心を守る我が家のノータッチタイム
週末のお昼頃、夫からメールが来た。「オムライスつくってみたで」。
どどん。
ケチャップでハートマークをつくってある。少々焼き目をつけすぎた感はあるものの、堂々たるオムライスぶり。なにより、わたしにはどう頑張っても無理な「ケチャップライスを卵で包む」ができている!
ビバ、オムライス。 ありがとう、わたしのアモーレ。いや、夫のことをアモーレだと思ったことはあまりない。
我が家では、家事は基本的に分担制である。料理はおもにわたしが担当しているけれど、そのほかの多くの家事は夫も担っている。
たとえば、毎夜、食器洗い機からお皿やコップを取りだし、棚へと戻すのは夫の仕事だ。水滴が残った食器があれば、それもクロスで拭く。
ついでに双子の娘たちが幼稚園に持っていく水筒も、夫が洗う。内部パーツを1週間に一度、オキシ漬けするのも夫。夜のわたしは本を読んだり、noteの記事を下書きしたり、好きに過ごしている。
それは、お互いが「ノータッチタイム」を持つ決まりによる。
育児や家事から離れて、夫婦それぞれが自分の好きなことに没頭できる時間をつくるのが我が家のルールだ。
だから、先日はわたしが旧友たちと会っておしゃべりに興じていたあいだ、夫はフライパンを傾けてむりやり卵を寄せてオムライスをつくった。やればできる、なせばなる。
子育てが始まった6年半前、わたしたち夫婦は双子の世話に追われていた。とくにわたしはてんてこまい。妊娠・出産をきっかけに専業主婦生活に入ったのだからと、家事は一人でこなしていた。二人ぶんの夜間授乳も哺乳瓶洗いも、誰にも交代してもらわなかった。
そんななかでいつのまにか、心が健やかさを失っていくのに気づいた。ネガティブなことばかり考えるし、イライラしやすくもなった。とにかく気持ちに余裕が、ない。
「これはあかん、絶対あかん」。
そう思ったわたしは、夫に「家事を少し分担してほしい」と伝えた。結果、わたしたちはお互いが家事から離れて過ごす時間「ノータッチタイム」をわずかでもつくることに決めた。
お茶を飲みにいくだけでもいい。ただ、そのあいだは育児、家事を忘れよう。そして、互いに「やってもらっている」という意識を持たないようにしよう。申し訳なさからも解放されよう。自己嫌悪は心をむしばむ。
いつからか、夫は土日には娘たちのお昼ごはんをつくるようになった。レパートリーも少しずつ増えているそうだ。
わたしも、夫が不在のときでもちょこちょことした作業ができるようになった。マイドライバーセットを持っているから、日曜大工のまねごともできる。
それぞれが自分の時間を持ち、好きなことに没頭できるようにする。そのためにわたしたちは家事を分担する。
一人で背負いこむべきではないと思い知ったから。
ときにはみずから「分担してほしい」と発信する。負荷を軽くすれば、心も軽くなる。こうやって自分の心を守るすべを増やしていくことも、楽しく生きるために大切だろうなあ、と思っている。