暇空茜スペースの件 東野篤子が中国を仮想敵国と名指しできない理由

こちらで登壇させて頂いたのだが、私の話し方が下手くそだったことをまずはお詫びさせていただきたい。お耳汚しすみませんでした。

私の主張は以下の通りである:東野篤子氏が中国を仮想敵国と名指しできないのは、本人に問題があるせいではない。

私は別に東野女史を擁護したいわけではない、というかフェミニストの擁護なんかすっっっっごく嫌なのだが、他の誰であっても一定の立場があれば不可能なことを突くのは筋が違うと感じただけだ。

本土侵略の可能性

まず大前提となる話をしておきたい。

「中国が合理的に判断する限りにおいて、2023年現在は日本本土に侵攻することはない」ということである。
なぜか?単純に勝ち筋が見えないからだ。

日本と中国が直接交戦した場合、中国の勝ち筋は「日本全てを占領する」「日本の一部を恒久的に占領し既成事実化する」「日本を降伏させる」概ねこの三つである。
順に見ていこう。

まず、日本全てを占領することだが、これは不可能である。単純に人民解放軍の能力が不足しているからだ。上陸すること自体は可能なのだが、現時点では九州を占領すし維持することすら困難だと言っていい。
なぜか?補給が続かないのだ。日本は島国であり、その補給路は必ず船を使う必要がある。航空機だけでは絶対的に能力が不足している。
しかし、日米安保条約が機能している限り、中国はアメリカ海軍という正真正銘のバケモノを相手にしなければならないのだ。

これが10隻。

最新型のこれが1隻。来年にはもう1隻増える予定である。
原子力空母の恐ろしさをよく分からない人に伝えるのは難しいのだが、「核兵器の次に強力な兵器」「実戦投入可能なうちでは最強の兵器」といったところだろうか?しかしあまりにも金がかかりすぎて、アメリカ以外ではフランスが1隻持っているだけだ。米海軍は廃課金プレイヤーなのである。

世界最強の駆逐艦と謳われるこいつが約70隻。更に数が増える見込みである。
無論、この他にも原子力潜水艦等を相手にしなければならない。

中国は近年、戦闘艦艇を急速に増備し海軍力を増大させている。しかし、単純な数で言えばアメリカ海軍を上回るが、実態としては防空能力が不足した小型艦に偏っているのが現実だ。
はっきり言って、アメリカ海軍と正面からやり合っても勝負にすらならない。海上自衛隊と在日米軍のみで即応しなければならない序盤のみは中国の優勢で事を進められる可能性があるが、それは長くても最初の一月程度といったところである。
同様の理由で日本を無条件降伏に追い込むことも純軍事的には不可能である。理論上は民主党政権を上回るヤバい政権が成立していた際にはあり得るが、そうなった時にはむしろ米軍が日本全土を占領し、親米政権を打ち立てるだろう。日本も中国もこれに抗うだけの戦力は保有していない。

次に、日本の一部を恒久的に占領し既成事実化を図る場合である。これは特に尖閣諸島においてあり得るシナリオであるが、日米安保が適用されるならやはりそれも不可能である。
唯一残された勝ち筋は尖閣諸島は日米安保の対象外としてアメリカが防衛に協力しない場合であり、このシナリオでは尖閣諸島が中国の手に落ちる危険性は現状でもあり得る、が恐らくそうはならないだろうというのが2023年の概況である。

尤も、そうはいっても中国は独裁国家である。プーチンがそうであると目されているように、突然習近平が発狂して日本侵攻を企てる可能性はゼロではない。こうなると最終的に日本は勝利するとしても甚大な被害を被るだろう。

なお以上の全ての前提は日米安保が機能している場合の話である。
残念ながら日本単独で中国からこの国を守りきるのは困難であり、対米追従外交以外には自力で核武装するといった極めて困難な選択肢しか存在しない。

台湾有事

中国の日本本土侵攻が日本が滅びるシナリオとしては現実性が低いことは上記した。しかし、それで済むほど事は単純ではない。今、もっと大きな危機が我々の目の前に迫っている。

現状、日本にとって遥かに危険性が高いのは中国の台湾侵攻である。はっきり言ってこちらが本命であると言って過言ではない。

ここで一度世界地図を開いていただきたい。台湾は中国本土からの距離が日本よりも遥かに近く、中国大陸の基地から飛来した戦闘機や攻撃機が十全に戦える位置にある。更に言えば陸上で発射した長距離ミサイル等も直接届く位置にあり、上陸作戦の難易度も日本に対して行うより遥かに低いのだ。
先述した通り中国海軍の艦艇は主に小型艦を中心に増強されているが、それは台湾有事を睨んでいるからである。日本よりも遥かに小さく距離が近い台湾であれば、アメリカ軍が本腰を入れて殺到するよりも先に占領してしまえる。外洋でのアメリカ海軍との戦闘は最初から想定されていないのだ。

2023年現在、中国が台湾へ侵攻しても成功する見込みはほぼない。しかし、中国は現在進行形で軍備を増強しており、日本への侵攻が現実味を帯びるよりもずっと早期に台湾有事が勃発することが想定されている。

台湾は自身の独立を守るための方法として、なりふり構わぬ政策で半導体産業に国の運命を預けた。台湾を失えば西側の半導体業界は壊滅する…だからアメリカは台湾を防衛する。しかし、それだけでは足りなくなるXデーの日は迫りつつある。

なぜ台湾が中国の手に落ちると日本が危機に瀕するのだろうか?

日本という国が安定的に存在するためには海上交通路(シーレーン)の安全の確保が必要不可欠である。特に重要なのはアラビア半島方面からの石油タンカーの交通路であるが、まさに台湾はここに位置しているのだ。
油がなければこの国は一歩も回らない。
仮に台湾が陥落した場合、中国に土下座をして石油を融通してもらうか、アメリカ方面から高額な輸送コストを払って輸入するしかなくなる。前者では日本という国はそのうち中国の日本省にまで転落してしまうだろうし、後者は輸出入コストが跳ね上がりもはや先進国ではいられなくなるのだ。
余談だが、これは韓国も全く同じである。

安倍晋三の遺産

2015年、第二次安倍内閣においてこの国の運命を左右する法律が可決・成立した。

この騒動を覚えている方は多いだろう。

仁藤夢乃と繋がりの深い共産党に言わせると「戦争法」のアレである。
平和安全法制。そのうち、事態対処法の改正には次の内容が含まれている。

第二条 この法律(第一号に掲げる用語にあっては、第四号及び第八号ハ(1)を除く。)において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
四 存立危機事態 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。

第三条 武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処においては、国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない。
4 存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。

武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(事態対処法)

これにより台湾有事の際は、集団的自衛権の発動として憲法9条の範囲内でも日本が参戦することが可能になったのだ。

これに左翼は総力を挙げて反対し、更には個人を狙って攻撃し、遂には凶弾に倒れた。しかし、安倍晋三が遺したものは、今日もこの国の生命線であり続けている。

一つの中国

近年の日本の防衛力の増強は台湾有事を睨んだものだ。島嶼防衛などといったお題目は実のところ台湾有事へ転用可能な分野への予算獲得の方便である部分が強く、更には岸田内閣が既定路線として防衛費そのもののGDP比1%を撤廃し増額しようとしている。中国からすればたまったものではないため、このような文句も当然出てくる。
しかし、なぜ方便が必要なのか。それは深刻な外交問題を発生させる恐れがあるからだ。

中国、すなわち中華人民共和国は1971年の国連総会決議によって「中国」の座を中華民国、すなわち台湾から奪った国である。台湾は国連から姿を消し、これを根拠として中国は「一つの中国」制作に邁進することとなった。「中国大陸と台湾における合法政府は中国政府ただひとつ」ということである。

東西冷戦の最中、中ソ対立からの米中接近を受け、日本も田中角栄が中国と国交を結んだ。その際に台湾と断交し、今日に至っている。
実は北朝鮮による拉致問題などはここに端を発しているのだが、それはまた別の機会にしたい。

これに遅れて1979年にアメリカも中国と国交を樹立し台湾と断交して以降、アメリカは次のような外交政策を展開するようになった。「一つの中国を尊重し中国を国家として承認するが、力による現状変更には反対する」と、台湾有事の際にどのように行動するかを曖昧にするようになったのである。

一昨年、バイデン大統領が「台湾防衛のためならなんでもする」と発言し、直後にホワイトハウスが「従来のアメリカの政策が変更されたわけではない」と慌てて火消しに走る騒動があった。あれはこれを背景にしているのである。

断っておくが、これは単にアメリカが外交上中国に配慮した物言いをしているだけであり、仮に台湾有事があった際は100%アメリカは台湾側で参戦する。ウクライナと違い、中国が太平洋に進出してくるのを塞ぐ蓋の役割を果たしている台湾が陥落することをアメリカは決して許さない。アメリカは太平洋を自分のシマだと認識しているからだ。

結論~アメリカ様には逆らえない~

安全保障上アメリカに依存し逆らえない日本は、台湾有事における姿勢も当然アメリカに追従している。例えば次の通りだ。

中国が台湾への軍事的圧力を強める中、自民党の麻生副総裁は、福岡県直方市で講演し、台湾有事の際には沖縄県の与那国島など、日本の領土にも戦火が及ぶおそれがあると指摘したうえで、防衛力の抜本的な強化の必要性を強調しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230109/k10013944971000.html

えらく奥歯に物が挟まったように聞こえるが、要するに台湾が攻撃された際には台湾を防衛するとは口が裂けても言えないからこのような発言になるのだ。
現状、対中政策を経済戦争のレベルに留めているアメリカを差し置いて、日本が勝手に先走ることはできないのである。だからこそ台湾に程近い「与那国島の防衛」のような防衛力の増強のためのお題目が必要になってくるというわけだ。
机の上では握手をしながら、机の下では拳銃に弾を装填する。外交とはそういうものである。

さて、冒頭の話に戻ろう。 


ポスター


日本国政府から仕事を貰っている東野女史が「中国が仮想敵国」と発言してしまえば、単に日本に攻めてくるかもしれない等と受け取る人ばかりではない。この時点で相当な問題なのだが、日本を含めた各国の政府の人々は、当然にそれを台湾有事に対するメッセージと受け取るのだ。
朝日新聞やテレビの仕事がなくなるとかいう次元の話ではない。外交問題を起こした戦犯として筑波大学教授の職を追われかねない。准教授の旦那も干されるだろう。

分かりやすく言い換えるとこれは「アメリカの虎の尾を踏んで無職になれ」と要求しているのだ。東野女史は未成年の子供がいる母親である。いくらなんでも、そりゃちょっとないよ暇空さん。

おわりに

「中国が脅威である」と公言するのはアメリカの面子を潰さないギリギリのラインであることを理解していただきたい。
元を正せば全部この国が敗戦国なのが悪く、そして見方を変えれば戦勝国になれるかもしれないチャンスでもあるのだ。

東野女史、いやもうメス青識でも姫識でもなんでもいいのだが、こんな人を擁護しなきゃいけないのは多大な苦痛である。
しかし今後もっとまともな有識者や政治家が出てきた際、同じこん棒が効いてしまうのは非常によろしくないのでここに記した。

追記

東野女史がクソフェミなのは最初から分かってて公平に庇おうとした結果がこれである。

やってらんねぇーっー!

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