱗片も見ないままフェードアウトできたという話でした。
それは一個人としてはラッキーなルートだろうけれど、コンテンツ力には欠けるのでしょう。
多分間違いなく、土曜の会合に行かなかったことで、コンテンツ力高まりルートから外れてしまったのでしょうね…。今、遡って会合に行ってみたいかといわれてもそれはNoですが。遠方に行く用事の方が大事だったし。
もし、似たような飲み会に誘われたとか、リッチウーマンや金持ち父さん貧乏父さんとかの書籍を勧められたとか、そういった際に参考になればと思います。
そして最後の最後に。Oが不幸になっていないことを祈ります。
未だに「たまに会う」関係で、あの飲み会の前後でも特に変わりなく見えるあなたが、ろくでもないものにハマって不幸になっていませんように。あるいは、ハマってしまったけれど、それはそれで自分のためになって楽しく生活していますように。
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