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慶應義塾大学が近視進行のメカニズムを解明
慶應義塾大学の坪田名誉教授らが、近視進行のメカニズムの中心的役割を強膜(いわゆる白目の部分)に生じる小胞体ストレスが担っており、これを制御することで近視進行を抑制できることを解明しました。
詳しくはこちらの論文をご参照ください。↓
【Nature Communications】Scleral PERK and ATF6 as targets of myopic axial elongation of mouse eyes
そもそも近視とは?
近視の人はよくご存じだと思いますが、近くのものは良く見えるのに、遠くのものはぼんやりして良く見えない状態でのことです。
近視とは、多くの場合、眼の長さ=眼軸が伸びて起こる現象のことです。
近い距離の物を見続けていると、焦点が奥に行き、この状態が長く続くと焦点を合わせようとして眼軸が伸びてしまいます。そうすると、遠くのものを見ようとして時に焦点が合わず、ぼんやりしてしまうのです。
今回の論文では、近視の原因となっている眼軸の伸長の抑制が結果として証明できていたので、世界での近視ブームの抑制の一助になりそうですね。
近視を取り巻く現状
また、文部科学省の平成29年度学校保健統計調査を見ると、1979年から裸眼視力1.0未満の割合がほぼ増加していることが分かります。
近視の進行にはいろいろな因子が考えられますが、大きく分けて①遺伝因子と②環境因子があります。
①遺伝因子
両親とも近視でない子どもに比べ、両親が近視の子どもは近視になりやすいと言われています。
②環境因子
昔より屋外で活動する時間が短いことで近視が進んでいると考えられています。実際に実験結果として、外遊びが近視を抑制していることが分かっています。
ベンチャーと企業での共同プロジェクト
そんな中、近視抑制に取り組むために、大学と企業での研究が進められてきました。今回は2つ例をお示ししたいと思います。
①慶應義大医学部発ベンチャーの坪田ラボとJINSの共同プロジェクト
慶應義大医学部発ベンチャーの坪田ラボとJINSが共同で開発を進めている近視進行抑制メガネ型医療機器です。
外活動による近視抑制を研究するうちに、紫色の可視光であるバイオレットライト(波長360〜400nmの可視光)が候補として考えられてきました。
近視を誘導したヒヨコを用いた研究で、バイオレットライトを当てた群では、有意に近視の進行が抑えらるという結果を示しています。また、13〜18歳を対象にした臨床研究でも、バイオレットライトを通すコンタクトレンズを使用した群の近視の進行度は、バイオレットライトを通さないコンタクトレンズを使用した群より抑えられたことが確認されています。
2023年頃には世界初のバイオレットライトを使ったメガネ型医療機器の製造・販売承認取得を目指しているそうです。共同開発を行うことでJINSが新たに管理医療機器事業への参入を図ります。
②慶應大学/大阪大学/ロート製薬の共同プロジェクト
近視抑制成分として期待をされている「クロセチン」を含有した子供向けサプリメントです。
同上の研究グループがバイオレットライトを目に当てるとどんな遺伝子の発現が上がるのかを調べたところ、近視進行抑制遺伝子であるEGR1の関与が示唆されました。そこで、屋外に出られない環境下で少しでも近視進行を抑制できる方法を探るため、光に当たらなくても食品でEGR1の発現を上げる物質として見つかったものがクロセチンでした。その後、慶應大学/大阪大学/ロート製薬がランダム化比較試験を行い、クロセチン7.5㎎が入ったカプセルを毎日服用した群は、クロセチンが含まれないプラセボカプセルを服用した群と比べて、眼軸長の伸びが6カ月間で14%抑えられたという結果を得られたため、製品の上市に至りました。
感想
私も近視ゆえに毎日コンタクトレンズをつけているので是非、近視になってから対処するというよりも事前に予防できるような世界になったら嬉しいなと思います。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
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