褒めほめ作戦
授業でしている工夫を知り合いの方に紹介したら、授業に取り入れてくださって、とてもいい!と言われたので、ちょっと紹介します。
オンライン授業のブレイクアウトを使った活動で、ブレイクアウトの仕組みとして全てのルームを俯瞰できないため、学生の活動をモニターできないことに不満や不安を感じている方は多いんじゃないでしょうか。
そしてこれ、学習者側も不満に思っている可能性も高いですよね。グループになった人が全然話さないとかあるでしょう。そのことを教師に伝えてくれる学習者もいますがそんなに多くない。告げ口してるみたいに思っちゃうから、不満に思っても言わないんじゃないかと想像しますが・・・。
先日読んだ『オンライン研修ハンドブック」にも書かれていましたが、参加者が主体的に活動するためには、教師や講師が逐一監督することは逆効果ではあります。しかし、野放しでいいわけでもない。
そのため、以前からここでも書いているように、私はブレイクアウトのグループ活動ではブレイクアウトルームに入らず、スプレッドシートやスライドの書き込みで様子をみて、その中で指示を与えたりしていますが、もう1つやっていることが、冒頭に書いた工夫です。
授業後のリフレクションを書いてもらっている人は多いと思うのですが、その中に毎回、「グループ活動で貢献した人」を書いてもらうというのを必須事項にしているんです。そして、単に名前を書くだけではなく、どういう理由で貢献したと思ったかまで書いてもらっています。もちろん、全員!というのもありと明記。そうすると、意外な人の名前がよく上がったり、こういうことを評価するんだと思ったり、単に外側から話し合いを見るだけでは分からないことがわかります。
昨年の研修でよく、「オンライン授業は、これまでの授業を見直すきっかけ」というような話をしていましたが、グループ活動のモニターもそうだと思うんです。これまで対面できちんと監督できたと思っていたけど、本当にそうなのか?
この授業は対面の時は80人くらいのクラスでディスカッションをしていたので、最初からそれぞれのグループ活動をモニターするというのは、私は最初から諦めていました(笑)。教室も広いし、どう考えても見切れません。そのために、対面の教室でもスプレッドシートを使って、グループ活動の結果を可視化していたので、実はブレイクアウトルームになっても、「モニターできない」というストレスはほとんどありませんでした。むしろ、グループメンバーを激しくシャッフルできるという意味で、ブレイクアウトの効果は高いなと思っているくらいです。
それでもやはり、グループ活動で「先生が見ていない」ことに対する学習者の不満は高いと思います。実際の教室では、全てをシャットアウトしてディスカッションに全く参加しないっていうのはできません。けれども、オンラインだとカメラオフマイクオフにしてしまえば完全シャットアウト可能。そういうことに対処しないといけない学習者のために、何かグループ活動のプロセスを教師が知るようなことができないかなと思い、貢献者を教えてもらうことを考えました。
作戦ネームは、褒めほめ作戦(笑)
グループ活動に貢献しなかった人を教師にいうのは、なんとなく自分が意地悪になったみたいで嫌かもしれませんが、褒めるのは、褒める方もほめられた方も気持ちがいいと思うんですね。
褒めほめ作戦でもう1つ大事なのは、その情報を全員と共有すること。時々、誰がどんなふうに貢献したと評価されたかをクラスで発表しています。自分のどんな行動が評価されたのかを知るのは、とてもいいことでじゃないかと思いますし、知りたいのではないでしょうか。また、評価されたポイントを知れば、グループディスカッションが苦手な人も、どう振る舞ったらいいのか、ヒントを得られるのではないだろうか?と考えています。
ですので、スプレッドシートなどにして、誰でもその部分だけ見られるようにしたらいいかなと今学期は思っています。
自分が教育を受けてきた中で「褒められる」って、テストの点数がいいとか、運動が飛び抜けてできるとか、絵が展覧会に入賞したとか、何か特別なことができないとあまり褒められなかったと思います(今はそんなことないのか)。しかし、社会に出て後輩や部下を評価する立場になった時に、直すべきところとともに、いいところを見つけるというのも重要なことですよね。
褒めて育てる。それはクラス内の対等な立場であっても、活用できそうと思います。
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