ワクチン「接種歴不明」を整理する
厚労省が「接種歴未記入」を「未接種」にしていた問題が未だに話題です。
↑で取り上げました。
今回は、この「不明」がどういったものなのか?についてまとめてみようと思います。今後「不明」の問題について考える際の「整理」が中心とお考え下さい。
「ワクチン接種歴が未記入の場合、令和4年4月20日までのADB提出データでは未接種に分類していたが、5月11日以降のADB提出データでは接種歴不明に分類している。」
アドバイザリーボード資料の注釈にはこのように書かれています。つまり、
↑の部分に「何も書かれていないもの」を今までは未接種にしていたが、「不明」とするようになった、ということです。
ということは、「未記入」でないものは「記入あり」ですから、「接種歴不明」とは、大きく分けると以下の2つになるはずです。
① 接種歴「未記入」の不明
② 接種歴「記入あり」の不明
これは以前から想像はついたものですが、今回厚労省が「未記入」に言及したことにより、奇しくも確定したと言えるのではないでしょうか。
↑は1月1週からの不明者の数と、全体における割合を示したグラフです。ずっと11~13%ほどで推移していましたが、厚労省が「未記入」不明を不明に戻したことにより、4月3週よりドーンと不明率が上がっています。
つまり、
1月1週~4月2週 不明は「記入あり」不明のみ
4月3週~現在 不明は「記入あり」不明+「未記入」不明
このような形になったと考えるのが妥当でしょう。
そうなると、上記グラフから読み取れるそれぞれの不明の割合は
「記入あり」不明 → 11~13%
「未記入」不明 → 19~21%
となります。
ここで、もう一つ資料を用意しました。
それが↑の資料です。石川県、茨城県、広島県の3県の1月1日~2月28日までのデータとなっています。
このデータの「10歳未満」の部分を見ると、「接種歴なし」陽性者が14,714人、「ワクチン接種歴あり」陽性者が31人、「まとめ」が18,511人となっています。
まとめからその他を差し引いた人数は「3,766人」で、これがいわゆる「不明」となります。
期間的に言って、この時期の10歳未満は未接種です。
(※なぜか31人接種陽性者がいますが、かなり早いタイミングで接種した分でしょうか。少ないので一旦無視します)
そのため、陽性判明時に接種歴に記入するパターンとしては
・「無し」にチェックをする
・未記入
の2パターンしか基本的にはありません。
「無し」に記入した場合は「不明」ではないので、この不明は原則全員が「未記入だった」と考えて良いでしょう。
つまり、18,511人のうちの3,766人、「20%」ほどが未記入不明だったということになります。
これは先ほどの厚労省データの未記入不明率と符合します。
ここで不思議なのが、10歳未満は原則未接種なのに、なぜ2割もの割合で「未記入」不明となるのか?という部分です。「無し」にチェックするだけですし、ほとんどの期間は確定で未接種なわけですから、誰かに聞くまでもなく「無し」にチェックしてもいいくらいのはずです。そうなると、「無条件で未記入になる」フローが存在すると考えたほうが自然です。
↑のツイートによると、「濃厚接触者は問診票がない」とのことなので、濃厚接触(陽性?)者は自動的に未記入になっているのではないでしょうか?
そもそも、未接種のはずの10歳未満のうち、2割もの人数が「接種歴不明」に入っていること自体がおかしいですし、上記のツイートは正しそうな気がします。
そして、10代以上の不明比率は以下のとおりです。
10代 30.4%
20代 32.0%
30代 32.6%
40代 32.7%
50代 34.0%
60代 33.0%
70代 25.3%
80代 25.9%
90代以上 23.8%
このようになります。このうち「未記入」不明が20%ほどとすると、「記入あり」不明は60代くらいまでは11~13%ほどに落ち着きます。70代以上は「記入あり」比率がやや小さくなりますが、高齢者はそもそもの陽性者数が少ないので、全体の「記入あり」比率に与える影響は軽微でしょう。つまり、やはり全体の11~13%くらいが「記入あり」不明なのではないでしょうか。
まとめると
「記入あり」不明 → 11~13%
「未記入」不明 → 20%程度
となり、厚労省データの不明比率と符合します。
ちょっとややこしくなってしまったかもしれないので、一通りまとめます。
・「未記入」不明について
濃厚接触者は問診票がないそうです。つまり、未記入不明比率から言っても、実質的には「濃厚接触者」の陽性者ではないでしょうか。「未記入を未接種にしていたが、不明に戻した」と言うとまだ聞こえは良いですが、実のところ「濃厚接触者は接種歴を調べてすらいないが、全部未接種にしてました」ということではないでしょうか。もちろんすべて濃厚接触者ではないとは思いますが、比率としてはかなり高そうです。
しかも3県資料では「未記入」不明は「不明」に分類しています。厚労省が独自の判断で、「未接種」に突っ込んでいた可能性があります。
・「記入あり」不明について
未接種者、接種者のそれぞれの記入パターンは以下の通り。
・未接種者 「無」にチェックをする → 未接種
接種したとウソをつく → 接種 or 不明
回答を拒否する → 「未記入」不明行き
・接種者 正確に接種歴を答える → 接種
日時などをうまく答えられない→ 不明
そのため、「記入あり」に入るのは、ウソをついた未接種 or 接種歴をうまく答えられなかった接種者 ということになります。
推進側の人は「反ワクがウソをついた」と言うかもしれませんが、常識的に考えてほとんどのケースはうまく答えられなかった接種者となるでしょう。
実際、↑の検証でもほとんど接種者としか思えない結果となっています。
「記入あり」不明 → 11~13% → ほぼ接種者
「未記入」不明 → 20%程度 → 接種率で按分
このような形が妥当なラインではないでしょうか。
接種率の高さから行っても、かなりの陽性者を分子から抜き取って不明送りにしているはずなので、感染予防効果についてはかなり「粉飾」されたものになりそうです。