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#035「ロースかつ定食」【バクチ打ちの朝食】
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。私はとても朝食が好きだ。昨日までがどんな日であろうと、今日を迎えられる喜びを祝うものでもある。
美味しいものを食べたいという時に、美味しいと感じる事ができるかできないかは自分の問題だ。受け入れられる準備があるかどうか、環境がどうか、心のコンディションがどうかである。出来るだけ、機嫌良く向き合いたい。私にとって朝食はそういうものだ。
提供速度は仕方がない。混んでいるのだ。そして験担ぎでもない。かつが食べたいなと思ったのだ。いつもなら食べ終わって駅に着く頃、私の元に念願のロースかつ定食が届いた。
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待望の対面に、涙が溢れそうだった。なんせ仕事に遅刻しそうなのだ。人を感動させるのはいつもコストパフォーマンスだ。これがこの値段か…そう思うだけで人は感動する。
安かろう悪かろうではない。揚げたてのしっかりした熱々のかつに、少し落ち着くように特製ソースを少しかけてあげる。その一口、でご飯がなくなってしまいそうになる。ライスマネージメントのスキルが必要だ。実際他のお客さんでは、おかわりしないといけなくなってしまった人もいた。
ガリガリの衣の下には、しっかり弾力と甘みを感じられるロースがあり、幸せな気持ちになる。特製ソースは嫌味のないレベルでスパイシーで食欲をそそる。
高級食材キャベツだけで、原価のほとんどなのではないかと思う量もられ、ご飯の代わりになり、また口をさっぱりとさせてくれる。
これをこの価格で食べられるなんて、助かったとさえ私は思った。
時にとんかつが人の命を助けることもある。そういうことがあったっていいじゃないか。
「朝食は、朝、人を良くする」と書く。
朝食も期待値を追っていけば、必ず体にも心にもいい事は明白だ。