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大学の研究室とは④ 研究テーマの決め方〜生物系大学の経験から〜

大学の研究室にはそれぞれに研究テーマがあります。
例えば私の所属していた研究室のテーマは微生物でした。同じ学科の中にも植物や動物、生化学、有機化学など研究室によって多様な研究テーマがありました。

今回は大学の研究室における研究テーマについて深掘りしていきます。

▼ 前回の記事はこちら

研究テーマとは

まず研究とはまだわかっていないことを明らかにすることです。そして生物系の研究室における研究テーマとは、ざっくりいうと、どのような生物を用いてどのような研究を行うかです。

テーマによって必要な実験器具や知識が異なるので、同じ研究室には似たような内容を研究する人々が集まっています。
みんながバラバラなテーマだと、いろんな器具を揃えなくちゃいけないし適切なアドバイスもしにくいので効率が悪いですよね。

※補足

特に生物系の研究室の場合、生物を飼育するための設備や費用がかかります。私のいた研究室には微生物を培養するための設備や保管するための冷凍庫(–80℃!)がありましたが、植物やマウスを飼育するための設備はありませんでした。
こんな感じで、生物系では研究対象とする生物種によって研究室が分かれていることが多いです。

ある生物での実験結果が別の生物でも成り立つかを確認したい時には、近くの別の研究室に頼んでその生物を貸してもらったり、代わりに実験をしてもらったりします。

例えば高校生の皆さんの馴染みのあるところでは部活動が近いかもしれません。例えば運動部であれば、そのスポーツが好きな人や得意な人が集まることでより楽しかったり良い結果を残すことができますね。必要な道具を個人で揃えるよりも集まってシェアしたほうが安く揃えることができますね。また同じ部活のメンバーによって得意分野があったり、ポジションが違ったりすることで、より効率よく結果を残すことができるでしょう。

研究室も同様で、同じようなテーマでも人によってやっていることや得意分野は微妙に異なります。つまり、同じ研究室の中にいろんなテーマがあるのです。

前回までに、研究室とはどんなところでどんなふうに選ぶかを説明しました。ここでは実際に研究室に入ってから自分がどんなテーマに取り組むのか。その決め方についてご紹介します。

研究テーマの決め方

▶︎ 学部生の研究テーマの決め方

学部生(4年制大学であれば大学1〜4年生のこと)は、初めて研究に取り組むわけですので、比較的簡単なテーマに取り組むことが多いようです。
私のいた学科の場合、研究室選びの際に「卒業研究のテーマ案」があらかじめ先生のほうから複数挙げられており、関心のあるテーマを掲げている研究室を選ぶことができました。
実験技術や知識もない中、研究したいことがいきなり思い浮かぶわけでもないので(知識のないまま思いついたことは大抵すでに誰かが調べているのです)テーマは教員や先輩と話し合って決めることが多いです。

私の場合、教員から提示されたテーマ案をもとに、細かい方法は教員や先輩に手取り足取り教わりながら、だんだんと自分なりのやり方を見つけていく、という感じで研究を進めました。
テーマに取り組んでいるうちに新たな発見や疑問が浮かぶことがあります。その際には教員と情報共有しながら少しずつ方向性を変えながら研究を進めていくのです。私が取り組んでいたテーマも、途中から当初とは思わぬ方向に進んでいきました。

※補足
理系の大学生の場合、大学院に進む人が文系に比べると多いものの、学部のみを卒業後に就職する人ももちろんいます。
研究テーマによっては何年もかかるものもありますので、テーマを決める時点で大学院に行くかどうかはある程度決めて、教員と相談すると良いです。

私は修士課程に進むつもりでいたので少し難しいテーマを選びましたが、学部のみで就職することに決めていた知人は、就職活動で忙しくなることも考慮して、比較的短時間で結果の出やすいテーマを選んでいたようです。

▶︎ 大学院生のテーマの決め方

大学院生は学部生時代に研究を経験していますから、先生から与えられるだけでなくもう少し高度なことをやっていきます。何を研究するかや、研究の計画・方法も自分で考えることを要求されます。
もちろん教員や先輩の助けを借りながらではありますが、自分はどのような研究をしたいのかという希望や実現可能性を加味して研究テーマを決めます。

研究とは未知のことを明らかにする営みですので、自分の関心のある領域で「何がわかっていて何が未解明なのか」を論文や書籍を読みあさって把握し、テーマになり得ることを自分で見つけていくのです。こうして研究者への階段を少しずつ昇っていくことになります。


学部生の研究テーマは、献立の決まった料理をレシピ通りに作るイメージ。必要な具材や器具はもうそろっています。

一方、大学院生の研究テーマは、献立を立てるところから始まり、必要な具材や器具、調理方法を自分なりに考えて出来上がりまでの計画も立てながら取り組んでいく、というイメージです。

高校生の皆さんへ

これまで4回にわたり、大学の研究室についてご紹介してきました。少しイメージがつかめたら嬉しく思います。

研究室生活は大変なことももちろんありましたが、実際に自分の手で生物を取り扱って新たな発見を積み重ねていくことは非常にワクワクする体験でした。
私は結局、研究の道には進まずにいわゆる文系就職をしましたが、研究室での経験は決して無駄ではなく、論理的に考える力や計画を立てる力などが養われたと思っています。

高校生の皆さんにも大学に入ったら思う存分に研究室生活を楽しんでいただきたいと思います。

質問や感想などは気軽にコメントをいただけると嬉しいです。

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