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自閉症の理解と視覚型思考

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 今回は2010年2月、カリフォルニア州ロングビーチで開催されたTED2010カンファレンスでの講演内容です。見たことがある人も多いかと思いますが、以下の動画です。

グランディンの登壇は自閉症スペクトラム障害への社会的関心の高まりや神経多様性(ニューロダイバーシティ)運動の台頭期であったこと、さらには同年に公開された伝記映画『テンプル・グランディン』による注目度の上昇などの社会的背景の中で実現したと言われています。
 グランディンのTEDトークは、彼女の個人的な経験と専門知識を組み合わせた説得力のあるプレゼンテーションで、多様な思考様式の価値を認識し、それを活かす社会の重要性を訴える強力なメッセージとなっており、その影響力は現代においても継続していると思いました。昨年、日本での講演会もあったことからぜひ一緒に学びが深められたらと考えてこのテーマを持ってきてみました。
 お話している内容を活用しながら私なりの考察も入れたりしながらまとめてみますが、こういったことの情報共有はダメだよ!って言われたらすぐに削除するのでよろしくお願いいたします(笑)自閉症について学ぶ場所はたくさんあるということが、シェアできればいいなぁと思います。今回は5597文字でした。


1.自閉症が何なのか?理解すること。

 まず、自閉症とは何かをお話ししましょう。自閉症とは、言語障害のある子供から優秀な科学者や技術者までを含む 一つの大きな連続体です。ここは居心地が良いですね。なぜなら自閉症の遺伝子ばかりですから。自覚はないでしょうが... (拍手)。自閉症はある特質の連続体なんです。オタクをアスペルガーから隔てる境界線はどこにあるのでしょう?アインシュタインやモーツァルト、ニコラ・テスラなど、今日であればみな自閉症と見なされたでしょう。私は自閉症の子供達を新エネルギーを発明するような人間に育てたいと考えています。今朝ちょうどビル・ゲイツが話しましたね。

2.視覚型思考と脳の多様性

 さて自閉症や動物を理解するために異なる思考法についてお話しします。

そのために言語から離れてください。私は絵で考えます。言葉では考えません。自閉症の脳は細部に注目します。

 これは大きい文字か小さい文字を識別しなさいというテストです。自閉症の脳は小さい文字をより早く認識します。通常の脳は、細部を無視します。橋を造るなら詳細は大事です。そうでないと、橋は壊れてしまう。今の世の中は概念的な方向に偏りすぎています。実践するという事から遠ざかっています。体験型の授業の減少がとても気がかりです。私は美術のような科目に 秀でていましたから。
 牛に関しての話です。私は、ほとんどの人が見落とす些細な点が牛を尻込みさせる事に気づきました。例えば、この病院の正面にあるたなびく旗です。

 この病院は全て取り壊されるところでした。しかし、旗を移動するだけで済んだんです。せわしい動きが問題の原因でした。この仕事を始めた頃、牛の通路にもぐり、牛の視点に立ってみました。おかしいと思われましたが、フェンスにかかったコートや影、床のホースが牛を尻込みさせるんです。

 誰も気にしていませんでした。垂れ下がった鎖とか私の映画でよく描かれています。この映画は私の仕事をうまく再現していて好きです。

ガリ勉の面です。 私の描いた絵も主役をはっています。“Temple Grandin”という映画です。私の著書の「絵で考える」ではないです。絵で考えるという事は脳内で 映画を観るようなものです。私の脳はGoogle画像検索に近い。子供の頃、自分の思考法は変わっていると知らず、みな絵で考えていると思っていました。“Thinking in Pictures”という本を書くために人々に思考方法を尋ねました。そこで 自分の考え方が 人と違うことを知り、ショックを受けました。

「教会の尖塔について考えよう」と言えば 大半の人は一般的なものを想像します。この会場では違うかも知れませんが、他の多くの場所では真実です。私の場合はGoogle画像検索のように具体的な画像が次々と浮かんでくるんです。映画の中でも上手に描かれていて「靴」という言葉が発せられると50年代60年代の靴がたくさん私の脳内に浮かぶんです。これは私が子供の頃の教会です。

 これくらい具体的です。フォートコリンズや有名な教会なんかですね。こんな感じで次々と浮かび上がるんです。

 画像検索のごとく即座に現れます。一枚ずつです。そこに雪を降らせてみたり、雷を加えてみたり、イメージを保持して動画に出来るんです。この視覚型思考は、家畜施設をデザインする上で大変な利点となりました。牛が食肉処理場で少しでも苦しまないように努めました。ここで生々しい画像は出しませんが、ご興味があればYouTubeに上げてあります。

 私がデザインする過程で出来た点は、その設備を自分の脳内で試運転出来たという事です。コンピュータ内の仮想現実のようにです。

 これは映画で使用された私のプロジェクトの再現物の空中写真です。とても良くできてるんです。映画の大道具さんには、多くの アスペルガータイプや自閉症タイプがいましたから(笑)私が気がかりなのは このタイプの 若い子達が どこに行くのかという事です 彼らが行くべき シリコンバレーには到達してないんです (笑) (拍手)私は社会的ではなかったので自分自身でなく、自分の作品を売る必要があると早い時点で学びました。自分が描いた図面を見せて家畜施設の仕事を得ました。

 子供の頃役立った事がもう一つ、50年代ではマナーを教わってたんです。お店の棚にある商品を引きずり下ろして放り投げてはいけないと教えられました。

 さて、この子達が3年生4年生になった頃、将来は視覚で考えるようになると思うかも知れません。遠近法で絵を描いたりして。でも、全ての自閉症の子供達が、視覚型思考を持つわけではありません。これは数年前に撮った私の脳のスキャンです。

 私の視覚野には極太のインターネットの幹線が通っていると冗談を言ったものです。これはテンソル画像ですが、私のこのインターネット幹線は、比較対照の2倍あります。赤い線が私ので、青い線が同じ年齢、性別の被験者のものです。ご覧の通り私のは、非常に大きく比較対照の青い線はとても細いです。この連続体に属する人たちは実際に、一次視覚野を使って考えているという最近の研究もあります。視覚型思考も脳のあり方の一つだということです。自閉症の脳は、特定の行動に熱中しがちです。ある事に秀でていて ある事に劣る。私は代数が苦手でした。幾何学などのクラスは許可されませんでした。大きな間違いです。代数が苦手であっても幾何学や三角法は学べるのです。
 もう一つは、パターン型思考です。より抽象的でエンジニアやプログラマに向いています。これが例です。

 このカマキリは、一枚の紙から出来ています。テープもハサミも使いません 背景にあるのが折り方です。思考のタイプです。私のような写実的視覚型思考者に、パターン型思考者、音楽や数学の脳です。読書が苦手だったりします。失語症の子供達にもこのタイプがいます。このような違うタイプの脳があり、言語的な脳があります。物知りタイプです。
 次に知覚の問題です。私はこのヘッドセットを身につける事に抵抗がありました。なので30分前にここに来て、これに慣れるようにしました。顎に当たらないよう調整してもらいました。知覚は問題になります。蛍光灯や音に敏感な子供もいます。この辺は多種多様です。私の視覚型思考は、動物の気持ちを知る上で大きな力となりました。

3.動物から学ぶ思考法

 

 動物は知覚で考える生き物です。言語ではありません。絵で考え、音で考え、においで考えます。ただの消火栓にどれだけの情報があるか考えてみてください。犬であれば誰が居たのか、いつ居たのか、敵か味方か、付き合える相手は居るのか、その消火栓には膨大な情報があるんです。とても具体的な情報です。

 これらの詳細を調べることが 動物を知る洞察力となりました 動物や私の脳は 知覚で得た情報をカテゴリーに分別します。馬に乗っている人、地面に立っている人、これらは全く別のものとして認識されます。乗り手に虐待された馬がいたとします。この馬は獣医や蹄鉄工を恐れる事はしませんが、乗馬はさせないでしょう。蹄鉄工に虐待された馬がいたとします。その馬は地面に落ちているものや獣医を恐れるようになりますが乗る事はできます。牛たちも同様です。

 馬に乗っている人と立っている人。これらは別物なのです。異なる「絵」なんです。どれほど具体的か考えてみてください。この「情報を分別する」事を苦手とする人が多いんです。私が施設の設備などの問題解決しているとき彼らは把握できないんです。人の訓練の問題なのか、その設備に問題があるのか、設備の問題と人間の問題を分別する必要があるのです。多くの人はこれが苦手なんです。これが設備の問題であったとしましょう。自分で修理可能なレベルのものか?そもそもの設計が悪いのか?これが解けない人が多いんです。
 別の問題を考えてみましょう。飛行機をより安全にしたいとします。私はミリオンマイルフライヤーです。飛行機にはしょっちゅう乗っています。もし私が連邦航空局にいたらどこに注視するでしょうか?飛行機の尾部です。この20年間で5件の大事故が尾部が外れたり、尾部にある操舵部の故障で 起こっています。問題は尾部なんです。疑いありません。パイロットが飛行機の中を見て回っても尾部の中までは見えないんです。私がこういう事を考えるとき全ての詳細な情報をたぐるんです。具体的で基礎的な部分から検証します。細かなピースをかき集めてパズルのように組み立てます。この馬は黒い帽子を極端に恐れます。黒い帽子をかぶった人に虐待されたんですね 白い帽子なら大丈夫なんです。~続く

4.今回はここまでの感想

 今回はテンプル・グランディンのTEDトークを視聴して、新たな気づきを頂いたと思います。彼女の誠実で力強い語り口は、自閉症という特性を持つ人々の世界を、驚くほど鮮明に伝えてくれました。
 今では随分とそういった認識も広まってきており、自閉症を学ぶときのキーワードにもなっていますが、自閉症を「障害」としてではなく、「異なる思考様式」として捉え直しています。特に印象的なのは、アインシュタインやモーツァルトといった歴史的な天才たちと結びつけることで、自閉症の可能性を示唆している点です。果たしてどうなのでしょうね(笑)また、視覚型思考の具体的な説明が非常に興味深いです。特にGoogle画像検索に例えた説明は、一般的な思考パターンを持つ人々にも理解しやすい比喩となっていたように思います。皆様にとってはどうだったでしょうか??そして、動物との関係性について述べた部分は、特に示唆に富んでいるように感じました。それは自閉症の特性が、実は深い洞察力や問題解決能力につながる可能性を示しています。例えば、細部への強い注意力が、動物の行動理解に活かされることやパターン認識能力が、複雑な問題の分析に役立つこと、視覚的思考が、実践的なデザインや問題解決に活用できることなどです。
 この講演は、自閉症を「異なる能力」として捉え直すことで、皆さんに新しい視点を提供しています。印象的なのは、問題点を指摘するのではなく、その特性がどのように社会に貢献できるかという建設的な方向性を示している点です。また、具体例を多用することで、抽象的な概念を分かりやすく説明することにも成功しています。例えば、牛の行動理解や飛行機の安全性の分析など、実際の応用例を示すことで、自閉症の特性がどのように活かせるのかを明確に示しているように感じました。
 この講演は、自閉症についての理解を深めるだけでなく、「違い」を受け入れ、活かすことの重要性を示唆する力強いメッセージとなっています。次回の続きはどんな内容でしょうか。引き続き、お待ちください! 
 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。皆様の「スキ」や「フォロー」、SNSでの「シェア」が励みになります。よろしければ、関係者の方にもご紹介いただければ嬉しいです。よろしくお願いいたします。

collaborate lab
高橋 大地

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