ものぐさ人間、ハロウィンを知る
街中へ出ると、ハロウィンが近づいていることを知らされる。ケーキ屋さんにはかぼちゃのおばけをあしらったスイーツが鎮座している。「〇〇のハロウィン」とか、イベント告知のポスターも見かけた。
このあいだ、ルクア大阪を通りがかったところ、お菓子が詰まったかぼちゃおばけ型の容器に出合った。
「これは娘たちが喜びそう……!」
思わず買い求めていた。帰りの電車内でまあまあ荷物になったけれど、それもまた愛おしいかさばりようだ。
わたしが子どもの頃は、今ほどハロウィンイベントが盛んに開催されてはいなかったように思う。仮装するとか、子どもが「Trick or Treat!」と言うとか、関連する知識もまったくなかった。
だから、ジャック・オ・ランタンはわたしにとっていまだに「かぼちゃのおばけ」だし、わたし自身は仮装もしない。
けれど、娘たちにとってハロウィンは一大イベントだ。幼稚園ではちょっとした仮装をして登園してもよかった。毎年、どの衣装にするか悩みに悩む彼女たちはかわいかった(ちなみに去年は『美女と野獣』のベルに扮した)。
今、彼女たちが通う小学校にはハロウィンイベントがない。つまり、今年は仮装していく先がないのだ。
なんらかのイベントに参加すればいいのだろうけれど、スケジュールが合わない。
仮装のタイミングを見失ってがっかりしている娘たちに、お菓子の詰め合わせをプレゼントしよう。喜んでくれるといいなあ。電車の中でそんなことを考えながら帰ってきた。
子どもを産まなければ、おそらくわたしはハロウィンに馴染むことはなかった。イベント好きなほうではない。
子育てを経験しなくとも時季に合わせたイベントを楽しみ、季節感を味わう豊かな暮らしを送る人だってたくさんいることだろう。でも、わたしはそのタイプではなかった。とにかくものぐさで無粋で、気づけば時季ごとのイベントが過ぎ去ってしまう年も多かった。
娘たちがハロウィンとわたしを引き合わせてくれたわけだ。ものぐさ人間が子育てをすると楽しみがちょっと増えることもあるらしい。