大学の研究室とは③ 研究室の選び方〜生物系大学の経験から〜
ここまでの記事で研究室とはどんなところで、どんな生活を送るのか少しイメージできたかと思います。今回は研究室をどうやって選ぶのかについてご紹介します。
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研究室は大学に入ってからじっくり選ぶ
以前述べたように、研究室に入るのは多くの場合、大学に入って講義や実習・実験のトレーニングを受け基礎知識や技術を身につけてからです。
研究室配属の時期は大学や学部・学科により大きく異なります。私は大学4年生になってようやく研究室に入りました。これは比較的遅いほうのようです。
ひとつの学科には複数の研究室があり、その中から自分の配属先を1か所を選びます。
研究室の数は学科によりさまざまです。数か所しかない学科もあれば、何十か所もある学科もあります。
私の卒業した学科では30ほどの研究室がありました。
私はどうやって研究室を選んだか
私の学科では基本的には学生が自分の行きたい研究室を選ぶことができました。
ただし研究室ごとに定員が決まっていて、定員よりも希望者が多い場合はクジ引きで決めていました。優れた研究をしている研究室や先生の人柄などによって、研究室の人気には大きな違いがありました。
なお、研究室の決め方は成績や教授との面談が加味されるところもあるようです。決め方は大学や学部・学科によって大きく異なりますので、先輩への情報収集が欠かせません。
そして、数ある研究室の中から行きたいところ選ぶにも情報収集が大切です。
私は以下のような方法で自分の行きたい研究室の候補選びをしました。
研究室選びのための情報収集の方法
⚫︎研究室のwebサイトやパンフレットを見て研究内容や業績(発表論文の数・内容など)や卒業生の進路などをチェックする。
⚫︎その研究室の教員による講義に出席して教員の人柄や研究内容を知る。講義後に質問に行って仲良くなればより詳しい情報をゲットできる。
⚫︎その研究室に所属している先輩に話を聞く(これが研究室のリアルを聞けるのでとても有益)。研究室によって忙しさが大きく違うので要注意。
⚫︎研究室見学に行く。
いざ、研究室見学へ
私は研究室配属が決まる半年ほど前から10か所くらいの研究室の見学に行きました。研究室見学をさせていただきたいのですが……と教員にメールすれば大抵の場合、歓迎してもらえました。メールで日程を調整して、1時間ほどの時間で研究室を見せてもらうようお願いしました。
当日は、研究内容を教授が紹介してくれたり、実験機器・器具などの研究設備、扱っている生物の飼育設備、先輩の様子、全体の雰囲気を知れたりします。
また、研究室の清潔さや居心地(生物系や化学系の研究室だと場所によって匂いや温度が全然違います……)なども実際に足を運ぶことによって知ることができます。毎日のほとんどの時間を過ごすことになるわけですから、行く可能性のある研究室には事前に実際に行ってみることが非常に重要だと思います。
教員や先輩と仲良くなり飲み会に誘われ、研究の実際や生物談義に盛り上がったこともありました。深い話が聞けたしその後も研究や進路の相談に乗ってもらえる人脈ができたので参加してよかったです。
私は学費の補填のためにアルバイトもしたいと考えていたので、どのくらいの忙しさなのか、先輩はどんなアルバイトをしているかもチェックしていました。
研究室見学は怖くない!
研究室見学に限らず、就職活動でも会社見学やOB訪問などは意外と歓迎されます。というのも、迎える側はなるべくやる気があって優秀な人に来て欲しいと願っているのです。
ですので「待ち」の姿勢ではなく、積極的に「見学に行きたいです!」という熱心な学生さんがいるのは嬉しいもの。
もちろん忙しい時期(特に秋〜年明けにかけては学位論文の審査や入試などでお忙しい場合が多い)などは断られる場合もありますが、門前払いを食らうことはほぼないです。
高校生でも、研究室見学や先輩の話を聞くことは可能です。オープンキャンパス(今はコロナの影響で難しいかも知れませんが)などのイベントに参加する以外にも、直接メールなどで連絡を取って話を聞くことは可能です。
もし関心のある研究分野や先生がいればwebサイトなどにメールアドレスが載っていますので、連絡をとってみるといいと思います。
研究室選びで一生が決まるわけではない
私がいた学科では行きたい研究室に大抵は行けるのですが、私は人気のある研究室を志望し運が悪く第1希望のところには行けませんでした。その時はとても残念な気持ちになりましたが、行った先では非常に充実した研究室生活を送ることができました。
また大学院修士課程に進むタイミングや博士課程に進むタイミング、あるいはその後ポスドクとして働くタイミングなどで研究室を変更することは可能です。
大学院以上における研究室選びは教授へのアピールや努力(成績や研究成果)が重要になります。
正直なところ、学部生の研究は自由研究に毛が生えた程度のものがほとんどで、どこの研究室でもそんなに違いはありません。
理系で研究関係の仕事につきたいのであれば大学院に進む必要がある場合がほとんどですから、研究者に本気でなりたいのであれば後から研究室を変えることは可能なんです。
また、大学院は卒業した大学だけでなく別の大学を受験することが可能です(大学院入試は院試と呼ばれます)。
学部生のうちに希望するテーマや先生の研究室に入れればラッキーですが、本当に大切なのは大学院での研究室選びと、そのための目を養うこと、院試にしっかり合格するだけの学力を身につけることだと私は考えています。
次回は研究テーマの決め方についてご紹介します。