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公平を目指せば、理解も受容もいらなくなるかもしれない

*この記事は連続インタビューの第4回です。

みんなちがってみんないい、んだっけ?
第1回 「障害があるから」で生まれる歪な関係
第2回 障害受容とコミュニケーション
第3回 技術の進歩と「障害」の変化
第4回 公平を目指せば、理解も受容もいらなくなるかもしれない

第1回、第2回は関係性とコミュニケーションについて、第3回は「障害が障害じゃなくなる」という未来について考えてみました。

連続インタビューラストとなる今回は、「生きづらい」と感じている人はどうやって「生きづらさ」を解消していくのかをテーマに考えてみます。

話し手はご自身も障害当事者でありながら発信している、一般社団法人Plus-handicap (プラスハンディキャップ)代表の佐々木さん、聞き手はNPO法人Collable代表の山田です。

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肯定と公平性、親切な態度はどちらなのか

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山田
それが最初の方で言っていたところの、本当の公平性を実現させている形で障害者の社会参画を目指しているのであれば、「障害を受容も理解もしなくていい」未来が待っているってことですよね。

佐々木
そうそう。この世界だと乙武さんに嫉妬するみたいな障害者っていっぱいいるんですよ。でもあの人はそれだけの努力をしてきたから、あの位置にいるわけです。だから、そこに対してひがんだりする人間の感情はあるにせよ、あそこのステージにいるっていうのは評価せざるを得ないことです。

それを「同じ障害者としてずるい」っていうのは、それはあなたの努力が足りないだけで。そういうある種の公平性、やった人はちゃんと報われるみたいな、そういうものを障害者の世界に入れられればいいと思っています。

真っ向から言うけど、障害がない社会って言ってる人はこれを真っ向から言わずにやろうとしているから俺は好きじゃない。気持ちいい言葉だけ言って、事実は伝えてない。だから障害者がどんどん社会のコミュニティに入ってきたときに難しさが明るみになっているんですよ。

実際対応できていない。気持ちのいいビジョンを掲げて、今苦しんでいる事実をすごく肯定してあげて、こうやったらいいよ、でも全部はできないからうちのサービス受けてねってするのが今の障害者福祉。だったら「今あなたこういう苦しい状況なわけですよ、で、これから先こういうサービスを受けなきゃいけないです」ってときに、「どうします?全部やりますか?ここだけ突破できるようにしますか?」みたいな提案をする方が親切だなって思う。

これは価値観の違いがあるけど、自助、共助、互助、公助(自ら助ける、共に助けてもらう、互いに助け合う、オフィシャルから助けてもらう)みたいな考え方があって。プラスハンディキャップって多分、自助の能力を伸ばすことに特化しようとしてるんですよね。

社会を主語にする人たちって多分公助とか、互助とかをやろうとしていて。どちらのアプローチは絶対必要で。だけど、自助で解決できるものが増えれば、他者に対する負担とか負荷が減るし、社会から割かれる予算とかリソースも絶対減るわけだから、そっちの方が本質的にはいいはずだと。ただ限界はある。でも、その限界までやっていない人たちが多くて、その限界までいっていない部分のところを、他から負担しているのであれば、それはちょっとよくない気がする。だから自助能力を5%増す団体です、みたいにプラハンがなればいいなと考えている。別にそれは障害者が主語じゃなくてもよくて、全部一緒かなって思っている。

自分にとって必要なモノコトを考える

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山田
自助能力の話って、この間全盲の女の子と話をして気づいたんですけど、その子は浪人して大学入ったから、先に大学生になった全盲の友達に、「なんでも自分でできるって思わない方がいい」ってアドバイスされたらしくて。

その意味が最初はわからなくて、なんでも自分でやってきたらしいんだけど、確かに大学入ったら、今までみたいにサポートがあるわけでもない現状に気づいて。大学までの道のりを覚えるのも1人だと大変だったりするし、それを学習する時間がない、教室の場所がわからない。誰かに頼らないと結構大変だということに早期に気づけたのは結構大きかったって言ってて。

それを含めて多分、自分ここまでできるけど、ここからは結構1人じゃ厳しいみたいなことを理解して、初めて自助が成立するのかなって思った。

佐々木
結局、究極って自己分析なんだよね。だから自分たちが取り組もうとして言う障害者向けe-ラーニングも基本的に自己分析がどれだけできるのかっていうところに俺は特化したいのね。

で、それは正味SWOTくらいでいいと思っていて、自分の武器はなにで、課題はなにで、どういう役割が欲しくて。で、T(脅威)の部分が多分障害なんだよね。要は普通の脅威ではなく、障害によって生まれる脅威。

それが、障害者の場合は整理できれば、なんの問題もなくなる。T(脅威)は合理的配慮で解決するよって。W(弱み)は自己努力(によって解決できる)やん。で、自己努力っていうのは諦めるっていう手法もあるから、それはそのまま持っておいて、S(強み)を伸ばせばいいだけだから。そう考えると別になんか問題あるかなって。

山田
swotの自己分析面白いですね。

佐々木
古い話だけど、私は私を経営するみたいな考え方って、絶対生きづらい人には大事で、自分にとってどういうヒト・モノ・カネ・コト(インフォ・情報)が必要なのかってことをどれだけ理解しているかだと思うんです。

で、生きづらい人だとどうしても福祉の支援を受けたりだとか、こういうサポートがないと難しいとか、何が自分にとって必要なのかっていうことを常に理解する必要もあると思うんです。お金が解決してくれるところがあるならば、いくら必要なのかってことがわかれば違ってくる。

幸せの基準っていうのもそれぞれあると思うけど。それを考えればいいだけ。自分を自分で経営するって考えて、じゃそのためにswotを考えると、どういう人たちを自分が引きつけてくればいいのか、引き寄せられればいいのかを考えればいいわけですから。変な話、生きづらさの解消って、昔からビジネス書に載っているような理論で成立しちゃうかもしれないって話なんですよね。

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自分が何ができて、どんな支援を必要とするのかを理解することは大事です。それが「やって欲しい」という一方通行ではなく、互いの歩み寄りに繋がるでしょう。

さて、連続インタビュー「みんなちがってみんないい、んだっけ?」はこれで終わりですが、NPO法人Collableでは他にも様々な記事を投稿しています。

・多様なゲストとテーマについて語りあうイベントmixのイベントレポート
・mixゲストのイベント後インタビュー
・NPO法人Collable代表山田の「インクルーシブ」についての発信

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佐々木さん

佐々木一成(ささきかずなり)
1985年福岡県生まれ。生きづらさをテーマにしたwebマガジンPlus-handicap編集長。生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。障害があっても楽しく人生を送るひと・そうでないひとの違いや境目を研究中。

(聞き手:山田、文・写真・編集:栗野)

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インクルーシブデザインの普及や、実践研究活動、その方法を活用した様々なプロジェクトを、おとなからこどもまで展開中。

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